堀淳一

堀淳一 | 【HMV&BOOKS online】は、本・雑誌・コミックなどを取り扱う国内最大級のECサイトです!堀淳一に関する最新情報・アイテムが満載。CD、DVD、ブルーレイ(BD)、ゲーム、グッズは、コンビニ受け取り送料無料!いずれも、Pontaポイント利用可能!お得なキャンペーンや限定特典アイテムも多数!支払い方法、配送方法もいろいろ選べ、非常に便利です!堀淳一ならHMV&BOOKS online!!

プロフィール

1926年、京都府に生まれ、1935年、札幌に移住。北海道大学理学部卒業後、同大学低温科学研究所助手等を経て、物性物理学・統計力学・数理物理学を専攻。理学博士。1980年まで同大学理学部教授として主に物理の研究・教育に従事。同年、人生二毛作に向けて大学を退職し、エッセイストに転向。1960年代より地形図を手に全国の旧道、廃線跡、産業遺産などを歩く旅をスタート。地図と旅の愛好者の集まり「コンターサー...
北海道 地図の中の廃線 旧国鉄の廃線跡を歩く追憶の旅』より

商品ユーザーレビュー

5件

すべてのユーザーレビューを見る(5件)

  • 北海道大学で物理学の教授を務めながら、趣味の分野で...

    投稿日:2021/04/13

    北海道大学で物理学の教授を務めながら、趣味の分野でも精力的な活動をし、地図に関する著作を多く執筆された堀淳一氏が亡くなる直前にまとめた一冊。氏の様々な書物に影響され、産業遺産や廃線跡を探訪したり、鉄道での車窓を楽しんだり、地形という観点で物事を考えたりして、楽しむようになった私には、いろいろ思うところがある。氏はこれまで、「地図の中の」ではじまる以下の2冊を執筆している。「地図の中の札幌(2012)」「地図の中の鉄路(2014)」。そして、2017年の末に本書が刊行された。本書では、北海道内にかつて存在した国鉄線(一部を除く)について、その全貌を20万分の1旧版地勢図で紹介しつつ、現在の地勢図と比較し、さらに要所については、5万分の1地形図や2万5千分の1地形図も引用し、紹介してくれている。これらの引用された地図を眺めるだけで、たいへん楽しい。ただ、正直に言うと、内容としては、残念なものを感じる部分がある。これは、執筆時の氏の年齢のためか、内容的な新しさがほとんどない点による。これまでの2作では、地形図を引用しつつ、それにまつわる興味深い論説があり、その部分で新しい知見が読者にいろいろともたらされたのであったが、本書の文章は、これまで氏が執筆されていた廃線跡探訪に係わるものをリライトしただけといったもので、特に地形図と直接的な関係のないことが書いてあるという印象が強い。むしろ風景描写中心の探訪記の体裁になってしまうところが多く、地形図より、写真を紹介してほしいような内容となってしまう。これは、氏のこれまでの廃線跡探訪問記が、基本的に写真付であり、そのために書かれたものをリライトでした体裁であるため、仕方ないのではあろうが、残念である。ちなみに引用された地形図類は、そのスジの趣味の人にはたまらないものが多い(と思う)。かつてあった森林鉄道や簡易軌道、運炭鉄道など現在は失われた線形があちこちに顔を出している。中湧別を起点とした富士製紙馬鉄など、その最たるものだろう。しかし、氏の文章は、そのようなものには一切触れず、ただ、かつての廃線跡探訪を思い出し、まとめ直したもの。加えて、その探訪も、全線というわけにはいかないので、線区によってはごく一部の紹介に記述はとどまってしまうのだ。せっかくこれだけ貴重な旧版地図を引用しているのだから、その内容や面白さを解説してほしかった。氏の薀蓄を読みたかった。そうはいっても、これだけ貴重な地図を集め、編集・引用の選定を行う作業は相当大変だっただろうと思う。結果として、興味深い地図をまとめて見ることが出来るという稀な書になっており、私は、氏の業績を偲びながらページをめくった。

    ココパナ さん

    0
  • 北海道大学で物理学の教授を務めた堀淳一(1926-)氏...

