CD 輸入盤

交響曲全集 ベルグルンド&ヨーロッパ室内管弦楽団(3CD)

ブラームス(1833-1897)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
ODE1229
組み枚数
:
1
レーベル
:
:
Europe
フォーマット
:
CD
その他
:
輸入盤

商品説明

ベルグルンドのブラームス交響曲全集
透明なテクスチュアと鋭敏なリズム


2000年5月のデジタル録音。FINLANDIAレーベルの鮮烈をきわめたシベリウス交響曲全集によって、あらためてその実力を見せつけた北欧の名指揮者ベルグルンドが、ドイツでの連続演奏会をライヴ・レコーディングして大きな話題を集めたブラームスの交響曲全集。
 オーケストラはシベリウスのときと同じヨーロッパ室内管弦楽団で、ここでも透明なテクスチュアと鋭敏なリズムが際立ち、このコンビならではの古典的な均整美が表された演奏が実現されています。
 最大の特徴は、楽譜の指定から人数を大幅増員した伝統的なスタイルによる演奏からはまず聴くことのできない引き締まったサウンドにあります。豊富な各声部の情報により、明確に浮き彫りになった作品のフォルムの美しさなど、ピリオド・スタイルの演奏にも一脈通じるところがありますが、ここでは、モダン楽器ならではの響きの豊かさとつややかさ、機能性の高さが十分に発揮されているのも大きな特徴となっています。
 日本で言う明治時代、近代のヨーロッパで活躍したブラームスの作品ということもあってか、いたずらに小編成の利点を生かした素朴な演奏になっていない点もさすが。ベルグルンドならではの見通しの良い制御の行き届いたアプローチが、目の詰んだ構築的な音楽のもたらす充足感のようなものを与えてくれるのが印象的ですが、これが楽譜に忠実な演奏のもたらす結果なのかも知れません。
 凝りに凝った構造構築に徹し、ある意味では旋律さえも構造に奉仕するような雰囲気さえ漂うブラームスの交響曲本来の持ち味に、ストイックに肉薄した見事な演奏です。(HMV)

【収録情報】
・交響曲第1番ハ短調 op.68
・交響曲第2番ニ長調 op.73
・交響曲第3番ヘ長調 op.90
・交響曲第4番ホ短調 op.98

 ヨーロッパ室内管弦楽団
 パーヴォ・ベルグルンド(指揮)

 録音時期:2000年5月11〜14日
 録音場所:バーデン=バーデン
 録音方式:デジタル(ライヴ)


「一度全部聴き、確認のため再度聴こうとしたら、もう止まらない」
平林直哉著『盤鬼、クラシック100盤勝負!』より


 近年の、最高傑作のブラームス。全集としては、ザンデルリンクおよびヴァントの両新譜以来の傑作であろう。しかも、このシベリウスのスペシャリストとして名高いベルグルンドの解釈は二人と対照的なので、価値はいっそう高い。オーケストラは第一、第二ヴァイオリン合計で二十人という小編成。最近の傾向では、小編成での演奏は軽くてテンポが速めというのが相場である。しかし、この演奏はそういったありきたりのものとは似て非なるものである。ここには指揮者の長年の経験と、スコアを徹底的に洗い直した謙虚さと新鮮さが見事に結実している。
 『第一番』の第1楽章の序奏など、伝統的な響きに慣れた耳にはいかにも軽く聴こえる。だが、主部のうまみの成分を凝縮しきった響きと、各声部の緻密な制御、そして軽快なテンポが、たとえようもない爽快さを生み出し、伝統、重厚、渋さといったこれまでの価値観がどこかへ飛んでいってしまう。
 『第二番』も始まってすぐ、ヴァイオリンの透明な音に魅了され、その先の期待感がグッとふくらむ。特筆されるのは終楽章だ。魚が網から下ろされ、船上でピチピチはねているような、目もくらむような新鮮さ。そして、バランスや浮き沈みが見事に計算されて、オーケストレーションの面白さが次から次へと耳に飛び込んでくる。
 『第三番』では、たとえば第一楽章。弦のシンコペーションとか、木管の合いの手であるとか、脇役が脇役ではなく、個々にしっかりと主張があり、全体が驚くほど有機的につながり、きれいにブレンドされている。第三楽章の弦楽器の美しさも、思わずため息がでるほどだ。
 『第四番』も全編、どこをとっても最高点だが、強いて言えば第一楽章。ここの柔らかさ、流れの良さ、品の良さ、緻密な作りなどは、過去のあらゆるLP、CDの中でも群を抜いたできばえかもしれない。このCDをリアルタイム聴けたことを喜ばしく思うほどである。一度全部聴き、確認のため再度聴こうとしたら、もう止まらない。
(ひらばやし なおや 音楽評論家)

収録曲   

  • 01. Symphony No 1 in C minor, Op 68
  • 02. Symphony No 2 in D Major, Op 73
  • 03. Symphony No 3 in F Major, Op 90
  • 04. Symphony No 4 in E minor, Op 98

総合評価

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分厚い響きに慣れ親しんだあなた、たまには...

