ベルリオーズ：幻想交響曲（ピアノ版）、リスト：ウィリアム・テルの聖堂、泉のほとりで、オーベルマンの谷　ムラロ

リスト生誕200周年記念盤
ピアノ編曲による幻想交響曲
鬼才ロジェ・ムラロが真価を問う！

2011年リスト・イヤーのオープニングを飾る新録音としてデッカがリリースする注目盤がこのアルバム。
　幻想交響曲のピアノ編曲版にはこれまでもいくつかの録音が存在していましたが、ピアノ曲本来の魅力が追及された演奏はあまり無かったと思えるだけに、今回のアルバムの登場は注目されるところです。
　吉田秀和氏からも絶賛されたフランスのピアニスト、ロジェ・ムラロ（ミュラロ）は、メシアンの権威としてフランスでもすでにゆるぎない評価を得ており、その明晰な演奏によって、作品本来の造形美や色彩美を明らかにしてきました。
　ムラロのそうした手法は、ラヴェルの作品の場合でも有効だったので、今回のリストの編曲がどのように表されているか楽しみなところです。
　ムラロはここで、組み合わせの作品に、『幻想交響曲』と同じ頃に作曲された『巡礼の年』第１年「スイス」から、「ウィリアム・テルの聖堂」「泉のほとりで」「オーベルマンの谷」の3曲を選んでいます。
　「ウィリアム・テルの聖堂」で荘重に開始され、『幻想交響曲』のドラマを経て「泉のほとりで」で癒され「オーベルマンの谷」で静かな思索を経て終わるといった流れでしょうか。
　ちなみにムラロは、1993年にリストの『詩的で宗教的な調べ』を録音しており、そこでは無用な感情移入を排したストレートな表現を聴かせていたので、今回の演奏でもそうしたスタイルで各曲本来の魅力を示してくれるのではないかと期待されるところです。（ＨＭＶ）

【収録情報】
・リスト：『ウィリアム・テルの聖堂』S.160-1
・ベルリオーズ：『幻想交響曲』Op.14（リスト編曲によるピアノ版 S.470）
・リスト：『泉のほとりで』S.160-4
・リスト：『オーベルマンの谷』S.160-6

　ロジェ・ムラロ（ピアノ）

　録音時期：2010年9月
　録音場所：グルノーブル
　録音方式：デジタル