ルイージ&フェデリコ・リッチ:『クリスピーノと死神』
マルティナ・フランカ2013
コライアンニ、ボンファデッリ
19世紀の半ば、イタリアのリッチ兄弟〜ルイージ[1805-1859]とフェデリコ[1809-1877]が作曲した歌劇『クリスピーノと死神』は、S.ファブリケージの台本による軽妙な喜劇です。初演されるやいなや世界中で人気を得たというこの物語は、グリム童話の「死神の名付け親」と酷似していることでも知られており、死神の姿を見ることのできる主人公が、その力を用いて評判のよい医者になるというものです。しかし死神を騙して怒らせてしまい、主人公は命を落としてしまう、というのが童話の結末ですが、こちらの歌劇では、主人公クリスピーノは死神(妖精)に謝罪し生き返るという結末になっています(三遊亭圓朝の創作落語「死神」も同じような粗筋を持っていますが、こちらはグリム童話に近いものです)。
そんなわけで安心して笑えるこのお話では、妻アンネッタが重要な働きをしますが、ここで彼女を歌っているのは、以前『椿姫』のヴィオレッタ役で一世を風靡したステファニア・ボンファデッリ。繊細な歌唱に力強さが加わった実にステキなアンネッタです。題名役のドメニコ・コライアンニのユーモラスな歌唱も魅力的。(Dynamic)
【収録情報】
● ルイージ&フェデリコ・リッチ:歌劇『クリスピーノと死神』全曲
クリスピーノ:ドメニコ・コライアンニ(バス)
アンネッタ:ステファニア・ボンファデッリ(ソプラノ)
死神:ロミナ・ボスコーロ(メゾ・ソプラノ)
コンティーノ・デル・フィオーレ:ファブリツィオ・パエザーノ(テノール)
ファブリツィオ:マッティア・オリヴィエリ(バリトン)
ミラボラーノ:アレッサンドーロ・スピーナ(バス)
アスドゥルバーレ:カルミネ・モナコ(バス・バリトン)
リセッタ:ルチア・コンテ(メゾ・ソプラノ)
ボルトロ:フランチェスコ・カストーロ(テノール)
バーリ・ペトゥルッツェッリ劇場合唱団
フランコ・セバスティアーニ(合唱指揮)
イタリア国際管弦楽団
ヤデル・ビニャミーニ(指揮)
録音時期:2013年7月13-29日
録音場所:イタリア、マルティナ・フランカ、デュカーレ宮殿
録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ)