SACD 輸入盤

交響曲第2番(初稿) シモーネ・ヤング&ハンブルク・フィル(ハイブリッドSACD)

ブルックナー (1824-1896)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
OC614
組み枚数
:
1
レーベル
:
:
Europe
フォーマット
:
SACD
その他
:
ライブ盤, ハイブリッド,輸入盤

商品説明

ドイツの音楽雑誌「Opernwelt(オーパーンヴェルト、オペラの世界)」で、2006年度の年間最優秀指揮者賞を受賞したシモーネ・ヤングは、ウィーン・フィルを指揮した初の女性指揮者でもあります。
 彼女の待望のシンフォニー初録音は、味な旋律に彩られた隠れ名作のブルックナー交響曲第2番。しかも初稿による演奏であり、さらに亡きギュンター・ヴァントのお膝元でもあるハンブルクのムジークハレ(現在の名称はライスハレ)で大きな話題を呼んだ記念碑的演奏のライヴ録音、しかも、高音質なマルチチャンネル対応ハイブリッドSACD仕様でリリースされるというのですから、ブルックナー・ファンならずとも注目度の高いリリースといえるのではないでしょうか。
 実際、このアルバムで聴ける演奏は、対向配置&優秀録音という好条件を背景に、次々に現れる魅力的な旋律の洪水とも言うべき作品の魅力を、雄大なスケールの中に克明に描きこんだ素晴らしいものなのです。
 競合盤のティントナー盤とアイヒホルン盤はやや枯れ気味でしたが、このシモーネ・ヤング盤での生き生きと躍動し、クライマックスでは雄渾な音響を轟かせるパワフルなアプローチは、ブルックナーの初期作品にふさわしいものといえるでしょう。
 すごいのは楽員たちの表現力の豊かさで、いったいどれだけさらったのかと思わせるほど細かい部分にまで気持ちが入っており、指揮者との良好な人間関係を思わずにはいられません。第1楽章の第3主題(呈示部[03:17-]、展開部[08:09-]、再現部[14:16-])などほのぼのとした旋律もリズムが良いのでワクワクするほど魅力的に演奏されています。一方、第4楽章では動と静のコントラストも強烈に、指揮者、楽員ともども途切れることのない集中力で力強い音楽を構築してゆきます。

 今回、シモーネ・ヤングが、手兵ハンブルク・フィル(ハンブルク州立歌劇場管弦楽団のコンサート活動での名称)と取り上げたブルックナーの交響曲第2番初稿は、オットー・デッソフ指揮ウィーン・フィルによって試演された、作曲者の原意が最も強く反映されたヴァージョンであり、ウィリアム・キャラガンが校訂した楽譜を用いています。
 この初稿はやがて、デッソフの「長すぎる」という発言と、ヨハン・ヘルベックの「聴衆に合わせるべき」という助言を受けて、スケルツォの反復省略、終楽章56小節短縮、一部差し替えという形で正式に初演され(第1稿初演版:アイヒホルン)、その後、大規模なカットや差し替え、休符の削除といったさまざまな改訂やミックスを経て、現在一般的な第2稿ハース版(朝比奈、バレンボイム&CSO、シャイー、エッシェンバッハ、ハイティンク、インバル、コンヴィチュニー、マズア、スクロヴァチェフスキ、シュタイン、ヴァント、ツェンダー)や、第2稿ノーヴァク版(ジュリーニ、カラヤン、ヨッフム、D.R.デイヴィス、ロジェストヴェンスキー、ショルティ、若杉)、第2稿キャラガン版(バレンボイム&BPO)という形に姿を変えてゆきます。
 つまりブルックナーの第2交響曲で最も情報量が多く、かつまた「パウゼ交響曲」ともあだ名されたパウゼの効果がよくあらわれているのがこのヴァージョンなのですが、そもそもこの初稿の校訂を、レオポルト・ノーヴァクがウィリアム・キャラガンに依頼したのが1987年の話で、1990年には簡易な形で出版に漕ぎつけるとは言うものの、正式なヴァージョンの出版は2005年になってしまったという出版事情の問題もあり、録音はこれまでにアイヒホルンティントナーのものしか存在しませんでした。ということで、今回のリリースは、正式ヴァージョン出版後の演奏という点からも大いに歓迎されるところです。

