死なないための暴力論 インターナショナル新書

森元斎

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784797681369
ISBN 10 : 4797681365
フォーマット
発行年月
2024年02月
日本
追加情報
:
256p;18

内容詳細

「暴力反対」とはよく聞くが、世の中は暴力にあふれている。国は警察という暴力装置を持ち、問答無用で徴税する(そして増税する)。資本主義は私たちを搾取し、格差を生み出す。家父長制は男性優位・女性劣位のシステムをつくりあげる。こうした暴力に対抗するには、また別種の暴力が必要となる。暴力には否定すべきものと、肯定せざるをえないものがあるのだ。思考停止の「暴力反対」から抜け出し、世界の思想・運動から倫理的な力のあり方を学ぶ。

目次 : 第1章 世界は暴力にあふれている(暴力的な私たち/ 暴力の思想史/ 暴力論を組み合わせる/ 非暴力を批判する)/ 第2章 支配・搾取する、上からの暴力(構造的暴力とはなにか?/ ショック・ドクトリン/ 廃絶運動)/ 第3章 自律・抵抗する、下からの反暴力(サフラジェット/ 統治と抵抗/ サパティスタ民族解放軍(EZLN)/ ロジャヴァ革命/ 反暴力を定義づける)/ 第4章 暴力の手前にあるもの(相互扶助/ 抵抗運動は無駄なのか?/ 私たちの闘い方)

【著者紹介】
森元斎 : 1983年生まれ、東京都出身。長崎大学教員。専門は、哲学・思想史。博士(人間科学)。中央大学文学部哲学科卒業、大阪大学大学院人間科学研究科修了。日本学術振興会特別研究員、パリ第十大学研究員などを経て、2019年より現職。現代思想やアナキズムに関する思想の研究をおこなっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • skunk_c さん

    帯が内容を見事に要約している。著者はアナキズムの入門書も出している哲学者で、軽妙な語り口(栗原康ほどぶっ飛んではいない)だがその幅の広い引用からきちんとツボを押えている。「国家は暴力装置」という基本的な事柄を、現在の日本の若者は意識していない様に見える中、本書の持つ役割は大きい。すぐにガザについて思いついたが、「はじめに」で一瞥をくれているだけ。面白かったのがメキシコのサパティスタ民族解放軍とクルドのロジャヴァ革命。オジャランがアナキズムに転じていたとは。しかしPKKとアメリカの関係に言及がないのはなぜ?

  • ATS さん

    恣意的な基準が生まれてしまい暴力が暴走することを危惧して絶対的な暴力反対こそ社会平和にとって必要だと考えていたが、こういう思想こそが権力者(ヒエラルキー上位者)にとって都合がよく一方的な暴力を実行させてしまうのだなと考えさせられた。窮鼠猫を嚙む的な下からの反暴力(抵抗)が大切なんだなと。日本政府(維新などの野党含む)も増税や社会保障縮小で多くの庶民を構造的暴力で自死に追いやるようなことを平気で進めている。安倍暗殺事件があったが政治家や官僚はテロで命を落としていくくらいのほうがいいのかもしれない。悲しき哉。

  • かんがく さん

    極右・極左ならぬ極中道の危険性という指摘が面白かった。「暴力はいけないよ」「右も左もないよ」とお利口なことを言っている人々は、構造的暴力に目をつぶって政治権力や資本主義の暴走を手助けしているに過ぎないという厳しい批判。最近流行りのゆるふわアナキズムでなくて、下から上への暴力!抵抗!革命!というお話。

  • 活字スキー さん

    タイトルと帯に心惹かれて読んでみた。初読みの著者は現在長崎大学で現代思想やアナキズムについて研究しているそう。学問としてきちんと学んだわけではないが、アナキズム(無政府主義)ってコミュニズム(共産主義)よりさらにラディカルで非現実的な、イッちゃってる思想というイメージだったのだけれど、本書を読む限りにおいてはサタニズムとかなりの部分で通じるものがありそう。必死に声をあげる者に対して冷ややかに「自分は右でも左でもございません」なんて利口ぶってる奴は実のところ姑息で卑怯な犬でしかない!

  • チェアー さん

    暴力の定義は誰が誰に行使したかに強く依存する。権力のある側が、権力のない側に行使する暴力は、社会的な暴力とならない。

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森元斎

長崎大学大学院学域人文社会科学域(多文化社会学系)/多文化社会学部准教授。専門は、哲学・思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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