CD 輸入盤

歌劇『トスカ』全曲 ニルソン、コレッリ、F-ディースカウ、マゼール&聖チェチーリア(2CD)

プッチーニ (1858-1924)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
4607532
組み枚数
:
2
レーベル
:
:
Europe
フォーマット
:
CD

商品説明

1966年ステレオ録音。自らを“劇場の申し子”と称し、その生涯に12のオペラを残したジャコモ・プッチーニ(1858-1924)の名作の中でも、そのドラマティックな展開と「主役の3人が全員非業の死を遂げる」というストーリーのインパクトで絶大な人気を誇っているのがこの『トスカ』。当然レコーディングも多く、CDでも数々の名盤がリリースされていますが、このマゼール盤は、あまたの競合盤に囲まれながら、独自の存在価値をいささかも失わないユニークな一組としてマニアには有名なものです。
まずは、驚くべき緻密な充実を誇るマゼールの指揮が秀逸。細部を検証するというよりは暴き立てるかのようなエグリの効いたアプローチはこの指揮者ならではのもので、プッチーニの手の込んだオーケストラ部の多様な面白さをあきれるほど鮮やかに切り取ってみせる痛快な手腕はさすが。単純な激情型アプローチからはけっして聴かれることのない刺激に満ちた演奏と言えます。
ビルギット・ニルソンによるトスカ役も実にユニーク。戦後おそらく最強といわれたこの超ドラマティック・ソプラノによる歌唱はどこまでも強靭で、かつ器楽的なまでに玲瓏な美感に満ちています。そのあまりにも美丈夫な役作りには“悲劇のヒロイン”といった風情は希薄ですが、彼女がもっとも得意としたワーグナーのヒロインたちにも通じる崇高なまでの気高さは、他に代えようのない聴きものといえるでしょう。
“万能のバリトン”フィッシャー=ディースカウによるスカルピア役は、ある意味でこの全曲盤の影の主役とも言うべき凄まじい出来栄え。得意の性格的な表現によってあぶり出されるスカルピアの暗い内面が、状況に応じて微妙に変化してゆくあたりの心理描写の的確さには仰天するほかありません。特に第1幕の終結部を飾る有名な「テ・デウム」は圧巻で、単に力まかせな演奏も多いなかで、ここではスカルピアの狡猾さ、ドス黒い野望、さらには自らの妄想によって忘我状態におちいる有様までが克明に描かれて、もう開いた口がふさがりません。同じ傾向のアプローチによるマゼールの指揮もいちじるしい相乗効果をあげて、この場面は全曲中のクライマックスといいたい強烈さです。
フランコ・コレッリのカヴァラドッシ役は、これは得意の役柄なだけに、主役3人のなかではもっともスタンダードな歌唱と言えなくもありませんが、持ち前のヘヴィーで輝かしい声をフルに使った役作りによって、本来のこの役柄をはるかに越えるスケールをおのずから歌いだしてしまった感があります。コレッリとニルソンといえば、同じプッチーニの『トゥーランドット』における凄絶な歌合戦がイタ・オペ史上の伝説となっていますが、互いに役柄を代えたこの『トスカ』でも圧倒的なツバ競り合いを聴かせます。確かに、ニルソンの立派すぎるトスカの相手役は、このコレッリでなければ務まらなかったのではないか、そう思わせるに足るみごとに重い出来栄えです。
このように、意地悪なくらいウデの立つ指揮者のもとで、常識よりもひと回りスケールの大きい登場人物たちが濃厚な人間模様を披露した当盤、普遍的な名盤と推奨するにはためらわれますが、いわゆる「ウラ名盤」としてこれほど刺激的な楽しみを与えてくれる一組も無いといっていいでしょう。

・プッチーニ:歌劇『トスカ』全曲

 トスカ:ビルギット・ニルソン
 カヴァラドッシ:フランコ・コレッリ
 スカルピア:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ
 アンジェロッティ:シルヴィオ・マイオニカ
 堂守:アルフレード・マリオッティ
 スポレッタ:ピエロ・デ・パルマ
 シャルローネ:ディノ・マントヴァーニ
 看守:リベロ・アルバーチェ
 牧童:パトリツィオ・ヴェロネッリ

 ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団&合唱団
 ロリン・マゼール(指揮)

収録:1966年

収録曲   

ディスク   1

  • 01. (1570) Lucky Millinder & Orchestra - When the Lights Go On Again (All Over the World)
  • 02. Act L: E Sempre Lava!
  • 03. Act L: Dammi I Colori...Recondita Armonia
  • 04. Act L: Voi! Cavaradosi!
  • 05. Act L: Mario! Mario! Mario!
  • 06. Act L: E' Buona la Mia Tosca
  • 07. Act L: Sommo Giubilo, Eccelienza!
  • 08. Act L: Un Tal Baccano in Chiesa!
  • 09. Act L: Or Tutto E Chiaro
  • 10. Act L: Tre Sbirri, Una Carrozza

ディスク   2

  • 01. Act LL: Tosca E un Buon Falco!
  • 02. Act LL: Ha Piu Forte Sapore
  • 03. Act LL: O Galantuomo, Come Ando la Caccia?
  • 04. Act LL: Ov'e Angelotti?
  • 05. Act LL: Sciarrone, Che Dice Il Cavalier?
  • 06. Act LL: Orsu, Tosca, Parlate
  • 07. Act LL: Floria... - Amore
  • 08. Act LL: Vittoria! Vittoria!
  • 09. Act LL: Quanto?
  • 10. Act LL: Vissi d'Arte
  • 11. Act LL: Chi E La?
  • 12. Act LL: Io Tenni la Promessa
  • 13. Act LLL: Lo De' Sospiri
  • 14. Act LLL: Mario Cavaradossi?
  • 15. Act LLL: E Lucevan le Stelle
  • 16. Act LLL: Ah! Franchigia a Floria Tosca
  • 17. Act LLL: O Dolci Mani
  • 18. Act LLL: Come E Lunga l'Attesa!
  • 19. Act LLL: Presto, Su! Mario!

ユーザーレビュー

総合評価

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冒頭の和音から一気に引き込まれる、ドラマ...

投稿日:2021/03/07 (日)

冒頭の和音から一気に引き込まれる、ドラマチックな演奏です。マゼールならではの、巧みな聴かせ方が、オペラの劇的な展開とあいまって、見事にはまっています。3人の主役歌手も、プッチーニにしては、やや大柄なメンバーですが、ドラマチックな歌唱が聴きごたえ十分です。フィッシャー・ディスカウは、冬の旅で失恋した青年の心情を歌っているときと全くことなり、本当に腹黒い役人っぽいです。最近は手に入り難い状態が続いているようですが、マゼールの他のオペラ録音も含めて、再発売を期待しています。

乱筆不治 さん | 東京都 | 不明

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批評ではほとんど無視されたものの、一聴に...

投稿日:2008/06/06 (金)

批評ではほとんど無視されたものの、一聴に値するフィッシャー=ディースカウのスカルピアはもちろん、舞台でもお得意だった、ニルソンのトスカの輝かしい声、加えて極め付きのコレッリのカヴァラドッシが聴ける名録音。何しろDECCAならでは、の声の艶やかさと厚み、オケの輝かしい鳴りっぷりで聴く、ドラマティック・プッチーニ!

オペラかじり虫 さん | 西宮市 | 不明

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プッチーニの雄弁なオーケストレーションが...

投稿日:2004/12/31 (金)

プッチーニの雄弁なオーケストレーションがマゼールの手にかかると生き物のように歌い、うなり、吼える。コレッリの血の吹き出るような激しさ哀切さ、ニルソンの鮮烈な声の力、ディースカウの堂々たる威圧感と演技力、加えて最新録音かと思える音といい、これまで聴いたトスカで最高!

大沢夏夫 さん | 兵庫県 | 不明

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