自由か、さもなくば幸福か? 二一世紀の“あり得べき社会”を問う 筑摩選書

大屋雄裕

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784480015952
ISBN 10 : 4480015957
フォーマット
出版社
発行年月
2014年03月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
238p;19

内容詳細

20世紀の苦闘と幻滅を経て、私たちの社会は、どこへ向かおうとしているのか?“あり得べき社会”を構想する。

目次 : 第1章 自由と幸福の一九世紀システム(近代リベラリズムと自己決定の幸福/ 契約自由の近代性/ 参政権―自己決定への自由/ 権利としての戦争/ 一九世紀システムの完成―自己決定する「個人」)/ 第2章 見張られる私―二一世紀の監視と権力(監視の浸透/ 情報化・グローバル化と国家のコントロール/ 「新しい中世」)/ 第3章 二〇世紀と自己決定する個人(一九世紀から遠く離れて―戦争と革命の二〇世紀/ 個人と人間の距離/ 個人の変容への対応/ Why not be Perfect?―アーキテクチャと完全な規制)/ 第4章 自由と幸福の行方―不安社会/民主政の憂鬱(過去への回帰願望/ 新たなコミュニティ・ムーブメント/ アーキテクチャと「感覚のユートピア」/ ホラーハウス、ミラーハウス)

【著者紹介】
大屋雄裕 : 1974年生まれ。東京大学法学部卒業。法哲学を専攻。現在、名古屋大学大学院法学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 1.3manen さん

    オーウェル『1984年』が取りざたされる。外的な 生存の条件(傍点)と内心における 人間らしさ(傍点)、内外の自由が不可分で、外を無視して良心の砦へと退却して支配と隷従への道を乗り越えることはできない問題(014頁〜)。国家権力による国民への行動監視、追跡。監視の目は増強されている(071頁)。わたしの住宅付近上空を低空飛行している気もしなくもない。著者は生活や人権が、平等に扱わなくてもよい主体に自由に制約されることを、望むかどうか、疑義を呈する(081頁)。 

  • 小鈴 さん

    良書。近代的な「自律した個人」という自己像の賞味期限がきている。19世紀の夢であった平等な個人たちの世界、自由と幸福の19世紀システムの機能不全が露呈している。新たな社会像をどのように模索するか。「自由・快適・公正といった、相互に両立しない価値のどれを・どのような理由で優先するのか」(17-18)。 「新しい中世」の新自由主義、総督府功利主義のリベラリズム、ハイパー・パノプティコンの三つの社会像を提示する。あなたはどの社会像を選びますか。

  • しゃん さん

    本書を読んで、19世紀の夢であった平等な個人たちの世界、自由と幸福の19世紀システムが実現した瞬間に機能不全を露呈したことが示されるとともに、監視社会となった今、個人や人格というこれまで当たり前と思っていたものの自体が脅かされていることを感じた。所与のもの(そう信じていたもの)について、不断に考え続けていないと、知らない間に大きな波にさらわれてしまうのかもしれないなと。。。なお、本書は、いくつかの論文が一つに纏められている形式だったので、途中で文体が変わったりして、読みにくさを感じたところもあった。

  • masabi さん

    19世紀型の幸福システムは綻びを表したが、それに代わる代替システムが未だ見つからない。3つの構想がある。新自由主義型、感覚のユートピア型、ハイパーパノプティコン型とが考えられる。どれも理想的でも最善でもないが個人的にはハイパーパノプティコン型がまだマシだった。全員が監視の対象となる世界。ベンサムやフーコーについても読んでみたくなったので次の課題図書としよう。あと感覚のユートピア型は伊藤の『ハーモニー』を彷彿とさせた。

  • テツ さん

    近代的な価値観では人は自由であることが幸福であるための絶対条件であるとし、それに則りぼくたちの社会も形成されてきたけれど、もしかしたら自由というモノは人間をそれほど幸福にはしないのではないかと考える人が増えてきた気がする。自由が素晴らしく尊いということは(古い価値観がこびりついているからかもしれないが)否定しないけれど、それが個人にとっても群れにとってもとてつもない重荷になっていることも確かだもんな。今この瞬間は社会的な価値観が変貌する過渡期なのかもしれないな。幸福の形は時と場所によって変わる。

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