基本情報
内容詳細
著者は広島で30年間被爆者を診察し、日常的にも被爆者と交流し、被爆者の声を聴きつづけてきた。同時に医師として原爆訴訟の法廷にも立ち原爆症を歪曲する見解と激しく議論を続けてきた。また被爆者の国家補償を拒絶し、他方、被爆者を線量の担体として扱い、被爆者の苦悩を線量で秤量する被ばく行政にも異議を述べてきた。9年前に転居した福島で3・11に遭遇する。広島とは異なる、線量による人間と地域の分断に直面し、広島とは異なる線量の呪縛化をも経験する。被爆からは70年を超え、事故からは7年に至る。原爆被害と原発被災をあらためて克明にたどりつつ、原爆被害と原発被災が戦後史のなかで交叉することの意味を問う。原爆から原発へ、放射線被ばくと向き合う問題作。
目次 : 序章/ 第1部 広島の被爆とは何だったのか(広島への原爆投下/ 原爆死/ 放射線障害の病態/ 残留放射線と原子爆弾傷害調査委員会/ 司法への活路/ 原爆集団訴訟/ 被爆者のこころ、あるいは倒錯について)/ 第2部 福島の被曝がもたらしたもの(福島第一原発事故と避難/ 福島第一原発事故と線量/ 福島第一原発事故とこころ/ 福島第一原発事故とがん、遺伝/ 原子力発電の導入史と現在の課題)/ 終章 原爆と原発
【著者紹介】
齋藤紀 : 1975年福島医大卒、1977年広島大学原爆放射能医学研究所、1988年総合病院福島生協病院(広島市)院長を経て2009年以降、医療生協わたり病院(福島市)。2012年から福島市健康管理検討委員会委員。IPPNW(核戦争防止国際医師会議)日本支部会員。被爆者の原爆症認定に尽力、原発事故後は住民との対話を継続している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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