ピアノ・ソナタ全集 エリック・ハイドシェク(8CD)
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ニャンコ先生 | 栃木県 | 不明 | 2010年02月27日
この価格なら買っておいて損はない全集である。メリット1:軽めの硬いタッチと抑え気味のペダリングで全曲を弾き切っており、その結果、譜面のすべての音が透けて見えるように聴こえてくる。軽いタッチと鮮やかな指技が相俟って、全曲を通じ、全ての装飾音がもたつきも濁りもなく明瞭に演奏されている。当然、トリルの粒の揃った美しさは絶品である。メリット2:上記のテクニックを駆使して、ポリフォニックな部分では、他の演奏者が和声に埋没させてしまって聴き取りが困難な対旋律を、見事に独立した声部として聴かせる。フーガ楽章はまさに独壇場。さらに変奏楽章では、細かいパッセージの中から原主題音だけを魔法のごとく浮かび上がらせる。メリット3:よって、聴く者は、ほとんど全ての楽章で、曲の構造に関する新発見に出会い、飽きることがない。緩徐楽章のテンポが概して速めなのも、聴く者を飽きさせない要因の一つだ。メリット4:それでいて理知的、分析的な演奏かというと、全く違う。処々にちりばめられたエスプリたっぷりのアゴーギクが、初期作品では若きベートーヴェンの覇気、中期作品では表現の拡大を目指した実験精神、後期作品では自由な想像力の飛翔を鮮やかに印象づける。総じて聴こえてくるのは、後世の眼で「ピアニストの新訳聖書」に祭り上げられたソナタ全曲ではなく、後期ハイドン、モーツァルトを学ぶことから出発して、徐々にピアノ音楽の表現内容の拡大を成し遂げていった「等身大のベートーヴェン」の音楽である。デメリット:録音が悪いこと、これに尽きる。ピアノの音が痩せすぎた録音(おそらく60年代後半)と、どうにか原音の感じを伝えている録音(70年代に入ってから)が混在する。痩せて硬い音が最近のピリオド楽器を思わせて面白い、と感じる人もあろう。さらに穿った見方をして、グールド流のダンパー加工を行っているのでは、と想像をなさる向きもあろう。しかし、60年代後半のフランスEMIの他の録音(とりわけフランソワのラヴェルなど)を聴く限り、原音は豊かで陰影に満ちていたであろう演奏も薄く乾いた音にしか録音できていない。このベートーヴェン全集もしかり、である。8人の方が、このレビューに「共感」しています。
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arisuyama | 愛知県 | 不明 | 2009年11月21日
いいですね。こう云うベートーヴェンの後期のソナタを聴きたかったように思う。特に30番以降。所謂名曲と言われる表題曲も含めドイツ系の奏者の強打が続く頑固一徹風な演奏がどうも駄目だった。それら一纏めにしても、モーツァルトの軽やかな短いソナタ一曲にかなわないと思う私ですので。ケンプでさえ強打を繰り返した30番をハイドシェックは、さらりと駆け抜ける。「ああ、これがいい。」と反射的に感じ、結局最後まで頑固一徹風は無いままで終わり、改めて「これ、いい。」といっぺんにファンになった。近年のコンサートも真っ向勝負の青眼の構えでなく、絶妙なタッチで切り抜けていく姿は、肩をいからせて鬼の形相で弾きまくる中堅若手達とは器の違いがあって痛快でもあった。だから難所の前の「タメ」も微笑ましい。弾けてないじゃないかと揶揄する向きもいるが、こちらが「聞けている」からいい。こう云うこけおどしのない才能を天才と言いたい。4人の方が、このレビューに「共感」しています。
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m m music Studio | Naha City | 不明 | 2007年02月08日
じっくり聞ける、よい演奏だと思いました。 キラキラしていなくても、心にしみ入る表現になっているようです。 ん? これは、ベートーベンの本質?0人の方が、このレビューに「共感」しています。
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k | 佐賀県 | 不明 | 2005年12月27日
後期のソナタは特に涙を流すほど感動的2人の方が、このレビューに「共感」しています。
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AOY | 横須賀 | 不明 | 2003年10月13日
独特の感性はやはりハイドシェックならではのもの.全てのフレーズが魅力的であり、極上の演奏.1人の方が、このレビューに「共感」しています。
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春 | 京都市 | 不明 | 2002年08月17日
奔放で力強い演奏です。バックハウスはどうもゴロゴロ聴こえて…という人にはいいかも。全集としての総合的な質も悪くないと思います。廉価でもあり、9点をつけました。0人の方が、このレビューに「共感」しています。
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