ツェートマイアー&パリ室内管
清廉かつ鮮烈なラヴェル&ドビュッシー管弦楽作品集
1961年ザルツブルクに生まれた名ヴァイオリニストで、室内楽活動のほか、近年は指揮者としての活躍も目覚ましいトーマス・ツェートマイアーが、2012/13年のシーズンより首席指揮者と音楽監督を務めるパリ室内管弦楽団を指揮して、「naive」レーベルからフランス名曲集をリリース。2013年7月にセッションを組んでおこなわれたばかりの最新録音です。
パリ室内管弦楽団は、2012年に、「アンサンブル・オルケストラル・ドゥ・パリ」から名称変更して「オルケストル・ドゥ・シャンブル・ドゥ・パリ(パリ室内管弦楽団)」となった室内オケで、ジョン・ネルソンらとの録音により日本でもおなじみの存在。
古典音楽から現代音楽まで幅広いレパートリーを持つヴァイオリニストとして世界的評価を確立してきたツェートマイアーが今回プログラムに選んだのは、フランス近代を代表する二人の大家、ラヴェルとドビュッシー。1曲目の『ツィガーヌ』では、ツェートマイアー自身がヴァイオリン・ソロを担当しており、曲の冒頭、およそ4分にもわたって繰り広げられるヴァイオリン・ソロからぐっと聴く人を引きつけます。凝縮した骨太の音色が素晴らしく、ハンガリー民俗音楽の響き色濃い旋律の数々を鮮烈に聴かせてくれます。濃厚な1曲目から一転、2曲目の『亡き王女のためのパヴァーヌ』では清廉とした響きにうっとり。この音色の切り替えはパリ室内管弦楽団の面目躍如といったところでしょう。ツェートマイアーは全体的に澱みのないテンポ感を保っており、過度なルバートや情感表現を控え、色彩明るい爽やかなハーモニーを作り上げています。柔和なフレンチ・サウンドを響かせつつ、随所のアクセントを印象的に効かせているのも聴きもの。ハープ界の寵児として大きな注目を集める俊英、エマニュエル・セイソンのソロも注目どころです。
【収録情報】
1. ラヴェル:ツィガーヌ
2. ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
3. ラヴェル:組曲『クープランの墓』
4. ドビュッシー/ビュッセル編:小組曲
5. ドビュッシー:神聖な舞曲と世俗的な舞曲
6. ドビュッシー:サラバンド(ラヴェルによる管弦楽編曲版)
7. ドビュッシー:ダンス−スティリー風タランテラ(ラヴェルによる管弦楽編曲版)
エマニュエル・セイソン(ハープ:5)
パリ室内管弦楽団
トーマス・ツェートマイアー(指揮、ヴァイオリン:1)
録音時期:2013年7月
録音場所:パリ、ル・サン・キャトル
録音方式:ステレオ(デジタル)
