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1970年代 さんのレビュー一覧 

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     2017/01/14

    全体的に野暮ったい演奏。せっかくの名作がもったいない印象です。
    サリエーリのヨーゼフ2世の期待への応え方は実に感動的で、フランスオペラの「タラール」をほぼ全曲改変してイタリアオペラに作り変えています。おかげであのアスパシアの名アリアも誕生に至るわけですが、おそらくこの作業に伴う苦労は「改変」どころではなく「新作」に近かったのではないかと。メイの表情豊かなアスパシアはさすがですが、それもこのもっさりした演奏で台無しです。本来は喜劇的なシーンも多い「後宮からの逃走」に似た、オペラ・セリアなのですが、これ、トーマス・ファイなどの快活指揮者がメリハリの利いた快速で振ったらイメージも一変することになるだろうと思います。
    今後の新盤登場に期待したいところですね。この盤聴いて「サリエーリは凡庸」とか言われちゃったら、ちょっと可哀相過ぎます。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/12/23

    初めて買ったのはカラヤン新盤だった。その盤と当盤はいくつかの共通点を持つ。カラヤンは「アイーダはグランドフィナーレの壮麗さに気を奪われてはならない。その直後に奏でられるおお我が故郷の美しさにこそ気づかねば」といっている。また、アイーダトランペットを新調するために、ヤマハに「ツタンカーメンの王墓から出土したラッパ」の徹底的な研究を行わせている(アーノンクールが復元したのはヴェローナ初演時のもの)。しかし両者はまるっきりまったくの別物だ。
    アーノンクールはその室内楽的美しさを徹頭徹尾貫き通す。時にソロで奏でさせたり本当に緻密で繊細な音が紡がれていく。激情的なドマス、軽いスコーラ、本当はこっちが主役に違いない重厚なボロディナ。オーケストラのうねる波の中に歌手の歌声を溶け込ませるのがカラヤンなら、アーノンクールは歌手がオーケストラと絡みあって歌が抜きんでて聞こえてくる。カラヤンのように美を追求するのではなく、リアルで生々しく、時にグロテスクでさえある。
    今まで数々のアイーダを聴いてきたが、これは幾度も聴きたい名盤。安売りしてもらうのが申し訳ないくらいの奥深い「アイーダ」である。幕開け直後のチェロ・ソロとバス歌手の絡み、「勝って帰れ」や、「死は覚悟の上!」と啖呵を切るアモナズロなどの、従来とは異なるテンポ設定。凱旋でラダメスが登場する際の祭司の幽霊みたいな合唱とフガフガフガと妙に貧相に聴こえてくるファゴット、あまりに悲劇的な響きの第二幕幕切れと冷酷にも楽譜どおりにぶった切られるラストの音。すべてにおいてカンペキである。
    「清きアイーダ」でスコーラの声が遠くなるが、これはスコアどおりのppにするため。あくまでアーノンクールは楽譜に忠実なのである。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/05/11

    今までのサリエーリ演奏に騙されてきた人、ご愁傷様。
    そうなんですな、この人の楽譜は、実に、工夫に富んでおります。途中に変な音やリズムが入ったり、おフザケが入ったり、意外性があったり。「アマデウス」のせいでかなり「堅物な古めかしいオッサン」のイメージを植えつけられてしまいましたが、むしろある種の「いかがわしさ」はこちらのほうが「彼」よりも上わ手かなとさえ思います。それを表現してくれる指揮者がやっとこさ現れてくれました。
    過去の演奏は、どれも冗長かつモダン楽器特有の流麗さで、この人の楽譜の面白さをまるで伝えてくれるものではありませんでした。いうなれば「志ん生の落語を、江守徹が美声で朗読する」ようなもので、面白くもなければおかしくもない、ダラダラと長く抑揚のない、非常に退屈な演奏ばかりだったのです。良くいえば資料的価値ってやつ?そして結局は「サリエーリはやっぱりモーツァルトより劣ったんだね」・・・違うっちゅーの!
    ファイの演奏を聴けばわかる!これこそが当時のサリエーリの人気の理由だったのだと。バルトリのアリア集と、アーノンクールの「音楽が先、歌詞はあと」、それにこれを加えれば、サリエーリがいかにワクテカで面白い曲を作る作曲家だったかがわかります。どの曲も、これから始まる物語の序章にピッタリで、どんな曲が待っているのか期待に胸膨らませてくれますよ。
    食わず嫌いはマジもったいないと思います。私はこれ、一週間に2度は自然と手が伸びてますから。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/12/14

    人間ところ変われば不思議なもので1980年代鳴り物入りで登場したこの盤は当時の価値観から言ったら橋にも棒にもかからない代物と評価されました。アルトマイヤーはひりだすような声でヴァルトラウト・マイアーの高音より聴き辛いとまで言われたのです。確かにアダムのヴォータンからしてまずベーム盤に見られるような激情さが欠片も感じられません。音楽はポルタメントもなにもなくもうただ淡々と進むのみ、歌手もスコアに沿って淡々と歌うのみです。しかし昨今になって急にこのような演奏が脚光を浴びだしました。
    私は飽食になった耳が単に変化を求めたのではと感じています。
    それはヤノフスキ盤とバレンボイム盤におけるマイアーの気合の入り方の違いに如実に現れています。ヤノフスキ盤のそれはまさにこのリングのそれなのですよ。遊びがなく淡々と進むどこか空気の洩れたような白けた演奏。ヤノフスキの新盤も徐々にモチベーションが下がっているのがその証左ともいえるのではないでしょうか。新鮮と感じたのはトリスタンだけで、以降全種類を揃える人がそういるとは正直思えません。
    ここに来てこの盤が注目を受けたことはとてもうれしいことです。それだけに油物の後の黒烏龍茶のように「十分飲んだから次の油物」とされないことを祈るのみです。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/10/14

    皮肉にも初めて買ったベト全集がLASERLIGHTのケーゲル盤でした。新星堂コラボの当時破格の5000円のものでした。あまりに平凡な演奏(実は録音に問題があった)に辟易したものでしたが周囲の尋常ならざる反応に再びこの盤を手に取りました。
    言っておきます。「取扱注意」です。私は大袈裟でなくこの盤を最後まで聴くたびに気を失って病院に担ぎ込まれます。はた迷惑なので滅多に手にとらないようにしております。医師にも「もう聴かないほうがいい」とまで言われました。理由はよほどの無感動無神経な人以外ご自分で耳にすれば分かるはずです。第一楽章からアンコールまでが異常な空気が張り詰めています。終始続く緊張感に耐えられません。当時どんな客がどんな顔して聴いていたのだろうと訝りたくなるくらい尋常ならざるライブです。
    これを野辺の送りになんて考えている方の気が正直知れません。静謐というより激情を上から圧迫した悲鳴のような静けさです。こんなもの葬式で鳴らされた日にはそれこそ参列者は倒れるし遺体になっても地獄に行くのは必定、そんな曲です。「運命」はなんら解決しないしアリアは涙せずには聴けません。流れる演奏はいたって穏やかですが、決して穏やかな気持ちで聴ける類のものではないのです。
    くれぐれも聴くときに身近に危険なものを置かないように。
    あと軽率に手にしてはいけません。聴くときはくれぐれも心穏やかなときにと忠告しておきます。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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