熊取六人組 反原発を貫く研究者たち

細見周

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784000226356
ISBN 10 : 4000226355
フォーマット
出版社
発行年月
2013年03月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
細見周 ,  
追加情報
:
20

内容詳細

長年「原子力利用の安全性を問う」立場で研究を続けてきた研究者たち―京都大学原子炉実験所の今中哲二・海老澤徹・川野眞治・小出裕章・小林圭二・瀬尾健。実験所の所在地から「熊取六人組」と呼ばれる彼らが、原子力ムラにあって、原発に警鐘を鳴らし続けたのはなぜか?原子力のリスクを確信するに至ったきっかけは何だったのか?彼らが貫く信念と誠実な生き方、魅力的な素顔を、綿密な取材によって初めて明らかにする。3・11以前から六人を追う著者ならではの、渾身のヒューマンドキュメント。

目次 : 序章 失われた春/ 第1章 「熊取六人組」前史/ 第2章 伊方原発訴訟/ 第3章 原発事故と「原子力安全問題ゼミ」/ 第4章 六人の絆/ 第5章 3・11と「六人組」

【著者紹介】
細見周 : 1963年生まれ。上智大学文学部卒。ジャーナリスト。主に環境問題、戦後補償問題などについて取材を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 1.3manen さん

    川野眞治先生は、原子力発電は核燃料サイクル全体を見通した上で、やれるか判断する必要がある(41頁)。小出裕章先生は、東京五輪で変わった東京に住みたくなくて、東北大工学部を志した(43頁)。原爆の酷さを原爆展でみたことが研究の原点のようである。伊方原発訴訟は、本邦初の原発訴訟。 実態は科学vs非科学、論理vs非論理の対立で、学者の倫理欠如、権力迎合がのいやらしさが目立ったようだ(88頁)。小出先生はまた、事故はばかばかしい。そう後から気が付く(116頁)と指摘される。 

  • sasha さん

    国策としての原発推進。しかし、同じ研究者でも原子力の危険性を訴える活動を続けて来た人々もいる。福島第一原子力発電所の事故が起きても彼らは「ほら、言ったじゃないか」との態度はとらない。それどころか自分たちの活動が不十分だったのではと反省する。こんなところに彼らの真面目さ・原子力と向き合う真摯さを感じる。推進派の御用学者さんたちは反省したんだろうか。日本初となった伊方原発訴訟から危険性を訴えて来た研究者たち。それに耳を傾けなかったのは私たちなのだ。

  • coolflat さん

    熊取六人組とは、京大原子炉実験所に所属する「原子力利用の安全性を問う」立場の研究者たちのことである。彼らは「60年安保世代」の海老澤、小林、瀬尾、川野の四人と、70年前後の「全共闘世代」の小出と今中の二人で構成されており、研究分野もそれぞれバラエティに富み、それぞれが自分の専門分野を持って交流し、互いに尊重して吸収しあった結果、原子力の全体像を捉え得る特別な存在になったのである。そして、熊取六人組を知る上で重要なのが伊方訴訟である。彼らがどのように伊方訴訟に関わったのか、この本はそれに多くを割いている。

  • sonohey さん

    時流に逆らった科学者たちの苦難の物語。原発に夢を見、絶望した反原発の研究者、京都大学原子炉実験所「熊取六人組」と、伊方原発訴訟等で対立する、国策として原発を推進する「国」。二つの組織は、「フクシマ」によって「無力さ」と「見通しの甘さ」によって敗者となる。しかし、数十年後の被曝者の癌被害を予測する小出の言葉通り、まだ何も終わっていない。

  • K さん

    国立大学に所属する研究者がこういう活動をできてたのは京大の懐の深さなのかと思っていたが、講師や助教という肩書きで定年を迎えるなど、やはり辛酸はたくさん舐めていらしたのだろうな…それでも信念に基づいて研究と発信を続ける強さや真摯さに頭が下がる。わたしのような素人が単純に考えても危ないだろうと感じるところに目を瞑る能力の異常なまでの高さはなんなんだろう、この国の。特に政策立案・決定者や大企業の。こわいなあ。三権分立も遥か昔から存在してなかったのね。

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細見周

1963年京都生まれ。上智大学文学部卒。ジャーナリスト。主に環境問題、戦後補償問題について取材を続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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