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0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2015/01/18
フランスのピアニストJean Pierre Mas(1948年生)は、2010年に「JUST AVANT」が我が国でも紹介されており、ご存知の方もいらっしゃると思います。 この「Mas Trio」は、1988年に、Pierre Barouhが主催するフランスのSARAVAHレーベルからリリースされたトリオ・アルバムで、Sylvain Marc (b)、Jacques Mahieux (ds)が脇を固めています。 これが、ヨーロッパの、それもフランスのジャズというものなのでしょうか? お洒落な香りが漂い、繊細なピアノのタッチが耳をくすぐります。叙情的な曲も多く、女性向けのピアノ・トリオと言えるかもしれません。 尚、Masは、2007年にPierre Barouhのツアー・メンバーとして来日も果たしているとのこと。 Barouhの気怠いヴォーカルに合わせてピアノを弾く姿も観てみたいと思います。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。
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0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2014/11/24
Chris Lomheimは、叙情的で美しい旋律を紡ぎ出すピアニスト。 トリオ編成のアルバムとしては、「...And You’ve Been Waiting? (1994年)」、「The Bridge (2002年)」などがあり、この「Timeline」も、 2014年の3月から4月にかけて地元ミネアポリスで録音されたトリオ作品。 リズム・セクションは、「...And You’ve Been Waiting?」のGordon Johnson (b)、Jay Epstein (ds)で、なんと同メンバーでの20年ぶりの新録音ということになります。 Lomheimは、歌手の伴奏が得意なようで、その特質がよく現れた美しいメロディ・ラインと、緩急を織り交ぜた巧みなアルバム構成に耳を奪われました。 また、全てLomheimのオリジナル曲である、ということにも驚かされました。 冒頭の「Timeline (6:38)」は、彼らしい叙情性が見事に現れた演奏。このしっとりとしたピアノの旋律は、日本人好みか? 続く「Theme for a Ride (5:41) 」は、軽いリズムが心地良い曲。 3曲目「Into the Hills (6:40) 」も、メロディがとても親しみやすく、特に高音部のピアノの響きに魅了されます。名手Johnsonのベース・ソロもメロディアス。 LomheimがBill Evans派であることがよくわかる4曲目「For Emily (8:24) 」では、Epsteinの粋なドラムスも楽しめます。 一転して5曲目「Green Again (5:06)」は、躍動感に満ちた演奏で、アルバムにアクセントを付けます。 ピアノの旋律に胸が締め付けられるような6曲目「Remembrance (4:06)」。 リリカルな中にも力強さが感じられる7曲目「To Feel or Not to Feel (4:46)」では、Johnsonのベース・ソロにも力強さが漲っています。 8曲目「Solidarity (6:42) 」は、4ビートに乗せて、美しいメロディがクッキリと際立つ、本作のベスト・トラック。ベース、ドラムスのソロも見事。 9曲目「Lullaby (7:39)」も、歌詞を付けたいと思わせるほどメロディアス。ベース・ソロもしっとりと奏でられ、ミディアムテンポで和みます。 切々とピアノが歌う「Dedication (5:32)」でアルバムは締めくくられます。美しさ、ここに極まれり、と言いたいほどの素晴らしい演奏。 Lomheimのようなミュージシャンを「中堅どころ」と呼ぶのでしょうが、これほど素晴らしいピアニストを「中堅」のままにさせておくのは惜しい、と私は思います。
7人の方が、このレビューに「共感」しています。 2014/11/06
1971年の「Led Zeppelin IV(フォー・シンボルズ)」で世界一のロックバンドの地位を確立したZepが、初めてタイトルらしいタイトルを付け、1973年にリリースしたアルバム「Houses Of The Holy」。 この時期、Zepの人気は頂点に達していましたが、ビッグ・マーケットでの更なる飛躍を目指し、Jimmy Pageは、多分にアメリカ市場を意識した音づくりに挑みました。 そして、Pageの思惑は見事に当たり、アルバムは大ヒット。当時のアメリカ・ツアーは、史上最高の観客動員数を記録。 この勢いに任せて、1975年にリリースした「Physical Graffiti」も、2枚組のボリュームながら超メガ・ヒットを達成。彼らの行く手を阻むものなどないと思われました。 しかし、順風満帆のはずだったその1975年に、Robert Plantが交通事故により重傷を負い、ワールド・ツアーは中止。 それでも、Plantが怪我を押して録音を成し遂げた「Presence」が1976年にリリースされ、Zepは白鳥の歌どころか、不死鳥のように蘇ります。 しかし、不幸は重なり、1977年には、Plantの長男が病死し、またも活動は停滞。 