 指揮者のシモーネ・ヤングは、ハンブルク州立歌劇場のインテンダントとフィルハーモニーの音楽監督を務める人物で、オペラのほかコンサート・レパートリーにも強く、ワーグナーからメシアンまで、重厚なスタイルで聴きごたえある音楽をつくりあげることではすでに定評があります。
 そのヤングが、実力・真価をブルックナーのシンフォニーでもフルに発揮、1828年創立という長い歴史を持ち、ブルックナー演奏に関してもヨッフムやカイルベルトとの伝統を誇るハンブルク・フィルを指揮、71分以上をかけて雄大に濃厚にうねるような見事な演奏を聴かせてくれているのです。
 ちなみにコンサート当日は、前半にシェーンベルクの小品「弦楽とハープのためのノットゥルノ」と、元ベルリン・フィルのヴィオラ奏者で現在は作曲家として活動するブレット・ディーンのヴィオラ協奏曲が演奏されています(ディーンの名はラトルの『惑星』に組み合わされた『コマロフの失墜』で一躍有名に)。

 シモーネ・ヤングのエームス・クラシックスへの第2弾録音としては、ハンブルク州立歌劇場の音楽総監督に就任した最初の新演出の上演で取り上げ、大きな話題と高い評価を得たヒンデミットのオペラ『画家マティス』全曲のライヴ・レコーディングの発売が予定されています。

ブルックナー:交響曲第2番ハ短調 WAB102(1872年稿)[71:22]
 校訂:ウィリアム・キャラガン(2005年出版)
 第1楽章 Ziemlich schnell [20:40]
 第2楽章 Scherzo: Schnell [10:47]
 第3楽章 Adagio: Feierlich,etwas bewegt [19:32]
 第4楽章 Finale: Mehr schnell [20:23]
 ハンブルク・フィルハーモニー
 シモーネ・ヤング(指揮)

 録音時期:2006年3月12,13日
 録音場所:ハンブルク、ライスハレ(ムジークハレ)でのライヴ
 SACD Hybrid
 Stereo/Multichannel

【参考データ:演奏時間】
ヤング   :20:40+10:47+19:32+20:23=71:22(2006)
ティントナー:20:50+10:53+18:00+21:19=71:22(1996)
アイヒホルン:19:40+10:59+15:42+20:55=67:16(1991)

【シモーネ・ヤング・プロフィール】
1961年3月2日、オーストラリアのシドニーに生まれ、そこでピアノと作曲を学びました。貝殻を形どった外観で名高いシドニー・オペラ(ハウス)でアシスタントを務めていた1985年、急病の指揮者に変わり、わずか数時間という予告で見事に代役を務め、センセーショナルなデビューを果たしました。
 その後奨学金を得てヨーロッパに留学、ケルン市歌劇場でコレペティ、アシスタント、専属指揮者を務め、パリではダニエル・バレンボイムのアシスタントとしてパトリス・シェローの演出による伝説的なベルク『ヴォツェック』の上演にも携わり、バイロイト音楽祭の『ニーベルングの指環』のアシスタントなどもこなしてその実力を蓄えていきます。
 1993年から1995年まで、ベルリン州立歌劇場の専属指揮者を務めるとともに、その間に世界各地の名門歌劇場に客演して短期間のうちに名声を築き上げました。それには1993年、ウィーン国立歌劇場での『ラ・ボエーム』公演で、女性として初めて歌劇場管弦楽団を指揮したこと、パリ・バスティーユ・オペラ、コヴェントガーデン・ロイヤル・オペラ、フィレンツェ五月祭、バイエルンとハンブルクの州立歌劇場が含まれます。
 また、コンサート指揮者としてもシュターツカペレ・ベルリン、ミュンヘン・フィル、ハンブルク・フィル、ニューヨーク・フィルなどの指揮台に招かれていますが、1997年には、ウィーン・フィルを2005年11月、ウィーン楽友協会で156年の歴史上はじめて振ったことでも世界的な話題になりました。1999年から2002年までベルゲン・フィルの首席指揮者、2001年から2003年までシドニーとメルボルンのオーストラリア・オペラの首席指揮者兼芸術監督を務め、2005年からハンブルク州立歌劇場のインテンダント兼フィルハーモニーの音楽総監督(GMD)に就任し、精力的な活動を繰り広げています。
 わが国でも1997年と2003年にNHK交響楽団に客演指揮して、好評を博しています。また2006年にはハンブルク高等音楽演劇院の教授に就任し、後進の指導にもあたっています。

