チェロ・ソナタ全集　マヌエル・フィッシャー＝ディースカウ、コニー・シー

ライネッケ：チェロ・ソナタ集
マヌエル・フィッシャー＝ディースカウ
ドイツ・ロマン派チェロ音楽の傑作！

ブルックナーと同年生まれのドイツの作曲家、カール・ライネッケ[1824-1910]は、作曲家、指揮者、ピアニスト、教育者などとして幅広い分野にわたって活動していました。
　作曲家としては、シューマンやメンデルスゾーン、ブラームスらのいわゆるドイツ・ロマン派の王道ともいうべきスタイルを引き継ぐ作風を特徴としており、その創作姿勢は生涯一貫していたといいます。
　チェロ・ソナタ イ短調 Op.42は、ライネッケ若き日の意欲作。フランツ・リストの知遇を得て娘コジマにピアノを教えたりしていた頃の作品で、どこかメンデルスゾーンを思わせるようなさわやかな情熱を伴った美しさが印象的。
　チェロ・ソナタ ニ長調 Op.89は、ライプツィヒ音楽院の作曲とピアノの教授職に就いたライネッケがゲヴァントハウス管弦楽団のカペルマイスターとして、ブラームスのドイツ・レクィエムやピアノ五重奏曲を初演したりしていた頃の作品で、ブラームスの影響もあってか（？）、外面的効果は抑え気味になりながらも、ロマン的な情感がしっかり歌われるという作品。
　チェロ・ソナタ ト長調 Op.238は、そのゲヴァントハウスとライプツィヒ音楽院の要職を35年間務めげた3年後、ブラームスの亡くなった翌年に書かれ、彼に捧げられたライネッケ晩年の作品で、ブラームスを悼むかのようなしぶい仕上がりになっています。
　マヌエル・フィッシャー＝ディースカウは、ディートリヒ・フィッシャー＝ディースカウの息子として1963年にベルリンに生まれたチェリストで指揮者。マヌエルは、これらライネッケのあまり演奏されないチェロの音楽に注目し、それぞれの作品をじっくり吟味したうえで、マリエンミュンスター修道院の美しい響きを生かしながら、ドイツ・ロマン派チェロ作品のエッセンスともいうべき魅力を感じさせるライネッケの音楽に深く踏み込んだアプローチを聴かせてくれます。（ＨＭＶ）

【収録情報】
ライネッケ：
・チェロ・ソナタ イ短調 Op.42
・チェロ・ソナタ ニ長調 Op.89
・チェロ・ソナタ ト長調 Op.238

　マヌエル・フィッシャー＝ディースカウ（チェロ）
　コニー・シー（ピアノ）

　録音時期：2010年11月25-27日
　録音場所：マリエンミュンスター修道院
　録音方式：デジタル（セッション）