彼らは不屈の精神で、1979年イギリスのネブワースで復活ライブを敢行。この時の、Pageの「やったぜ」と言わんばかりの笑みを記憶している方は多いと思います。 そして、例によって凝ったジャケットの「In Through the Out Door」がリリースされ、まだまだ彼らの時代は続くと思われたその矢先、1980年9月のJohn Bonhamの事故死(Pageの自宅にメンバー全員で泊まり込んだ日に、嘔吐したものが喉に詰まり窒息死)により、Zepは解散を余儀なくされます。 先日のNHK「SONGS」でのインタビューで、Pageが「Bonhamの死をどう感じたか?」と質問され、しばし沈黙の後、「君ならどう思う」と挑みかかるように答えたシーンを忘れることが出来ません。 さて、既に何度もリマスターされたZepの音源ですが、今回、Pageの監修により最新デジタル・リマスターが施されリイシュー。Deluxe Editionは、ファンが驚喜しそうな未発表音源付きの2枚組となっています。 このDeluxe Editionは3面仕様で、裏ジャケットのデザインが、正規ジャケットの色を反転させたネガフィルムのような体裁。 正規盤が完成に至るまでの試行錯誤が記録された、いわば「ウラ盤」がその未発表音源であることを暗示しているかのようです。 最新リマスターのDISC1。音がよりクリアになり、ギターがぐっと前面に出てくるようです。それは、1曲目「The Song Remains The Same」に顕著。 2曲目「The Rain Song」でも、アコギが目の前で演奏されているかのようにリアルに響きます。曲の持つ、郷愁感のようなものも強調されているのでは? 3曲目「Over The Hills And Far Away」は、Plantのハイトーン・ヴォイスの輝きが増しています。 4曲目「The Crunge」は、米国市場を十分意識したファンク調で、ここでもPlantのヴォーカルがくっきり際立っています。 Pageの進化したリフを聴くことが出来る5曲目「Dancing Days」は、アルバム中、最もキャッチーで、今回は、ギターのクリア度が増しています。音の分離も良く、キーボードもクッキリしています。 レゲエの要素が取り入れられた6曲目「D’Yer Mak’Er」では、重いドラムスの響きが鮮やか。 Page and Plantの1994年のアルバム ・タイトルにもなった7曲目「No Quarter」は、ミステリアスな雰囲気はそのままに、キーボードが前面に出てきます。 これも、米国市場を狙ったと思われる8曲目「The Ocean」。ギターと共に、バック・ヴォーカルがクリアになり、最後にドゥーワップまでも登場することがはっきり聴き取れます。 待望の未発表音源DISC2。 1曲目「The Song Remains The Same (Guitar Overdub Reference Mix)」は、ヴォーカル抜きのバージョンですが、インストでも十分通用する出来栄えは流石。 2曲目「The Rain Song (Mix Minus Piano)」は、ピアノ抜きのバージョン。 3曲目「Over The Hills And Far Away (Guitar Mix Backing Track)」は、ギターが前面に出たカラオケです。 4曲目「The Crunge (Rough Mix - Keys Up) 」は、よりファンクっぽい仕上がり。 5曲目「Dancing Days (Rough Mix With Vocal) 」は、ヴォーカル入りで、最もそれまでのZepのスタイルに近い演奏が繰り広げられています。 6曲目「No Quarter (Rough Mix With Jpj Keyboard Overdubs - No Vocal)」は、タイトル通りJohn Paul Jonesのキーボードがオーバー・ダビングされたカラオケ。 ラスト7曲目「The Ocean (Working Mix)」は、一発録りに近いようで、ライブ感が充満。 リリースから40年以上を経て、今なお色褪せない傑作を、ネガティブな面も含めて見つめ、オモテとウラから楽しみたいと思います。
7人の方が、このレビューに「共感」しています。
2人の方が、このレビューに「共感」しています。 2014/11/06
The YardbirdsからLed Zeppelinへの劇的な変貌は、Giles, Giles & FrippからKing Crimsonへの変身と同じくらいのインパクトをロック界に与えたと思います。 The Yardbirds最後のギタリストだったJimmy Pageは、メンバーの離散に伴い、奇跡の出会いとも言える後のZepの3人と、New Yardbirdsと名乗って活動していましたが、過去からの脱却を図るため、バンド名をLed Zeppelin(The WhoのKeith Moonの一言がヒントに)と改め、再スタート。 そして、1968年10月に録音され、1969年1月12日にリリースされた記念すべきファースト・アルバムが、この「Led Zeppelin」です。 初めて聴いたロック・ファンは、冒頭の「Good Times Bad Times」での斬新なドラミングに、先ず耳を奪われたはず。更に、「Babe I’m Gonna Leave You」、「You Shook Me」、「Dazed and Confused」と続く、ドラマチックな展開、Robert Plantの空気を切り裂くようなハイトーン・ヴォイス、Pageの斬新なギター・ワークに腰を抜かしたはずです(少なくとも、私はそうでした)。 本作は、Page監修の元、新たなリマスターが施された再発シリーズの第1作目。 