モーツァルト(1756-1791)

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CD 輸入盤

ミサ曲ハ短調 K.427[レヴィン校訂版] リリング&シュトゥットガルト・バッハ合奏団

モーツァルト(1756-1791)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
98227
組み枚数
:
1
レーベル
:
:
Germany
フォーマット
:
CD
その他
:
輸入盤

商品説明

モーツァルト:大ミサの注目盤!
ロバート・D・レヴィンによる補筆完成版!

モーツァルト・イヤーに向けてまたしても興味深いアルバムが登場します。ミサ曲ハ短調 K.427、通称『大ミサ』は、父レオポルトの反対を押し切って妻としたコンスタンツェ・ヴェーバーとの結婚を認めてもらうため、新作のミサ曲を教会に奉献して祈願とするというなんとも私的な動機を背景にもつ作品ですが、作品の完成前に結婚を認めてもらったため、この傑作ミサ曲が完成されることはありませんでした。
 クレードは2曲しか書かれておらず、アニュス・ディに至ってはまったく手もつけられていないという状態でしたが、それでも1783年10月26日には、モーツァルトの指揮、妻コンスタンツェのソプラノほかで、足りない部分を他の作品から転用して初演されているので、あるいはモーツァルトはこれでよしとしたのかもしれません。

 結婚祈願という背景ゆえか、あるいは司式の容易さから短く小編成のミサ曲を好んだザルツブルク大司教コロレドへのあてつけからか、それともヴァン・スヴィーテン男爵から紹介されたバロック様式の影響か、ここでは常よりも大きな楽曲構成と、大きな楽器編成(フルート×1、オーボエ×2,ファゴット×2,ホルン×2、トランペット×2、トロンボーン×3,ティンパニ、オルガン、弦5部)が用いられ、そのため『大ミサ』という愛称を持つことになりましたが、作曲技法そのものにも、バロック様式、特にバッハを思わせる対位法的な技法や、ヘンデル風なオーケストレーションへの傾斜がみられるなど壮大志向が認められ、特に最大8声部まで拡大される合唱(二重合唱)の扱いには見事なものがあります。

 校訂者のロバート・レヴィンはフォルテピアノ奏者としても著名な人物ですが、学者としての実績も素晴らしく、これまでに、モーツァルトのレクイエムや、協奏交響曲K.297bにおける補筆完成ですでに大きな注目を浴びています。
 今回の補筆完成作業はマリア&ロバート・A・スカーニック・ファンドから依頼されたもので、初演は2005年1月15日に、ヘルムート・リリングの指揮によりカーネギー・ホールでおこなわれています。

 レヴィンの校訂は、実際の礼拝の様式に則るべく、不足している部分を補って再現されたもので、通常50分程度の作品が、76分という規模にまで拡大されています。およそ25分に及ぶ追加部分は、大ミサ素材の転用先としても知られる『悔悟するダヴィデ』やその他のミサなど、すべてモーツァルトの筆になる素材からつくられており、以下の曲が追加されています。

・Crucifixus(十字架に磔られ)
 [合唱]
・Et resurrexit(復活)
 [合唱]
・Et in Spiritum Sanctum(われは信ず、主なる聖霊)
 [テノール独唱]
・Et unam sanctam(唯一なるもの聖なるもの)
 [合唱]
・Et vitam venturi(来世の生命を待ち望む)
 [合唱]
・AGNUS DEI(神の子羊)
 [ソプラノ独唱II、合唱]
・DONA NOBIS PACEM(われらに平安を与え給え)
 [独唱4人、合唱]

 なお、リリングにはすでに1991年の録音(51分)がありますが、そこではヘルムート・エーダーの補筆によるヴァージョン(ベーレンライター)が使用されており、また、映像作品では、1988年にライヴ収録したもの(60分弱)がありましたが、そちらではランドン版を元にした(?)リリング独自のヴァージョンが用いられていました。

・モーツァルト:ミサ曲ハ短調 K.427(417a)[レヴィン版]
 ディアナ・ダムラウ(S)
 ユリアーネ・バンゼ(S)
 ローター・オディニウス(T)
 マルクス・マルクヴァルト(B)
 シュトゥットガルト・ゲヒンガー・カントライ
 シュトゥットガルト・バッハ・コレギウム
 ヘルムート・リリング(指揮)

 録音:2005年3月19,20日
 場所:シュトゥットガルト、ベートーヴェンザール

シュトゥットガルト・ゲヒンガー・カントライ・メンバー表

ソプラノ
Bettina Arias
Miriam Burkhardt
Sabine Claußnitzer
Kassandra Dimopoulou
Christine Eisenschmid
Anne Hellmann
Birgit Leppin
Eleonore Majer
Martina Rilling
Beatrice Rütsche-Ott
Martine Saniter
Uta Scheirle
Ingrid Waldvogel
Friederike Webel

アルト
Elisabeth Gantert
Tanja Haßler
Dagmar Klug
Sonja Koppelhuber
Birgit E. Meyer
Angela Müller
Gerda Neunhoeffer
Takako Onodera
Miranda Schielein
Nicole Simml
Lilo Walter
Susanne Wehse

テノール
Karl Appel
Steffen Barkawitz
Dieter Bernhardt
Michael Bootz
Martin Frobeen
Christoph Haßler
Matthias S. Otto
Boris Pohlmann
Hermann Schatz
Vladimir Tarasov
Jens Zumbült

バス
Marc Aisenbrey
Marek Fras
Georg Gädker
Martin Hermann
Werner Huck
Hanns Pommerien
Florian Schmitt-Bohn
Holger Schneider
Gerold Spingler
Igor Zeller

