トップ > 音楽CD・DVD > クラシック > ブルックナー (1824-1896) > 交響曲第8番 クリスティアーン・ティーレマン&ウィーン・フィル

ブルックナー (1824-1896)

Blu-spec CD 2 交響曲第8番 クリスティアーン・ティーレマン&ウィーン・フィル

交響曲第8番 クリスティアーン・ティーレマン&ウィーン・フィル

商品ユーザレビュー

星4つのユーザレビュー > すべてのユーザーレビューを見る

レビューを書いてみませんか?

レビューを書く

検索結果:1件中1件から1件まで表示

  • ★★★★☆ 

    てつ  |  東京都  |  不明  |  2020年11月16日

    私は、この演奏会をウィーンで聴いている。初めてのムジークフェラインだったのでもう聴きながら心臓バクバクだったことを思い出す。1楽章の最後とか、ティーレマンの身振りは小さいものの、ウィーンフィルが良く鳴っており、指揮者の腕の振りが小さくてもオーケストラはこんな音出すんだなぁって、昔のクナみたいなことを感じていた。細かい部分の作り込みもあって、ティーレマンって本当に巨匠っぽくなってきたなぁと変に上から目線で感心していたものだった。ということで思い入れもあるこの演奏、先日BSを見たら、どうも私の聴いた10/5ではなくて10/13の方を使っていたので、この演奏自体も13日の演奏中心なのかもしれない。もう一度ディスクで聴き込んでみると、やはり冷静になれたのか良し悪しが見えてきた。良いのはなんといってもこの完成度とウィーンフィルの鳴りっぷり。この音を聞いたら誰でも、惚れてまうがな〜という感じ。一方で、そうなんだよなぁ、この演奏ってウィーンフィルのための演奏なんだよなってところが気になる。ティーレマンはピッチャーに良い球投げさせるために乗せまくるキャッチャーみたい、そんな気がする。自分の配球よりもピッチャーを乗せる事が優先なのだ。ピッチャーが首を縦に振るまで、サインは変更される。力関係は明確にピッチャーが上なのだ。このディスクのジャケだって、クレジットはウィーンフィルが先。だから、この演奏には新しい発見とかそういうものはない。細部の隈取りの濃さも、ウィーンフィルにとっての許容範囲内。ウィーンフィルの魅力全開が主目的だから、超の付く名演とは言えないのではないだろうか。極めてレベルの高い予定調和、それがこのディスクなのではないか。これってネルソンスのベートーヴェンの全集でも同じ感じがした。このコンビならもっとすごい事ができるのかもしれないが、それをしちゃおしまいなのよ、というなんとももどかしい感じ。20世紀なら、毎月のように新譜が出ていた。スタジオ録音は、ほぼこの演奏のように高いレベルの完成度を目指していたが、爆演や超名演ではなかった。そんな中でたまに出たライブ盤の中にはものすごい演奏があった。カラヤンや一連のAltusの録音がその代表だ。ところが21世紀になるとメジャーオケの新譜はほとんど演奏会ライブだ。スタジオ録音なんてほとんどない。そうなるとライブ自体が以前のスタジオ録音同様失敗が許されないものになった。だから現在望みうるのはこのディスクのような演奏なのだ。それでもやっぱり、ライブって緊張感と燃焼度の高い物であり、一期一会を望んでしまう。しかしウィーンの聴衆は本当に熱狂していた。そうなのだ。現在これだけのブルックナーをウィーンフィルから引き出せる指揮者って他にいない。ウィーンフィルがやり易い指揮者を選ぶ、なんてたまに言われるが、それを求めているのは実はウィーンという街なのだ。無い物ねだりしてはいけないのかもしれない。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに 共感する

検索結果:1件中1件から1件まで表示