デラックス・エディションの目玉は、1969年10月10日、パリ、オリンピア・シアターでの未発表ライブ。 当時は、若さ溢れるままの押せ押せムードで、それこそ狂熱のロック・ショーが展開されていたことがよくわかる、貴重な記録です。 先日のNHK「SONGS」のインタビューでPageが言っていた通り、「4人のうち、1人でも欠けたら、それはZepでなくなってしまう」ことを、このファーストを聴き直し、更に71分強ものライブ音源を耳にして、改めて痛感致しました。 先ずは、そのDISC2のライブから、1曲目「Good Times Bad Times/Communication Breakdown」は、イントロのみ「Good Times・・」で、瞬く間に「Communication・・」に突入。まだ、Robert Plantの歌声は、レコードと同じくらいの高音が出ています。また、写真で見る限り、John Bonhamのドラムスは、ごく標準のセットなのに、ド迫力のリズムを叩きだすのは、凄いと思います。(逆に言えば、最近は、見せかけだけのセットを並べるドラマーが多いのでは?) 間髪を入れずブルースの「I Can’t Quit You Baby」へ。ここでもBonhamが、それこそビッグ・ジェネレイターとなってメンバーを鼓舞し、Plantも負けじと声を張り上げます。力いっぱい弾きまくるPageもカッコいい。観客は「口あんぐり」だったはず。 そして、例によって、Plantが「good evening!」の挨拶を。 3曲目は、セカンド・アルバムに収録される「Heartbreaker」が早くも登場。この時点ではリリース前です。これぞZep。強力なリフが場内を満たし、4人のノリは最高潮に達します。 続くは、ライブの定番「Dazed And Confused」。Plantが「ファーストLPから・・」と曲を紹介。ムムッ、これは、スタジオ版より幻想的でスケール感も増しているのでは・・?Pageのギターのアルコ弾きが目に浮かんでくるよう。そして、後半はハイスピードの展開。アドリブも長く白熱の演奏で、ここは、John Paul Jonesの高速ベースがメンバーを引っ張ります。観客は、正に金縛り状態。 5曲目「White Summer」は、ギター中心のインストゥルメンタル。自由度の高い長い演奏で、これがPageの魔法の世界か? 6曲目の「You Shook Me」。多少ルーズに聴こえますが、構成は緻密であり、ギターとヴォーカルのエロチックとも言える掛け合いに、女性ファンは嫉妬すら覚えたのでは・・?Plantは、ハイトーン・ヴォイスとブルースハープを巧みに使い分けます。Pageのソロも、どことなくセクシー。Page/Plantのその後の活動を暗示するかような、凄まじいセッション。 続いて、PlantがBonhamを紹介し、演奏が始まると、お馴染みのリフが。そう、これはボンゾの代名詞「Moby Dick」。早くも歓声が上がり、壮絶なドラム・ソロが始まると、場内は興奮のるつぼに陥ります。もちろんスタジオ版より長く熱いプレイ。気合が入ったメンバーの掛け声も混じります。 Plantが「これが最後の曲。みんな、ありがとう」とアナウンスし、もはや4人を止めるものなど何もないように、ラスト「How Many More Times」がスタート。これもスタジオ版より自由度が高く、アドリブの要素も散りばめられた高度な演奏。セカンド収録の「Whole Lotta Love」のフレーズも飛出し、4人が力を振り絞ったプレイを展開します。 この未発表ライブ、今回のリイシュー最大の収穫では? ファースト・アルバムの成功後、彼らは「働いて、働いて、働いたよ・・」のPageの言葉通り、世界を股にかけ、前人未到の高みへと邁進していくことになります。 さて、最新リマスターのDISC1ですが、1曲目「Good Times Bad Times」は、音が随分、前に出てくる感じ。特に、Plantのヴォーカルが印象的です。 2曲目「Babe I’m Gonna Leave You」では、アコギがキラキラと輝いて聴こえます。雑味を取り除いたクリアな仕上がりで、音が強固な塊のように飛び出てくるのは、Zepならでは。 3曲目「You Shook Me」も、ギターの音がかなりクリアになりました。オルガンやブルースハープも鮮やかで、現代のロック・バンドにも負けない迫力を感じます。 と、ここで、Pageが最新のテクノロジーを駆使して、リマスターを施し、過去の音源を世に問いかける理由が分かったような気がしました。「ハード・ロックの原点、俺たちの音を聴け!」と、Pageは叫んでいるようにも思えます。 続く4曲目「Dazed And Confused」では、全体の音の分離が向上しているようです。それにしても、アイディアと言い、演奏能力の高さと言い、Zepは凄いバンドでした。 5曲目「Your Time Is Gonna Come」は、キーボード音の鮮やかさに耳を奪われます。今回の素晴らしいリマスターに感激し、ついサビのところを歌ってしまいました。 6曲目「Black Mountain Side」。これは、正にインド風。パーカッションの音がクッキリした分だけ、その印象を強くします。 7曲目「Communication Breakdown」は、現代でも、十分通用するロック・ナンバー。 8曲目「I Can’t Quit You Baby」は、Zepお得意の粘っこいブルース。Pageの速弾きのギター・ソロがよりニュアンス豊かに響きます。 ラストを飾る「How Many More Times」。これも全体のバランスに配慮したクリアな仕上がり。 Led Zeppelinを初めて聴いた、若きあの日の感動が蘇り、胸が熱くなりました。
