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まるくる さんのレビュー一覧 

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     2021/03/08

    シャマユのピアノは繊細さと強靭さが絶妙な割合で同居している。ここぞというときのテクニックは目が覚めるようだし、遠くから聞こえてくるようなピアニシモのデリケートさもこの上ない。何か瑞々しい音の流れに身を任せることが、音楽と聴くことの元々の喜びであったことを思いおこさせる稀有な演奏だ。筆者は、サンサーンスのピアノ協奏曲には詳しい訳ではなく、他の演奏との比較はできないが、この演奏を聴きながら、どちらかというと軽んじられる傾向にあるサンサーンスのピアノ協奏曲が、ショパンやリストの亜流でもなく、時代から取り残されたフランスロマン主義の懐古調でもなく、音自体の持つ勢いの迸りを一筆書きのように書き留めたところにサンサーンス独自の魅力と確固たる存在意義があると改めて感じた。それから、クリヴィヌとフランス国立管が、その響きといいソロとのバランスを際立たせる遠近感といい絶妙であり、このディスクを栄えあるものにしている(それにしてもクリヴィヌがフランス国立管と残したディスクが少ないのは本当に残念。今であれば、フランス国立管のHPで幾つもの名演を視聴できるのが僅かな救いか)。

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     2013/11/23

    この春の祭典はBSでも放映されていた。クープランの墓、モーツァルトのピアノ協奏曲24番(A.ヘフリガー)、そして春の祭典というプログラム。組み合わせの妙もさることながら、A.ヘフリガーのピアノも素晴らしくパリ管の魅力満開といったプログラムで、これがそのまま商品化されればと思うのだが、春の祭典だけでもここに発売されたことに感謝したい。とにかくパリ管の個性豊かさがプラスに働いている見事な演奏だ。オーケストラも最高のメンバーで臨んでいる。木管はダブルの主席奏者が全員出場している模様。例えば、フルートではプラッツ、リュカ(何とピッコロ持ち替え)、クラリネットではベロ、モラゲスといった具合。ベルリンフィルの木管も素晴らしいが、現在ではパリ管の方が音色や個々の芸では上を行くと思う。春の祭典はバウシュ的な暴力/ある種の残酷さを備えた20世紀の悲惨の予兆的な側面を有するが、一方で音楽としては世紀末的なワーグナー以降の音の稠密を断ち切って音やリズムそのもののみずみずしさを取り戻している点が魅力的であって、その両面を表現することが必要だ。このパリ管の演奏はそれを見事に両立させた演奏。終演後の拍手の大きさもそれを裏打ちしているのではないか。カメラワークも素晴らしい。時に奏者のクローズアップとなるが、音楽に真摯に向かう個々の奏者の真剣かつ共感している姿をセンス良く映している。ヤルヴィも見事に統率しているが、初演の地のパリのまさにトポスが乗り移ったようなパリ管が総力をあげた迫力に圧倒される、画期的な演奏である。

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     2010/05/15

    音楽と演劇が理想的に融合した本来の音楽劇のあるべき姿とはモンテヴェルディのオペラにあることを実感させる素晴らしいもの。語りが歌に変質する瞬間、また感情の発露が舞台の所作から舞踏に変質する瞬間(坂部恵的にいえば、その「あわい」)が見事に掬いとられている。簡素な舞台だが、極めて密度の濃い感情がみなぎっている。単なる奇抜や安易な現代化などがいかに無意味かを悟らせる演出。素晴らしい場面を挙げればきりがない。ポッペアの情念は、本当に指先までにこめられた演技によって具現化される。オッターヴィアの無念とセネカの達観が、舞台中央に置かれたアウグストの胸像とそれを横切る動きで十全に具現化される。ネロの幼児のような無邪気と冷酷は他愛もない球戯で具現化される。そして繊細な照明もその効果を倍増する。。ミンコフスキの音楽がそれを支える。文楽を思わせるような語りの支え、絶妙な合いの手。繰り返しになるが、これぞオペラ発祥の地であるヨーロッパの水脈を継承したというような舞台だ。是非、グリューバーの手になるオペラのDVD化を期待したい。椿姫、パルジファル。。

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     2010/04/29

    デセイ、ナウリと評判の高いペリーの演出に惹かれて購入。しかし、結果は。。。ドビュッシーが作曲していた際に浸っていた象徴主義的な側面はほぼ皆無で、どこか現実的な裏さびれた家庭劇という設定にまずがっかり。舞台装置もそれに合わせて薄っぺらい。期待していたデセイもメリザンドに期待される神秘的な雰囲気が意外にない。ゴローを演ずるナウリの熱演が救いではあるが、もともとゴローのキャラクターは単純で一定の水準は他の演奏でも確保されているし。酷いのはアルケル王。ドビュッシーも(記憶違いかもしれないが)このオペラの中心的な人物と位置づけていたはずであるが、寒風の中をジャンパーを着てよたよた歩きまわる老人という感じで、この不可思議な劇すべてを見通すような叡知や透視を司る役割を期待する筆者のイメージとは遠い。これが評判高いペリーという人の舞台なのか。。。ビリー率いるオケも今一。初めてこのオペラに接するのであれば、DGから出ているブーレーズのものが群を抜く。このDVDでペレアスの本質を見損なわないように。

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