シュトゥットガルト・バッハ・コレギウム・メンバー表

フルート
Jean Claude Gérard

オーボエ
Julia Ströbel-Bänsch
Hedda Rothweiler

ファゴット
Lyndon Watts
Gernot Friedrich

ホルン
Wolfgang Wipfler
Karen Schade

トランペット
Eckhard Schmidt
Eberhard Kübler

トロンボーン
Sebastian Krause
Steffen Schwartz
Fernando Günther

ティンパニ
Norbert Schmitt-Lauxmann

オルガン
Boris Kleiner

第1ヴァイオリン
Wolf-Dieter Streicher
Anna Rokicka
Martina Bartsch
Anne Roser
Ania Bard
Marte Straatsma

第2ヴァイオリン
Thomas Haug
Gotelind Himmler
Gunhild Bertheau
Julia Greve
Antje Lindemann

ヴィオラ
Erich Krüger
Nancy Sullivan
Isolde Jonas
Sara Rilling

チェロ
Francis Gouton
Matthias Wagner
Ulf Borgwardt

コントラバス
Fritjof Martin Grabner
Benjamin Wand

『大ミサ』の主なヴァージョン

【シュミット版】(1901)
モーツァルトの他のミサ曲からの素材でクレドの管楽器の欠落部分を補い、「アニュス・デイ」には冒頭の「キリエ」を転用。ただし、「ラウダムス・テ」や「エト・インカルナートゥス・エスト」では部分的な削除がおこなわれていました。
 パウムガルトナー

【ランドン版】(1956、オイレンブルク版)
未完成だった「クレド」、「エト・インカルナートゥス・エスト」の補筆を行い、8声の二重コーラスを復活させ、オリジナルへ回帰を試みた版。自筆譜がまだ行方不明だったため、モーツァルトがザルツブルクで演奏した際のパート譜を拠り所にしています。これ以降の版の規範ともいうべき存在。
 フリッチャイカラヤンクリスティP.ノイマンレッパード、ショルティ、レヴァイン

【エーダー版】(1986、ベーレンライター 新全集版)
1977年にポーランドのヤギエロン図書館から発見された自筆譜を底本として、クレドには楽器の追加をしませんでしたが、エト・インカルナートゥス・エストでは1対のホルンを追加しています。
 リリング(1991)ヘレヴェッヘボルトンアバド

【モーンダー版】(1988)
不完全な自筆譜を補う演奏用の写譜にまで問い直しを行い、他の版とは異なる形で、全体を再編成。未完のままとし、クレドの楽器編成にトランペット、ティンパニ、トロンボーンを追加。また、エト・インカルナートゥス・エストには1対のホルンを追加。
 ホグウッド

【バイヤー版】(1989)
未完のままとし、クレドの楽器編成にトロンボーンを追加。
 バーンスタインアーノンクール

【シュミット/ガーディナー版】
 ガーディナー

【ヴァート&ヴァカレンツィ版】
 ヴァート

【レヴィン版】(2005)
このCDのヴァージョン
 リリング(2005)

収録曲   

  • 01. KYRIE
  • 02. GLORIA
  • 03. Laudamus te
  • 04. Gratias
  • 05. Domine
  • 06. Qui tollis
  • 07. Quoniam
  • 08. Jesu Christe
  • 09. CREDO
  • 10. Et incarnatus est
  • 11. Crucifixus
  • 12. Et resurrexit
  • 13. Et in Spiritum Sanctum
  • 14. Et unam sanctam
  • 15. Et vitam venturi
  • 16. SANCTUS
  • 17. BENEDICTUS
  • 18. AGNUS DEI
  • 19. DONA NOBIS PACEM

ユーザーレビュー

総合評価

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このレヴィン版は欠けている部分では主に「...

投稿日:2015/04/21 (火)

このレヴィン版は欠けている部分では主に「悔悟するダヴィデ」の曲を使用している。しかし元のミサ曲にあった曲と比較すると魅力に乏しく、平凡な曲に聴こえ、この版の価値を落としていると言っていいのではないか。少なくともレクイエムにおけるレヴィン版ほどには市民権は獲得できないだろうと思われる(実際この版を使った演奏は未だ皆無だし、悔悟するダヴィデの録音もほとんどない。)なおリリングの演奏は悪くない。

akiapple さん | 大分県 | 不明

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モーツァルトの音楽自体は華々しく美しいの...

投稿日:2005/12/10 (土)

モーツァルトの音楽自体は華々しく美しいので、典礼文にすべて作曲されてなくとも私としては構わないのだけれど、キリスト教徒としてはきちんとしたいのだろう。そもそもがそういう色物の企画なので、オーセンシティの留保は折り込み済み。そもそも初演時にはほかの作品から欠落部を補って演奏されたというのだし。レヴィンはいい仕事をしていると思うけれど。ティンパニが五月蠅いのはピリオド実践の影響。大家リリンクの古色蒼然たる演奏を懸念していたので、アンサンブルの精度など大らかなところはあるにしても元気な演奏に私としては満足。

かばくん さん | とちぎ | 不明

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モーツァルト(1756-1791)

1756年:ザルツブルクで誕生。 1761年:最初の作曲(『アンダンテ ハ長調 K.1a』)。 1782年:オペラ『後宮からの誘拐』初演。 1783年:大ミサ曲ハ短調 K.427(417a)を上演。 1785年:弦楽四重奏曲集(ハイドン・セット)をハイドンに献呈。 1786年:オペラ『フィガロの結婚 K.492』初演。 1787年:父レオポル

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