ごみと暮らしの社会学 モノとごみの境界を歩く

梅川由紀

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784787235565
ISBN 10 : 4787235567
フォーマット
出版社
発行年月
2025年04月
日本
追加情報
:
確実に帯が付いた状態での出荷、また初版など版のご指定はお約束しておりません。

内容詳細

ごみとは何か――。SDGsというワードが浸透し、プラスチックごみ問題がクローズアップされ、フードロス問題が叫ばれる今日、ごみは「解決すべき問題」として取り上げられることが多い。だが、私たちとごみの関係を、そのポジティブな面も含めて正面から考えることが見過ごされてきた。

私たちの日常生活に密接した「生活文化としてのごみ」に着目して、ごみとモノの境界がどこにあるのか、時代によってその境界がどう揺れ動いてきたのか、ごみとモノの価値の違いとは何なのかを、多くの雑誌や資料、フィールドワークから多角的に検証する。

「祖父の形見の壊れた時計はごみなのか」から説き起こし、高度経済成長期の家電やプラスチックの普及によって新たなごみが「発見」され、日常から「排除」されるようになったプロセスを浮き彫りにする。そして、ごみ屋敷の当事者への1年半以上の調査から、ごみとモノの境界と価値の関係性を明らかにする。

ごみとモノの境界を丹念にたどり歩き、「ごみか、モノか」という二極化した捉え方に異議を唱え、所有者の痕跡などから私たちとごみとモノの緩やかな関係性の再構築を宣言する。フリマアプリの浸透など、今日のリユースの流れにもつながる視点や論点を提示する、ごみをめぐる知的冒険の書。

[目次]
はじめに

第1部 ごみをめぐる議論

第1章 「問題」としてのごみから「生活文化」としてのごみへ
第2章 「モノの価値」と「ごみの家庭生活」

第2部 ごみの家庭生活

第3章 高度経済成長期の生活
第4章 ごみを「発見」する人々――拡大するごみ概念
第5章 ごみを排除する人々――ごみに対する寛容度の変化
第6章 「くず」から「ごみ」へ――「くず文化」の崩壊

第3部 モノの価値

第7章 「ごみ屋敷」の現状
第8章 モノとごみの意味――「ごみ屋敷」の当事者Aさんの事例から
第9章 モノとごみの境界――機能的価値/心情的価値/可能性的価値

第4部 まとめ

第10章 ごみと人間の関係

あとがき

ユーザーレビュー

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読書メーターレビュー

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  • いっこう さん

    キャッチーな表紙で買ったけど、評論文のようで、緊張して読んだ。ごみについて、結局どーすべきかは分からず、、紙の本もごみになるのよねー 本好きだけど、ごみなるなら電子のほうが良いのか、でも本屋応援したい。こういう気持ち

  • お抹茶 さん

    雑誌などからわかる高度経済成長期の家庭生活,ごみ屋敷の参与などを通して人がごみをどう捉えているかを述べる。高度経済成長期は住宅構造の変化を受け,ほうきによる掃き出す掃除から掃除機による吸い取る掃除に変化し,空間を舞うチリやホコリを意識しだした。プラスチック製品が普及し,くず屋を介した「くずのようなもの」が日常生活空間から排除され,マージナルな対象はごみと再解釈された。ごみ屋敷の当事者は,モノを使うのではなく,取っておいて得られるであろう未来の可能性に価値を感じる。

  • ツクエカジリ さん

    SDGS、リサイクル、ペットボトル問題など、ゴミについての話題を見聞きしない日はないこの頃。でも自分、それとはちょっと違う疑問点をず〜っと抱いていた。「ゴミって、なぜゴミになるの?」美しい切り花も、枯れればゴミになって捨てられる。ぶっ壊れた腕時計もそこに個人の思いがあれば「記念」「形見」として保管される。「社会問題」としてのゴミではなく「社会プロセス」としてのゴミの側面に焦点を当てた、知る限り唯一の本。掘り下げが甘い、とツッコむ人がいそうな気もするが、それは個々人がこれからやったらいいんじゃないかな。

  • 山中鉄平 さん

    とても興味深く読んだ。モノからゴミの間にギャップを置くという考えが面白かった。これを浄霊とも言っておられたような気もする。このギャップに、この本のお話しとは全く関係ないが人から成仏のあいだにある浄土というのを想起してしまった。 モノを捨てられぬ気持ちは何となくわかるが、腐敗した物さへ廃てられぬ人の心やその真逆の清潔至上の心がまだしっくりイメージ出来なく、さらにもう少し突っ込んだ研究を見てみたいと思った。

  • Go Extreme さん

    ごみと暮らしの社会学 モノとごみの境界 生活文化としてのごみ ごみの多面的な理解 メアリ・ダグラスの汚穢と秩序 ヘザーリントンの「ギャップ」 トンプソンのごみ理論 モノの価値と流動性 「マージナルな対象」 ごみの家庭生活 高度経済成長期の転換点 大量生産・大量消費・大量廃棄 掃除機と空間ごみの「発見」 冷蔵庫と余剰品の「発見」 粗大ごみの顕在化 拡大するごみ概念 台所改造と感覚の変化 ごみに対する寛容度の低下 くず文化の営み くず屋の媒介機能 プラスチックとくず文化崩壊 失われた豊かさと想像力

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