2人の方が、このレビューに「共感」しています。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2014/11/03
何と、ポーランドの雑誌「Jazz Forum 」の付録CDとして世に出た2011年の「I Remember」で、ジャズ・ファンの注目を集めた若手ピアニスト、Michal Wroblewski。 この「City Album」は、 2014年2月に地元ワルシャワで録音されたトリオ作品で、リズム・セクションはMicha Jaros (b)、Pawe Dobrowolski (ds)。 8曲で41分弱と、コンパクトにまとめられた作品で、うち7曲がWroblewskiのオリジナル。 1曲目「Warsaw Blues」は、アルバム・タイトル通り、街の騒音からスタート。Wroblewskiの若者らしい躍動感と、ちょっとヒネリを効かせた流麗な指捌きに耳を奪われます。そして、ベース、ドラムスのソロも適度に散りばめられ、3者のコール・アンド・レスポンスが見事。これが俺たちのジャズだ、と主張しているかのようです。 2曲目「Take Nine」は、めまぐるしくも、スタイリッシュな都会のサウンドを聴かせてくれます。雰囲気たっぷりのベース・ソロもいい感じ。 Wroblewskiの高速の指捌きに圧倒される「City Lights Intro」は、題名通り4曲目「City Lights」の前奏曲。 その「City Lights」でも、Wroblewskiは弾きまくるのですが、うるさく感じないのは、彼のセンスの良さ、バックの絶妙なサポートのせいでしょうか? ワルシャワには「ショパン通り」があるようです。5曲目「Chopin Street」では、クラシカルな響きが。それもそのはず、ポーランドを代表する作曲家Frederic Chopinの作品をアレンジした曲。ムーディなベース・ソロが曲を引き締め、後半のドラム・ソロもダイナミック。 6曲目「Children in the park」は、公園に遊ぶ子供たちの情景を、音で描いた作品でしょうか?一転してリリカルな演奏で、Wroblewskiの別の一面を聴くことが出来ます。どっしりとしたベース・ソロもいい味を。この路線、もっと聴いてみたい気がします。 7曲目「Subway」は、Ramsey Lewisの「The In Crowd」を思わせる演奏。そういえば「The In Crowd」も街の雰囲気たっぷりの曲でした。中盤から4ビートへと展開するので、ライブでは盛り上がる曲だと思います。 ラスト「Joyride」。若々しいリズムを基調に、最後まで凛々しい演奏を繰り広げる3人。会心のセッションだったのでしょうか?メンバーが楽しんでいる様子が伝わってきます。 都市生活者のライフ・スタイルを、見事にジャズで表現した傑作。
1人の方が、このレビューに「共感」しています。 2014/10/13
Evgeny Lebedevは、1984年モスクワ生まれのピアニスト。 この「Fall」は、2005年録音のファースト・アルバムとのことで、当時21歳とは思えない完成度に驚かされました。 リズムセクションは、Anton Chumachenko(b)、Alexandr Zinger(ds)。 1曲目「Wayne’s Footprints」は、W.Shorterの曲を彼なりにアレンジ。スピード感溢れるイントロからワクワクさせられます。 このスピード感がアルバム全体を貫いており、スローな曲からも内に秘めた勢いのようなものが感じられます。 2曲目は、お馴染みの「You Don’t Know What Love Is」。リリカルな響きを伴い、有名曲を巧みに料理するLebedevの実力はたいしたものだと思います。 特に高音部への展開には、胸を締め付けるものがあり、そのルックスからして女性好みのピアニストと言えるかもしれません。 3曲目「Intro」は、ポップスのようなフレーズから立ち上がり、ドラムスとベースがカッコよくサポート。タイトル通り、次曲への架け橋となっています。 そのまま、若者らしいスタイリッシュな演奏へと突入する4曲目「24th Of May」。ドラムスが溌剌としています。良く響くベースとピアノとのからみも聴せどころか。 5曲目「Golden Sands」は、リリカルなイントロから、ちょっとダークな雰囲気が漂うテーマ部へ移行。Lebedevのテクニックに瞠目させられるソロです。 このスピード感は凄い。スピーカーに向かって拍手を送りたいほど。本作のハイライトでは? 6曲目「Journey For Two」は、K.Garrettの作品。Lebedevは、サクソフォーン奏者がお好きなようです。曲は、しっとりと大人の雰囲気を漂わせ、3人が魅力的なメロディを紡ぎ出します。短いながら、クールなベース・ソロも印象的。 7曲目「Russian Dance」は、リズム感に溢れ、スタイリッシュに展開していく曲。後半に現地語?のコーラスが入るのも斬新。ちょっとPat Metheny Groupの雰囲気も漂います。 8曲目「Fall」は、またもW.Shorterの曲。これも、Lebedevの実力を十分に知らされるピアノ・ソロ。ため息がもれそうです。 ラスト「Above The Clouds」は、ソプラノ・サックスが加わり、親しみやすいフレーズがそよ風のように耳元を通り過ぎていきます。これも、Pat Metheny Groupを思わせる曲。Patが若手ミュージシャンに与えた影響は大きいようです。 アルバム「Fall」は、若者らしい勢いに溢れ、かといってテクニックをひけらかさない、Lebedevの抑制の効いたピアノを堪能できる傑作だと思います。
