“中東大混迷を解く” サイクス=ピコ協定 百年の呪縛 新潮選書

池内恵

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784106037863
ISBN 10 : 4106037866
フォーマット
出版社
発行年月
2016年05月
日本
追加情報
:
144p;20

内容詳細

百年前の「秘密協定」は、本当に諸悪の根源なのか?いまや中東の地は、ヨーロッパへ世界へと難民、テロを拡散する「蓋のないパンドラの箱」と化している。1916年、英・仏の協定によって地図の上に無理やり引かれた国境線こそが、その混乱を運命づけたとする説が今日では専らだ。しかし、中東の歴史と現実、複雑な国家間の関係を深く知らなければ、決して正解には至れない。危機の本質を捉える緊急出版!

目次 : 第1章 サイクス=ピコ協定とは何だったのか(分かった気にさせるマジックワード/ 二種類の批判/ 中東問題への「解決策」 ほか)/ 第2章 露土戦争と東方問題の時代(新しい「東方問題」/ クリミア併合で蘇るロシアの「南下政策」/ 露土戦争の中東史 ほか)/ 第3章 クルドの夢はなるか?(シリア北部のクルド「独立」への一歩/ 注目すべき米国とロシアの反応/ 「民族」と「国家」の偶然性 ほか)/ 第4章 再び難民の世紀へ(二十世紀は難民の世紀/ オスマン帝国崩壊と難民/ アルメニア人虐殺とは ほか)/ 第5章 アラビアのロレンスと現代(映画『アラビアのロレンス』に見る中東国際政治/ メディアと国際政治/ 「老人の和平」は可能か)

【著者紹介】
池内恵 : 1973年、東京都生まれ。東京大学先端科学技術研究センター准教授。東京大学文学部イスラム学科卒業。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(大佛次郎論壇賞)、『書物の運命』(毎日書評賞)、『イスラーム世界の論じ方』(サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(毎日出版文化賞特別賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 榊原 香織 さん

    そもそも秘密外交協定でありながら、こんなに名前が売れてるのも珍しい。 あまりにも混乱した地域なので、読んでて混乱してきた。 映画”アラビアのロレンス”はとても深い台本だそうです。良い映画ですもんね。 この協定の名が有名になった一因。(最大原因はロシア革命後ボリシェヴィキが暴露したこと)

  • 井上裕紀男 さん

    敢えてイングランドと呼びたいが、かの国が得意の複数枚舌外交で中東を混乱させた協定だけでなく、同時代に進んだ複数の条約とオスマン帝国の衰退を絡めて中東地域について詳述。 仏・露・伊・ギリシャと露土戦争が話に入ってくるから複雑で地図が必須。終戦後の日本も大国に分割されそうになっただけに、人間の欲深さに恐怖しかない。 〇〇人はどこで決める?「言語?」「居住地域?」「宗教?」、決められないから1923年の住民交換の悲劇も生じる。 独立すれど統治できずの国が今もある中、本書は人と国を考えるヒントをくれます。

  • 香菜子(かなこ・Kanako) さん

    【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛。池内恵先生の著書。現代の中東問題の根源は遥か昔にイギリスとフランスとロシアによって結ばれた秘密協定にある。中東問題、イスラム問題、イスラム国問題は多くの人にとって理解するのが難しい問題だけれど、本書を通じてこのような問題が発生している歴史的な背景を学べます。

  • TS10 さん

    オスマン帝国崩壊後の中東に国際秩序を定着させる上で、サイクス・ピコ協定やセーヴル条約、ローザンヌ条約がそれぞれの方法で問題の解決を試みたものの失敗したとし、中東問題の複雑さを説く。抑圧的な中東の民族主義政権こそ、難民への防波堤になっていたとの示唆には思わず膝を打った。地域大国と現地勢力の勢力均衡に加えて、域外大国間の協調によって秩序が保たれるのは百年前と同様であるとの指摘や、欧州諸国はトルコに防波堤の役割を求め続けているとの指摘も興味深い。現代の情勢を分析する上でも、こうした歴史的な視点は大事にしたい。

  • 川越読書旅団 さん

    昨今の中東の騒がしさの元凶を探るべく購入。約100年前のオスマン帝国崩壊時に締結されたサイクス=ピコ協定、建前上中東の秩序を構築、また維持するための協定、しかし内情は、大国間同士のエゴの折衷案。難民問題やイスラーム国の出現等、これまでにない大きなうねりを見せ始めた昨今の同地域、核心をつく新秩序形成策(協定)が必要なのか。

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