春よこい〜歌曲集　ナレル・イェオ、サイモン・ローベルソン、トーニャ・レモー

ヘンリー・ハンデル・リチャードソンと彼女の歌集

オーストラリアの作家ヘンリー・ハンデル・リチャードソンは、自らの父の生涯を綴った3部作「リチャード・マホニーの出世」で小説家として名を上げました。この男性名、実はペンネームで、本名はエセル・フロレンス・リンジーという女性です。友人のアドヴァイスに基づき男性名で自作を発表したリンジー、もともとはピアニストを志しドイツに留学。その後スコットランド人の文学者ロバートソンと結婚、最終的にイギリスに定住し作曲活動を続けたという経歴を持っています。留学時代の体験談を綴った小説がサマセット・モームの目に留まり、評価され小説家としても活動を始めましたが、名声を得てからも作曲は続け、多くの歌曲を残しました。
　現代、彼女の曲が演奏されることはほとんどありませんが、同時代の作曲家クィルターやブリッジたちのように憂愁に満ちた歌曲や、ドイツ風のリートは一度聴けば忘れがたい味わいを残します。なお、ジャケットに使われた絵は、このアルバムのためにオーストラリアの漫画家キャシー・ウィルコックスが彼女の写真をもとに書き上げたものです。（輸入元情報）

【収録情報】
リチャードソン：
1. 最初の損失
2. 菩提樹の下で
3. もしも別れなくてはいけなくなったら
4. 子守歌
5. ザウゼのエイア
6. 眠れ、幼子、眠れ
7. 放浪者の歌
8. キリストの子守歌
9. かわいそうな愚か者の歌
10. わが最愛の人のもとに来るとき
11. リンゲル、リンゲル、ばらの王冠
12. シュースターの夕べの歌
13. イルメリンのばら
14. 美しいものを買いましょう
15. トスカーナの子守歌
16. 乾杯
17. ア・ラ・モード
18. 春よこい
19. 滓
20. ローリング・イングリッシュ・ロード
21. ピーコック・パイ
22. アイルランド人の歌
23. 王の男たち
24. トラファルガーの夜
25. もうさまようのはやめよう
26. 後悔はしない
27. 春、私の愛する人
28. 老いたニューイングランドの猫がいた
29. キューで
30. 来たれ死よ
31. ヴェスペラル
32. スザンナ・フライ

　ナレル・イェオ（ソプラノ：1-10,14-18,24-32）
　サイモン・ローベルソン（バリトン：11-13,19-23）
　トーニャ・レモー（ピアノ）

　録音時期：2019年6月27日、7月10日
　録音場所：オーストラリア、Sydney Conservatorium of Music
　録音方式：ステレオ（デジタル／セッション）
　世界初録音