1人の方が、このレビューに「共感」しています。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2014/07/23
大人による大人のためのライブアルバム。 Denny Zeitlinは、1938年米国シカゴ生まれのピアニスト。そして、精神医学の教授でもあるというインテリです。経歴が示す通り、知的な演奏が魅力のようで、1964年から最近まで、リーダー作だけでも20以上のアルバムを発表してきました。この「Stairway To The Stars」は、2001年にカリフォルニアのカルバーシティで録音された、トリオによるライブアルバムです。バックを務めるのは、Buster Williams (b) とMatt Wilson (ds)。演奏されている曲は、観客を意識してか、スタンダードが中心となっています。1曲目「There Will Never Be Another You(Harry Warren )」から、リリカルで知的なピアノの響きに耳が引き寄せられます。軽いスイング感を伴い、曲はライブならではの盛り上がりを。終盤では、Chet Bakerの歌唱で聞き覚えのある愛らしいテーマが再び登場します。2曲目「You Don’t Know What Love Is(Gene DePaul) 」も、良く知られたテーマを軸に、3者が対等に語り合うかのような演奏を聴かせてくれます。特に、Williamsのベースは雄弁。メランコリックな想いが去来する3曲目の「I Could Have Told You(James Van Heusen)」。この辺りがZeitlinの真骨頂でしょうか?4曲目「Oleo(Sonny Rollins)」は、一転して躍動感のある演奏を展開。3人の快調さが伝わってきます。短いアクセントの役目を果たしている曲だと思います。5曲目「Stairway to the Stars(Matty Malneck / Frank Signorelli)」は、ピアノの鍵盤が階段のように星空へと続いてゆくジャケット通りのロマンチックな曲。6曲目「I’ll Take Romance(Ben Oakland)」も、しっとり感満載の曲で、観客は息を凝らして聴きほれているかのようです。7曲目「Bass Prelude to Deluge」は、Williamsのオリジナルで、2分程度のベースソロ。次の前奏曲でしょうか?続く「Deluge(Wayne Shorter)」は、そのWilliamsのどっしりした4ビートに支えられた曲。3人の対話には、スリル感も滲んで、このステージ最大の盛り上がりを聴かせてくれます。ベースソロには遊び心も感じられます。そして、リリカルな響きを添えて曲を終わらせるところもZeitlinらしいと思います。9曲目「Spring Is Here(Richard Rodgers)」は、親しみのあるメロディーをしっとりとピアノが歌います。このアルバム、4曲目を除いては、ほぼこのしっとり系が基調となっており、客席も大人が占めていたのではと(拍手の雰囲気からも)想像できます。ラストの「Out for a Stroll」は、Zeitlinのオリジナル。ミディアムテンポで軽めの演奏です。粋なセンスが漂うのも、Williamsの絶妙なベースプレイあってこそか?
5人の方が、このレビューに「共感」しています。 2014/07/14
2014年4月にトリオで来日公演を果たした米国のピアニストFred Hersch(1955年生)から、新作「Floating」が届けられました。 私は、2007年に倒れ、生死の境を彷徨ったというHerschの体調がずっと心配で、このジャケット裏のポートレートも心なしかやつれて見えてしまいます。しかし、中身の音楽はキリッとしており、人生の苦難を乗り越えた末のHerschの魂の輝きが感じられるような演奏となっています。 バックを務めるのは、復帰後、初のトリオ作品となった「Whirl (2010年)」、そして「Alive at the Vanguard (2012年)」と同じ、John Hebert (b)とEric McPherson (ds, per)。 10曲中、7曲がHerschのオリジナル。タイトルは、「浮遊、漂い」というほどの意味でしょうか?Herschの現在の心境を意味しているのかもしれません。 アルバムは、「Night & The Music (2007年)」にも収録されていた「You and The Night and The Music」からスタート。かなりのアレンジが施されており、斬新な曲に変身を遂げています。Herschの意気込みが、こちらにもひしひしと伝わってくるような演奏。 続く「Floating」は、一転して落ち着いた曲調で、キラキラとした繊細なピアノの響きに満たされます。 これも、しんみりと聴かせてくれる3曲目「West Virginia Rose」は、母親と祖母に捧げられているそうです。ジャケットのフォト、鏡のような湖面に浮かぶガラスの家の情景がピッタリの曲。 4曲目「Home Fries」は、ベースのJohn Hebertに捧げられています。軽快なタッチで、Herschの生きる喜びが込められているかのようです。 5曲目「Far Away」は、リリカルなHerschのピアノが耳に残る曲。 躍動感あふれる6曲目「Arcata」は、3人が有機的に絡み合った素晴らしい演奏が展開されます。 