基本情報
内容詳細
『イデオロギーとユートピア』(1929)で知識社会学の確立に貢献したマンハイムが、本書において扱った問題は、自由主義的民主主義社会の危機、ということであった。ナチスの抬頭による政治変動を経験した著者は、社会変動への関心を強く深め、ここに大衆社会における否定的民主化からの救済の道を求めたのである。その道は、自由放任の社会から計画的社会への道であった。あるいは、革命と反革命との間の第三の道といってもよい。この道への確信は、本書において基礎づけられ、彼の死にいたるまで探究されることになる。本書に示された現代の社会構造に対する分析と洞察は、今日いよいよ、われわれに多くのことを教えている。
目次 : 序論 社会的再建時代の意義/ 第1部 現代社会における合理的要素と非合理的要素/ 第2部 文化における現代的危機の社会的諸原因/ 第3部 危機・独裁・戦争/ 第4部 計画の水準における思考/ 第5部 自由のための計画/ 第6部 計画の水準における自由
【著者紹介】
カール・マンハイム : 1893‐1947。ブダペストに生れる。学生時代にドイツに留学、認識論の構造分析で学位を取る。1919年のハンガリー革命時にはルカーチらとともに革新知識人文化運動に加わるが、革命の挫折後、ハイデルベルクのA.ヴェーバーの下で研究生活に入る。左右両翼のイデオロギーを相対化する立場から主著『イデオロギーとユートピア』を1929年に発表、知識社会学を確立する。1933年にイギリスに亡命、主にロンドン大学で教鞭をとりながら、存在拘束性の概念を軸に、知識社会学の整備と社会構造の分析に力を注ぐ。これは自由を求めた鋭い時代診断でもあり、本書はその最たる成果である。戦後はユネスコ委員としても活躍するが、1947年に没した
福武直 : 1917年生れ。農村社会学を中心とした社会学者。東京大学教授をへて、社会保障研究所長をつとめた。1989年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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