投稿日:2024/02/04 (日)

分厚い響きに慣れ親しんだあなた、たまにはこうしたブラームスもいいものですよ。各楽器のメロディがつぶさに浮かんできて、とても楽しいですよ。カラヤン、ベーム、フルトヴェングラーも結構!そこで、ヨーロッパ室内管弦楽団の名手たちにしばし酔いしれましょうよ。

酒を愛する老人 さん | 北海道 | 不明

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日本のオーケストラによるブラームスを聴く...

投稿日:2014/05/28 (水)

日本のオーケストラによるブラームスを聴くと「響きが薄い」ように聞こえる経験をされたことはありませんか?欧米とは違うなあ、という感じです。ところがこの演奏を聴いてわかりました。もともとブラームスのオーケストレーションは「薄い」のです。ベートーヴェンは推進力と響きを刻みで両立させましたが、ブラームスはシンコペーションを多用し、推進も響きもある意味中途半端です。19世紀後半、人々は本来のブラームスを聴いていたのでしょうが、時代はワーグナー、ブルックナーの後期ロマン派が花開き、人々は厚い響きの魅力を知りました。そこで当時の指揮者はブラームスも弦を多くして響きを厚くしてみました。すると、あの独特の渋みが出てきました。指揮者はブラームスの交響曲を「分厚く」するための工夫を始めました。世の指揮者はこのブラームスの響きの工夫をしているのでしょう。あのヴァントですら工夫の権化なのです。しかし、響きを作ることを重視すれば、曲そのものの性格を描き出すことは後手に回ってしまいます。この矛盾をフルトヴェングラーは指摘したものでした。結局この矛盾自体は解決せず、力づくでした。地力のあるオーケストラは、この工夫に費やすロードが少ないために、指揮者は、例えば1番ならデモーニッシュな部分に光を当てたり、響きそのものよりも推進力にベクトルを合わせたりできるたので、地力のある有名オーケストラに名演が多いのです。カラヤンのロンドンライヴなどはその良い例です。話を元に戻しますが、このベルグルンドの演奏こそが本来のブラームスであり、私たちが普段良いと思っているのは後期ロマン派の衣装を纏わされたブラームスではないのか、と思えてきます。それくらいこの演奏から学ぶものは多く、聞く価値があるのではないでしょうか。

てつ さん | 東京都 | 不明

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小編成によるブラームス。普段聴きなれてい...

投稿日:2013/10/02 (水)

小編成によるブラームス。普段聴きなれている大編成の重厚な演奏と違い、透明性のある響きが特徴です。弦楽器に時々いかにも「生」という感じの音色が聴かれますが、管楽器は普通だし、打楽器も特別なことはしてませんね。だから違和感はそんなにないし、意外に手ごたえのあるいい演奏でした。ベルグルンドさんは何しろベテランですので、いろんなことをよく心得ております。無味乾燥に陥ることなく、ロマンティックなブラームス。またこういうスタイルで聴くと、第1・2番と、第3・4番の間に作風の違いがあるのもわかるなあ。開放性と設計感がある前者に比べ、後者はもっと内向きの想念と流れがあるような気がしましたなあ。いろいろ考えるところのあるアルバムでした。録音は優秀。ブラームスの交響曲全集の名演ということではなく、一つの試みでありつつ、演奏者の「技」を開陳した特別な演奏として受け止めてはいかがでしょうか。個人的には、聴けて良かった、と思っております。

ほんず内閣総理大臣 さん | 北海道 | 不明

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ブラームス(1833-1897)

1833年:北ドイツのハンブルクでヨハネス・ブラームス誕生。 1843年:演奏会にピアニストとして出演。作曲家、ピアニストのマルクスゼンに師事。 1852年:ピアノ・ソナタ第2番が完成。 1853年:ピアノ・ソナタ第1番、ピアノ・ソナタ第3番が完成。 1854年:ピアノ三重奏曲第1番、シューマンの主題による変奏曲が完成。

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