7曲目「A Speech to the Sea」は、静かに囁きかけるようなピアノが心に浸みる曲。HebertもHerschのピアノと対話するかのようなベースソロを披露。 8曲目「Autumn Haze」は、同じピアニストのKevin Haysに捧げられています。時にダイナミックさも感じられ、Herschの快調ぶりを証明するような曲。 9曲目のスタンダード「If Ever I Would Leave You」は、ロマンチックな曲調で、美しいメロディをしんみりと歌うピアノの音が部屋中を満たすかのようです。 小粋で、リズミカルなThelonious Monkの「Let’s Cool One」で、アルバムは締めくくられます。McPhersonも元気なドラムスを聴かせてくれ、Herschの好調ぶりを支えています。 Herschには、これからも、ずっと元気でプレイを続けてもらいたいと思います。
5人の方が、このレビューに「共感」しています。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2014/07/07
Andre Ceccarelli (ds) 、Jean-Michel Pilc (p)、Thomas Bramerie (b)の3者の名が冠された「20 Twenty」。タイトルは、この3者の共演歴を示す年数だそうです。録音は、2013年8月。 そのピアノプレイの振幅が激しいJean-Michel Pilc参加ということで、若干身構えてプレイボタンを押しました。今回は、12曲中7曲がスタンダードということで、どうしてもそちらの方に耳が傾いてしまいます。 1曲目「All Blues (Miles Davis)」から、押しの強いピアノプレイが迫ってきて、ああ、これがPilcの世界なんだ、と妙に納得。キラキラとしたピアノと重量感のあるリズムが印象的な3曲目「On Green Dolphin Street (Kaper Bronislaw)」は、PilcがCeccarelli、Bramerieに勝負を挑んでいるかのような演奏ぶり。アブストラクトなイメージの3人の共作「Twenty」、「Opus #3」に続く6曲目「Ne Me Quitte Pas (Jacques Brel)」は、「行かないで」の邦題で知られる曲ですが、うってかわってポエジーを感じさせる秀逸なアレンジで聴かせてくれます。この辺りが、Pilcの持つダイナミズムの真骨頂でしょうか?7曲目「Old Devil Moon (Burton Lane)」は、ラテン風味のリズミックな展開で、ちょっとThelonious Monkを思わせるプレイだなあ、と思っていたら、Monkの曲も収録されていました。 その10曲目「Straight No Chaser」は、めまぐるしい展開でスイング感というよりも、スリルを味あわせてくれる演奏。そんなハラハラ感の後で聴く11曲目「L’Auvergnat (Georges Brassens)」は、強めのタッチでありながら、しっとりとしたニュアンスが漂います。 ラスト12曲目もMiles Davisの作品で、斬新なアレンジで原曲を再構築しており、これが「Solar」だと気付く方は少ないと思います。 Pilcのオリジナルで印象深いのは、8曲目「Returning」、9曲目「Things Are」で、リリカルなプレイにより、もう一つの顔をのぞかせてくれます。 全体を聴いて、Pilcらしい尖がったプレイと、つかの間の安息が同居する、優れたピアノトリオ作品であると思いました。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2014/07/01
Christian Fenneszは、1962年オーストリア生まれのギタリスト。 ギタリストといっても、ロックのそれではなく、エレクトロニカというジャンルに属する音楽家です。 坂本龍一とは「Cendre(2007年)」、「flumina(2011年)」を共作していますし、「Yellow Magic Orchestra」のサポートメンバーとして、ギター、エレクトロニクス装置を操る、その長身を目にした方も多いと思います。 また、ECMレーベルのファンなら、Iain Ballamy、Thomas Stronenのバンド「Food」の「Quiet Inlet(2009年録音)」、「Mercurial Balm(2010〜11年録音)」に参加したことを覚えているのでは? ECM好きで知られるDavid Sylvianのアルバムに参加しているのも、こんな繋がりがあってこそだと思います。 さて、オリジナルアルバムとしては、「Black Sea(2008年)」以来となる「Bécs(2014年)」。 一聴して、従来の作品よりギター音が強調されている、と言いますか、全体のサウンドの中でギターが屹立しているように感じました。 それは、冒頭の「Static Kings」から顕著であり、深海からの泡立ちのようなアブストラクトな音群から、ギター音がクッキリと抜け出てきます。 荒涼としていながら、どこか懐かしい情景が広がってくるところは、いつもながらのFenneszサウンド。 そのギター音がノスタルジックに迫る3曲目「Liminality」も見事な音響世界の構築に成功しています。 また、広大なスケール感に満ちた5曲目「Bécs」は、SF映画のサントラのよう。 更に、アコースティック・ギターが鮮やかな7曲目「Paroles」には郷愁を誘われます。 ノイジーでありながら「美」を内包した楽曲群。 深海と宇宙を往復するサウンドに浸り、夢見心地になるのも良いのでは?