収録曲   

ブルックナー:交響曲第2番ハ短調 WAB102(1871/72年稿)[71:22]

  • 01. 第1楽章 Ziemlich schnell [20:40]
  • 02. 第2楽章 Scherzo: Schnell [10:47]
  • 03. 第3楽章 Adagio: Feierlich,etwas bewegt [19:32]
  • 04. 第4楽章 Finale: Mehr schnell [20:23]

総合評価

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一言で言って強弱が激しい。ブルックナーの...

投稿日:2021/03/21 (日)

一言で言って強弱が激しい。ブルックナーの場合、終始音量差がない方が聴きやすい。冒頭のトレモロは聴こえる。実は聞き取りにくい指揮者が多い。せっかくのSACD、サラウンド音声で聴くとさらに素晴らしい。ただ多少強奏箇所で音が濁る。当全集シリーズの中では2番は最初に出てきた方ではなかったか。記憶違いであったらごめんなさい。レコーディング担当が多少慣れていなかったのかもしれない。ヤングにいつも思うことであるが、もっと上手いオケでやらせてあげたい。最初からこのレベルを聴かせてくれるのであれば、将来必ずや女性ヴァントになれる。金太郎飴ではないがどこを切ってもブルックナーであるのはさすがである。ただ如何せんオケの音色に艶がない。

ゆっきー さん | 千葉県 | 不明

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もう指揮者も女性だとか、オーストラリア出...

投稿日:2013/07/22 (月)

もう指揮者も女性だとか、オーストラリア出身だとか、関係なくなって来る事を、如実に示すライヴ録音、しかもいきなり、ドイツ音楽の大曲、ブルックナー。特に音楽が鳴り刺せば、柔らかみ、女性らしさ、感じさせる処、ないではないですが、豪快、丁寧に、ブルックナー、立派に聴かせてくれます。アメリカのオルソップ、とは対照的な道、歩んでらっしゃいますが、ハンブルグを、離れての展開も楽しみ。充分巨匠のスケールを持つ演奏。

sunny さん | 兵庫県 | 不明

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 いわゆるブルックナー指揮者の演奏でも、...

投稿日:2012/05/23 (水)

 いわゆるブルックナー指揮者の演奏でも、「2番」は曲自体に今一つピンと来るものがなく、聴く機会が極めて少なかった。  シモーネ・ヤングのブルックナーシリーズを購入し始め、その内容に感動したこともあり、ライブラリーの賑わいとしてとりあえず「2番」も購入しておくか程度の気持ちで買ってみた。一聴してすごい曲だと感じ、何故今までこの曲をスルーしてしまったのだろうと本当に不思議な気持ちになった。「2番」を敬遠している人がいたら是非ともこの演奏を聴いて頂きたいと思う。

爺さん さん | 千葉県 | 不明

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人物・団体紹介

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ブルックナー (1824-1896)

1824年:オーストリアのアンスフェルデンでヨーゼフ・アントン・ブルックナー誕生。 1845年:聖フローリアン修道院の助教師に就任。 1856年:リンツ聖堂及び教区教会のオルガン奏者に就任。 1866年:交響曲第1番完成。 1868年:音楽大学の教授に就任。 1869年:交響曲第0番完成。 1872年:交響曲第2番完成。 1873年

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