    投稿日:2021/04/13

    北海道大学で物理学の教授を務めた堀淳一(1926-)氏による素晴らしい趣味本で、出版時現存した北海道のJR線について、地形図と照らし合わせながら、その線形の面白さや、車窓を読み説いていく、というものである。路線は「全線の開通年代順」に、以下の様に並べられている。1) 富良野線 2) 函館線 3) 根室線 4) 留萌線 5) 千歳線 6) 室蘭線 7) 宗谷線 8) 釧網線 9) 石北線 10) 札沼線 11) 日高線 12) 江差線 13) 石勝線 14) 海峡線。こうして書いてみて、現存線で全線開通が一番早かったのが富良野線だったというのは、私もなかなか意外だった。それにしても、北海道の線路は随分を減ってしまった。美しい車窓風景が見られた羽幌線、興浜北線、名寄線、湧網線、士幌線、深名線、万字線、胆振線、富内線、松前線、その他多くの線路が、失われてしまった。本書の内容に戻ろう。本書では路線ごとに、まずは20万分の1地形図でその全貌を紹介し、要所要所で、新旧の5万分の1及び2万5千分の1地形図を引用しながら、解説を加える方法で記述が進められていく。(各地図は、転載の際に適宜拡縮が行われているが、その比率もきちんと記載してある)。線路を辿って地形を読み解く、という試みが面白くなるのは、鉄道の地形的制約が大きいことに由来する。回転半径、上り勾配には限界があり、工事の省力化と、目的地到達の短時間化の折衷案として路線が決定されていく。川を渡るには効率的に架橋する角度も検討しなくてはならない。さらに集落には駅を設ける必要があるが、駅の設置にはある程度の広さの平坦な場所が不可欠だ。だから、線路の線形を辿るということは、当地の地勢学や地誌そのものを検討することに繋がっている。どこの谷を通って分水嶺を超えることがもっとも合理的か。現路線に決定するまでにどのような検討が行われたと考えられるか。また、線路の付け替えなどは、どのような価値観を勘案してなされたのか。これらの考察は、多様な要素を含んでいるから、とても楽しいのだ。面白かった一例を挙げてみよう。根室線の末端に近い茶内駅以東では、線路がずっと尾根道(分水嶺)に敷かれている。通常、川に沿って敷かれる線路において、これは世界的にみてきわめて珍しい路線配置だ。この地の低湿な土壌と、台地の形態的特徴を背景として、必然的にこのようなものになった、と本書では語られている。函館線蕨岱駅付近の峠越えの変遷も本書の解説で一層興味が高まった。また「窓から見える山容」への記述も面白い。例えば、名寄盆地西側にある一見普通な山なみが、主尾根とこれに並行して孤立峰が連なるユニークな形をしていることも、あらためて指摘されてみないと、わからないことだ。地質の硬軟による浸蝕差で生まれた珍しいものとのこと。それにしても、本書で引用された数々の地形図は見ていて楽しい。引用されている地形図のうち、私が特に見どころだと感じるものについて。 ・昭和26(1951) 函館線落部駅付近 ; 路線変更のタイミングで、落部駅新旧2つが掲載 ・昭和42(1967) 根室線新得駅付近 ; 狩勝峠越の新旧両線さらに北海道拓殖鉄道が掲載 ・昭和28(1953) 室蘭線伊達付近 ; 海岸線に沿って走る旧室蘭線(現在はトンネル)が掲載 ・昭和44(1969)と平成12(2000)の有珠山 ; 1977年の噴火前後で変化した山容(車窓風景) 前者には胆振線も掲載 ・大正6(1917) 函館線ニセコ付近 ; 旧線の線形が掲載 厳密な測量を経ない等高線にも注目 ・昭和3(1928) 門別付近; 日高線の前身日高拓殖鉄道が掲載 門別にはすでに競馬場が見える ・昭和28(1953) 苫小牧付近 ; 苫東開発前の海岸を走る日高線が掲載 ・平成3(1991) 苫小牧付近 ; 最近廃止された苫小牧港開発社線が掲載 ・昭和33(1958) 夕張登川付近 ; 旧登川支線の全貌が掲載 ざっと挙げてみたが、どれも食い入るように見てしまう地形図である。その他、根室線では、線路の付け替えをもたらした2つのダムと、それに伴って消えた2つの駅(滝里駅;滝里ダム と 鹿越駅;金山ダム)のダム完成前後の姿も示されている。堀氏の文章はいつもながらの味わい。エッセイ風な自由な書き振りで、興味のあることはどんどん書くし、そうでないことはほとんど触れない。私個人的に、共感したのは、例えば、根室線糸魚沢駅付近のチライカリベツ川周辺の湿原の車窓美が素晴らしいこと、釧路湿原のシラルトロ沼周辺の散策路がまたとない楽しいものであること、などである。一方で、場所によっては毒舌が過ぎるところもあるかもしれない。例えば、留萌線の書き振りは冷たく、増毛駅については、何もない、駅前を10分ふらついて終わりだし、留萌線もほとんど乗客がいない、といった体。ちなみに、私も昨年、留萌線で増毛まで行ったのだが、深川-留萌間は座席が全て塞がるくらいの乗客だったし、留萌-増毛間も10人以上の乗客だった。増毛も歴史あるきれいな町で、駅前にある保存された旧旅館建築、旧食堂建築、駅から丘に上がったところにある北海道最古の現役の木造校舎の増毛小学校など私は大好きだし、国稀酒造、旧商家丸一本間家なども是非オススメした訪問地だ。それに美味しいお寿司屋さんやラーメン屋さんもある。そういったことに、あまり興味のない堀氏の記述は、観光という点では鵜呑みにされない方がいいでしょう。とはいえ、地図と旅が好きな人であれば、間違いなく楽しめる一冊です。