海賊盤もしくは、デモテープのような音を意図的に作り出し、そのままリリースしたNeil Youngと、共同プロデューサーであるJack White(The White Stripes)の意図は、ラジオ(それもAM)に夢中で耳を傾けていた若かりし頃の思い出を反芻したかったからでしょうか?(といっても、Jack Whiteは、1975年生まれなので、かなりの懐古趣味の持ち主?) セピア色のジャケットも古き良き時代を連想させますが、そのジャケットに写っている通り、Neil Youngは、「電話で話すのに似てるけど、千倍はスリリング」と当時(1940年代)の謳い文句にある「Voice-O-Graph machine(電話ボックス程度の空間の録音ブース)」で録音したのでしょう。現代の録音でありながら、出てくる音は正に年代物。 冒頭の「A Letter Home」では、当時の人たちがそうしたように、故郷の母宛に、声の手紙(レコード)が届けられます。 レトロな音質で録音されているのは、Bob Dylan、Bert Jansch、Willie Nelson、Bruce Springsteenなど他人の曲ばかり。 Neilは、それらをほとんどギターの弾き語りにより、シンプルに歌っており、聴いている側もノスタルジックな気分に浸されます。 また、曲構成も、LPレコードのA面・B面の趣きで、レコードに針を落とす時の音や、プチッ、プチッというノイズまで聞こえてくるのにはビックリ。 遊びもここまで徹底すれば、大したものです。 私は、Gordon Lightfootの「Early Morning Rain」が、このアルバムの雰囲気に最もふさわしい曲調であると思いました。 但し、遊び心は十分すぎるほど感じますが、企画アルバムの域を出ないのも事実で、ちゃんとした音で発表してもらいたい思うのは、私だけではないはずです。
1人の方が、このレビューに「共感」しています。 2014/06/30
トリオ作品でなかったものの(そこがかえって良かったのか?)大きな反響を呼んだ、Keith Jarrett(p)とCharlie Haden(b)のデュオアルバム「Jasmine」。 「Jasmine」は、2007年3月の録音であったため、同じ2人の名義で、この2014年にリリースされた「Last Dance」は、再会セッションと思われた方も多いと思います。しかし、ライナーノーツを確認すると、「Jasmine」と同じ時期の録音であったことがわかります。 ECMは、「Jasmine」を2枚組アルバムとして発表しなかったので、「当時、ボツになった曲の寄せ集め」と言われてもしかたないかもしれません。 おまけに、「Where Can I Go Without You」と「Goodbye」は、「Jasmine」にも収録されていた曲の別テイク。 肩透かしを食らわされた心持ちで聴き始めましたが、2曲目あたりから、そんなことはどうでもよくなり、じっと耳を傾けてしまうのは、やはりこの2人のVirtuosoたる所以でしょうか? 「Jasmine」の新鮮な感動はないものの、安心して聴いていられる心地良さがあります。 Keith JarrettとCharlie Hadenは、Paul Motian(ds)とのトリオで傑作ライブアルバム「Somewhere Before」 を1968年に録音し、以降、Dewey Redman(sax)を加えた通称アメリカン・カルテットにて、1976年まで活動を伴にしてきました。 よって、Keith JarrettにとってCharlie Hadenは、Gary Peacockと同等か、それ以上に気心の知れたベーシストであると思います。 本作は、もちろん2007年3月にKeith Jarrettの自宅Cavelight Studioにて録音されたものであり、Manfred Eicherはエグゼクティブ・プロデューサーとクレジットされているため、奏者2人の水入らずセッションであったと思われ、その和み感覚は「Jasmine」以上。 これが超一流の証であるが如く、じっくりと聴かせる「Every Time We Say Goodbye」がベストトラックと思われますが、正に小粋に踊るような「Dance Of The Infidels」でのピアノの煌めき、親しみのあるメロディーを優しくピアノで歌い上げた「It Might As Well Be Spring」も秀逸。 さて、タイトルが「Last Dance」で、ラストの曲が「Goodbye」ということに何か深い意味があるのでしょうか? 1945年生まれのKeith Jarrett、1937年生まれのCharlie Haden。もはや、この2人の共演は、アーカイブものでしか聴くことができないのでしょうか?
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2014/06/26
四畳半から大宇宙に飛び出し、そのまま大気圏外を周遊する不滅の男「遠藤賢司(1947年生)」のセカンドアルバム「満足できるかな」が発売されたのは、1971年11月のことでした。 私が初めて買ったフォークのシングル盤が「カレーライス(このアルバムとは別バージョン)」であり、この曲でしんみりした後、タイガースの「シーサイド・バウンド」も登場する、B面の「満足できるかな」でぶっ飛んだ記憶があります。 極めて私小説的な世界でありながら、四畳半からの突破口を切り開き、このアルバムをロックたらしめているのは、やはり「はっぴいえんど」のメンバーが参加した 「1.満足できるかな」「4.待ちすぎた僕はとても疲れてしまった」「7.寝図美よこれが太平洋だ」「10.雪見酒」の存在であり、音楽的な幅ももたらしていると思います。 特に 「1.満足できるかな」は、そのシュールな歌詞も相俟って、その後の「エンケン」の活動を予感させるような、当時としては破天荒な曲でした。 また、ウクレレから始まる「7.寝図美よこれが太平洋だ」は、Paul McCartneyの「Ram On」を想起させられますが、深刻ぶらないところが、他のフォークシンガーとは一線を画すものだと思います。 他の7曲は、ギターまたはピアノの弾き語りですが、やはり、叙情性豊かな名曲「2.