『ツェルニー：再発見された天才〜室内楽、管弦楽、歌曲、宗教曲、他』　セント・ローレンス弦楽四重奏団、タール＆グロートホイゼン、他（３ＣＤ）

あの練習曲のツェルニーの知られざる室内楽、管弦楽曲。
完成度の高さに驚愕

これは興味深いアルバム。ピアノの練習曲で名高いツェルニーの、他ジャンルの作品に光をあてたツェルニーの世界音楽祭をライヴ収録。この催しはウィーン出身のカナダのピアニスト、アントン・クエルティの発案で実現したもの。ピアノ・デュオでおなじみのタール＆グロートホイゼンなども参加しています。
　ツェルニーは無味乾燥な練習曲を量産したイメージがありますが、ベートーヴェンの愛弟子でリストの師というひとかどの芸術家でもありました。彼が残した作品は膨大な数に及び、そこには交響曲や宗教曲などの大作もあります。しかしそれらの多くはほとんど忘れられ、最近でもフルートやホルンの作品をとりあげる演奏家も現れてきてはいますが、未開拓の分野となっています。
　ここでは草稿のまま眠る室内楽や管弦楽曲、歌曲を蘇演させていますが、予想以上に立派な曲の連続に驚愕。弦楽四重奏曲や管弦楽序曲はシリアスな曲調で、ベートーヴェンを思わせます。また、ピアノ四重奏や三重奏での各楽器の効果的書法、ドイツ語歌曲でのシューベルトを思わせる味わいなど、知られていないのが不思議なものばかり。ツェルニーの先入観を一新させてくれます。（キングインターナショナル）

【収録情報】
『カール・ツェルニー：再発見された天才』
1.　弦楽四重奏曲ホ短調／弦楽四重奏曲ニ短調
2.　弦楽五重奏のための2つのフガート Op.177
3.　ピアノ四重奏曲ハ短調 Op.148
4.　大三重奏曲イ長調 Op.166
5.　序曲ハ短調／序曲ホ長調
6.　オッフェルトリウム『われらが主を祝福せよ』 Op.737
7.　協奏的大セレナード ホ短調 Op.126
8.　6手連弾のためのベッリーニの主題による華麗な変奏曲 Op.297
9.　5つの歌曲（乙女の嘆き／同盟／秘密／魔王／小川のほとりでの夢想）（ドイツ語）
10.　練習曲嬰ハ短調 Op.399-10

　セント・ローレンス弦楽四重奏団（1-3）
　エリカ・ローム（ヴァイオリン：2,4）
　アントン・クエルティ（ピアノ：3,8）
　ステファヌ・ルムラン（ピアノ：4,7,9）
　トーマス・ウィーベ（チェロ：4,7）
　レナード・ラツラフ指揮、エドモントン交響楽団（5,6）
　アンドレ・モワサン（クラリネット：7）
　ジェラード・オンチュル（ホルン：7）
　ヤーラ・タール＆アンドレアス・グロートホイゼン（ピアノ・デュオ：8）
　ベンジャミン・バターフィールド（テノール：9）
　ウォニー・ソン（ピアノ：10）

　録音時期：2002年6月13-16日
　録音場所：カナダ、エドモントン
　録音方式：デジタル（第1回ツェルニーの世界音楽祭ライヴ）