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グローバル格差を生きる人びと 「国際協力」のディストピア 岩波新書

友松夕香

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784004320708
ISBN 10 : 4004320704
Format
Books
Publisher
Release Date
June/2025
Japan

Content Description

「善意の国際協力」は限界を迎えている。アフリカ諸国の人びとはSNSや衛星放送で目にする豊かな国の暮らしを羨望し、先進国との関係に疑念を抱くようになった。援助で困窮する農村や女性、国際ロマンス詐欺や陰謀論…長年のフィールドワークをもとに人びとの目線で「国際協力」の神話を解体し、新たな共存の道を探る。

目次 : 序章 グローバル格差の感情/ 第1章 請い、与えられる者の日常/ 第2章 農村の国際詐欺師たち/ 第3章 ゴリアテに立ち向かうダビデ/ 第4章 陰謀論に共感する/ 第5章 「俺たちは腹が減っている」/ 第6章 自分たちの農法を忘れた人びと/ 第7章 過重労働をこなす女性たち/ 終章 国際協力の再構築

【著者紹介】
友松夕香 : 1977年大分県生まれ。2001年、カリフォルニア大学バークレー校政治学部卒業。2003‐05年、西アフリカ・ブルキナファソの環境生活省でJICA協力隊活動。2007年、国際農業研究協議グループ・ICRAFナイロビ本部にて訪問研究。2015年、東京大学大学院博士課程修了。博士(農学)。プリンストン大学歴史学部ポスドクフェロー、愛知大学国際コミュニケーション学部准教授などを経て、法政大学経済学部教授。専門―経済人類学、国際協力学、農業史。主著―『サバンナのジェンダー―西アフリカ農村経済の民族誌』(明石書店、2019年。第23回国際開発研究大来賞、第10回地域研究コンソーシアム賞登竜賞受賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • skunk_c

    著者はブルキナファソと隣接するガーナ北部をフィールドとする研究者。現地での見聞やインタビュー、さらにネットから得られる様々な情報を駆使して、現在の西アフリカを主としたアフリカの現状をレビューしている。その中で印象的なのは、デジタル技術の向上で高まってきた欧米先進国への不信感。一方で英語圏のガーナの若者は、アメリカ人に対しロマンス詐欺を仕掛けて稼いでいる現実。その他中国やロシアが現地で支持を高めている理由や、「緑の革命」の顛末と続く21世紀の「緑の革命」がもたらしたものなど、新しく考えるべきことが語られる。

  • おせきはん

    先月参加したTICAD関連イベントの際に触れられていなかったアフリカの状況を知り、話しを聞いていたときに感じた疑問を解消できました。欧米に対する不信感の根強さは想像以上でした。国際協力は、援助する側と受ける側の利害が必ずしも合わないことにも、難しさがあると思いました。

  • ケイティ

    国際協力がどれほど機能しているのか、ぼんやりと懸念していたことが具体的かつ明確な現実として突きつけられた。1977年生まれの著者は、経済人類学などを専門とする研究者で現在は大学教授。JICA協力隊活動をはじめ20年以上西アフリカを行き来しながら、グローバル格差の進行に危機感を抱いてきたという。この問題は「国内事情の不具合によるものでなく、グローバルな力学によってもたらされたこと、援助する富裕国側の価値観にもとづく知識生産と実践を通して、現地に大きな矛盾をもたらしてきたこと」を強調している。

  • kan

    勤務校新着本。表面だけをなぞる国際関係本とは一線を画す良書。国際協力に関心のある高校生に薦めたい。ナイジェリア詐欺やガーナ詐欺という不名誉な呼び名が定着して久しいが、失業率の高さとスマホの普及の帰結という単純な話ではなさそうだ。構造的な格差が可視化され、反白人・反西欧感情の高まりが源流にあることは重要な視点だ。また、持続可能でない緑の革命の結果、土壌劣化や伝統的農法の衰退と消滅に繋がり、先進国側の搾取的戦略に思えて苦しい。戦争だけではなく食糧確保も、不公平で倫理に反している方が儲かるのはつらいことだ。

  • shikada

    アフリカでの「グローバル格差」をテーマにした1冊。著者はガーナを中心としたフィールドワークをもとに、当事者たちのリアルな姿から問題を見つけている。援助により地場産業が衰退し、教育が進んでもまともな雇用がなく、識字やデジタルスキルはおもに国際ロマンス詐欺に用いられてしまう。女性への農業援助は、家事労働の負担がただでさえ大きい女性たちの負担をさらに増やし、周縁化した。移民政策などから、西側諸国への不信感も根強い。良かれと思ってなされた「国際協力」が長期で見ると歪みを生んでいることが少なくない。

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