カレーライス」には、強く惹かれます。 私は、このアルバム発表当時にNHKで放送された佐々木昭一郎のドキュメンタリードラマ「さすらい」で、誰もいない日比谷野外音楽堂でひとり「カレーライス」を歌い、主人公の問いかけに「知らない」としか答えない遠藤賢司の姿を鮮明に覚えています。また、歌詞に、三島由紀夫の割腹自殺が客観的に折り込まれているのも、しらけ世代のさきがけか? 「8.ミルク・ティー」も2004年のベスト「厳選名曲集」に収録された佳曲。 「9.早く帰ろう」は、ブルースフィーリング溢れる曲で、これも他のフォークシンガーとの差異を感じさせる曲。 頭にひらめいたまま、直観的に曲を作り、そのひらめきが色褪せないうちに歌い切ったような、天才(天災?)ならではの傑作アルバム。 ところで、遠藤賢司の猫好きは、つとに有名で、1970年のファースト「niyago」にも、この「満足できるかな」にも、愛猫「寝図美」がジャケットに写っています。私は、猫もカレーライスを食べるとは知りませんでした。
1人の方が、このレビューに「共感」しています。 2014/06/19
ハンガリーの元気なピアノトリオ「Trio Acoustic」が、2013年に母国で録音した「For Trio’s Sake」。 「Trio Acoustic」は、Zoltan Olah(Piano)と、Peter Olah(Bass)のOlah兄弟が中心となり、1994年に結成。「Autumn Leaves」、「Gipsy Eyes」、「Giant Steps」、「Dedicated To You」などの作品を発表してきました。 その地域性からか、現在、入手可能な作品は「Giant Steps」くらいだと思いますので、そんな彼らの新作が、日本サイドの企画により制作されたことは嬉しいニュースと言えます。ちなみに、ジャケットも日本の方が手掛けています。 Drumsは、新メンバーのAndras Lakatos Pecekが担当。 1曲目「Hamp’s Blues (Hampton Hawes)」は、ハッピーな感覚が溢れるナンバー。パレードの伴奏曲にも使えそうで、ベースのソロもリズミカル。 2曲目「Sand In The Wind (Feco Balazs)」は、明るい展開ながら、しっとりとピアノが歌う曲で、今までの「Trio Acoustic」にはない雰囲気が漂っていると思います。 お馴染みの曲を彼らなりにアレンジした3曲目「Take Five(Paul Desmond)」は、結構ハードで緊張感のある演奏となっています。 4曲目「I’m So Grateful (Pal S. Gabor) 」は、晴れ晴れとしたピアノの音色が印象的なZoltan Olahのソロ。 最も「Trio Acoustic」らしいと思えるのが、5曲目「Makadam (Zoltan Olah)」で、パワフル且つメロディアスなトリオサウンドを聴くことが出来ます。この辺が、彼らの最大の魅力ではないでしょうか?ダイナミックなドラムソロも。 ベースがよく歌う6曲目「Stay With Me (Feco Balazs) 」は、このアルバムのベストトラックと言えそうな曲。ピアノの音色もリリカルで、ガンガン押しまくるだけではない、このトリオの別の一面を見せてくれます。 メンバーが、めまぐるしくも、楽しげな演奏を展開する7曲目「In Your Sweet Way (Dave Brubeck) 」。ここでも、ベースが素晴らしいソロを披露。 しっとりと始まる8曲目「Moon And Sand (Alec Wilder,Morty Palicz) 」は、しかし、徐々に彼ららしいテンポとなり、元気溌剌な曲へと様変わりしていきます。 9曲目「Gloomy Sunday (Rezso Seress) 」は、説得力のある演奏で、じっくり聴かせてくれる曲。アルバムの掉尾を飾るにふさわしい曲といえましょう。 全体に、選曲の趣味の良さと、Peter Olahの力強いベースが印象に残る佳作に仕上がっていると思います。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2014/06/17
イギリスのピアニストFrank Harrisonの「First Light(2006年)」「Sideways(2012年)」に続くトリオ作品「Lunaris」。 Harrisonは、11歳からピアノを始め、15歳にして演奏活動を開始。渡米してBerklee音楽院で学んだ後、イギリスに戻り、様々なミュージシャンとの共演を重ねると共に、自己のトリオを率いて活動を続けています。 本作のリズムセクションは、Dave Whitford (b)、Enzo Zirilli (ds)で、前作から一新されています。 12曲中6曲がHarrisonのオリジナル、メンバー3人の共作が2曲、スタンダードが4曲という構成になっています。録音は、2013年9月から2014年2月にかけてイギリスにて。 冒頭の「My Love and I」は、柔らかく、優しげなHarrisonのピアノがたまらないバラードで、このアルバムにスッと入り込むことが出来ます。 続く「I’m Old Fashioned」は、一転して軽快なドラムスのサポートに、ピアノが歌い、ベースもリズミックなソロを披露する曲で、スタンダードのアレンジにも秀でたものを感じさせます。 3曲目「Stars」は、フリー感覚のピアノソロ。4曲目、とぼけたタイトルの「An Evening of Spaceships and UFOs」は、3人による、これまたフリーインプロビゼーション。 5曲目「Io」は、シンセを味付けに用いた曲で、美しい情景が目に浮かぶような、雰 囲気重視の曲です。 メンバーを一新したことで、Harrisonも新たな意気込みで、このレコーディングに 臨んだのでしょう。 ボッサ風味が心地よい7曲目「Ascent」や、トラディショナルを切なげにピアノで歌 い上げた10曲目「The Recruited Collier」など、他にも佳曲が揃い、全体に落ち着 いた中にも、適度な冒険心が感じられるアルバムに仕上がっていると思います。
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