プレートルの抑制の効いた指揮が引き出す
『ウェルテル』の真のドラマ
フランスの巨匠プレートル[1924-]の抑制の効いた指揮、アルフレード・クラウス[1927-1999]による格調高く完璧な歌声による悩めるウェルテル、そして白血病で夭折したヴァレンティーニ=テッラーニ[1946-1998]のシャルロット、という3拍子そろった貴重な『ウェルテル』の記録。
マスネの『ウェルテル』は、美しい女性シャルロットに一目ぼれした詩人ウェルテルが、思いが遂げられず最後は自殺をするという、美しくもかなわぬ恋の物語。ロマンティシズム濃厚な、激情に満ちた歌の数々が聴きどころですが、プレートルは、歌い手たちが、うねる音楽におぼれることのないよう常にコントロール。そのおかげで、クライマックスの第3幕でも、クラウスやヴァレンティーニ=テッラーニは、熱い歌唱ながらも、うわついたところなく、ゲーテとマスネが作り上げた物語の進行役としても見事に役割をはたしています。
ヴァレンティーニ=テッラーニは1970年代後半、とくにロッシーニの歌い手として名を馳せていました。しかしヴァレンティーニ=テッラーニのヴェルヴェットのような、そしてどこかティツィアーノの絵画の神秘的な影を思わせるところもある声質は、シャルロットにももってこい。ここでも、夫アルベールがいながらウェルテルに惹かれ揺れる心を歌う「手紙の歌」など、聴き手の心を打つ名歌唱を展開しています。(輸入元情報)
【収録情報】
● マスネ:歌劇『ウェルテル』全曲
アルフレード・クラウス(ウェルテル)
ルチア・ヴァレンティーニ=テッラーニ(シャルロット)
ローランド・ペネライ(アルベール)
アナスタシア・トマシェフスカ・シェピス(ソフィー)
グラツィアーノ・デル・ヴィーヴォ(大法官)
アンジェロ・マルキアンディ(シュミット)
ジョルジョ・ジョルジェッティ(ジョアン)
フィレンツェ・コダーイ・センター学生合唱団
ジョヴァンニ・マンジョーネ(合唱指揮)
フィレンツェ五月祭管弦楽団
ジョルジュ・プレートル(指揮)
録音時期:1978年1月26日
録音場所:フィレンツェ、テアトロ・コムナーレ
録音方式:ステレオ(ライヴ)