    ココパナ さん

    0
  • 物理学者であり、地図収集・研究家でもある堀淳一氏に...

    投稿日:2021/04/13

    物理学者であり、地図収集・研究家でもある堀淳一氏による趣味性満載の一冊。開拓以来、たびたび発行されてきた様々な年代の5万分の1地形図を引用しながら、時代ごとに、札幌の各所から象徴的な箇所を抽出・紹介されていく。1898年(明治30年)に発行された「札幌沿革史」には、開拓使が置かれた1869年(明治2年)当時の札幌の様子が、以下の様に表現されている。「鬱々たる密林、ほうほう(草冠に凡で“ほう”)たる茅野(ぼうや)相接し、狐兎棲息し、熊鹿出没し、真に野獣の巣窟たりき」。寒冷なる大地の開拓と、世界的にも稀な大規模移民による都市建設は、ここから始まった。古地図たちは、その当時の状況を詳細に伝えている。時代の変転とともに、開拓地の面積、地表水の所在、産業の構造、交通のシステムは劇的に変容し、そのことが地図にはっきり示される。また、氏のコメントは地図が発行された年と、測量が行われた年の「タイムラグ」にも可能な限り言及しており、必要な補正についても適宜、補筆の形で記載されているのが助かる。かつて札幌がおおくの「村」に分かれていたときの境界線の形状や、扇状地のメム(泉)から発生する多くの水路の暗渠化、いつの間にか失われた「地名」、あるいは住所から消えても、いまなお様々な形で残る「地名」など興味は尽きない。札幌という街が、いかに短期間で劇的に変容してきたか、またそのスピード感の中で何が失われてきたか、多くの貴重な痕跡が記されている。また、軽川(がるがわ;現在の手稲)と花畔(ばんなぐろ)を結んでいた軽石軌道、現創成川通沿いに札幌と茨戸川を結んでいた札幌軌道、苗穂・白石から豊平を経て定山渓に至る定山渓鉄道、定山渓近辺の森林鉄道などが記載された詳細な地図などもたいへん興味深い。かつての鉄路の場所とともに、当時の周辺状況が詳細にわかる。「文章」の量は少ないため「読み物」としてはすぐに読み終わってしまうが、氏の指摘するポイントを、一つ一つ、引用されている地図で確認し、「なるほど」と納得しながらゆっくりと読み進めるのが本書の楽しみ方と言えそうだ。また、しばしば「コラム」と概して、氏の思い出話や、願望(「もしも?だったら」の様な内容)が気楽な筆致で書かれているが、こちらは読んでみて、昔に思いを馳せたり、あるいはその気ままな発想にニヤリとしてみたりするのが楽しいだろう。札幌という町は大都市でありながら、強く郷愁を漂わせる街である。これは時代の急な流れの中で、傍流として時間の止まった箇所があちこちに点在するためで、その混交ぶりが人の心のどこかに触れるためだと思う。1972年のオリンピックの際に、近代化と称して、多くの無粋な建築物がこの街並みを壊してしまった観があるが、それでも、まだ東区や、市電の沿線には、昔の「札幌らしさ」を色濃く漂わせた地域がある。開発一辺倒ではなく、急激な都市化の過程で、20世紀の様々なものが地域ごとに混交し、それが不思議と一体感のある景色となっている。私は、そんな札幌が好きである。そのような札幌を時間軸に解きほぐしていくような本書には、あらためて強い郷愁を感じるとともに、時の流れを強烈に思い知らされるものでもある。札幌という街の「不思議さ」を感じたことのある方には、是非読んで(見て?)いただきたい一冊だ。

    ココパナ さん

    0

既に投票済みです

ありがとうございました

チケット情報

現在、堀淳一のチケットはありません。
お気に入り登録
することで最新情報をお届します。

%%message%%