レクィエム、ミゼレーレ、天の星　Ｍ．シュナイダー＆ラ・スタジオーネ・フランクフルト

ヨゼフ・マルティン・クラウス若き日の「レクィエム」、
モーツァルト晩年の「レクィエム」に影響を与えた傑作！

モーツァルトと同年生まれで同様に短命、知己の間柄であったと類推される北欧で活躍した作曲家、ヨゼフ・マルティン・クラウスが、1775年、19歳の時に書いたレクィエムは、「キリエ」はじめ、後年書かれたモーツァルトのレクィエムに似ているところが少なくなく、モーツァルト好きなら聴き逃せません。
　モーツァルトのレクィエムに多大な影響を与えた作品としては、他にミヒャエル・ハイドンのレクィエムが有名です。これはミヒャエル・ハイドンが仕えていたザルツブルクの大司教シギスムント・クリストフ・グラーフ・フォン・シュラッテンバッハ[1698-1771]の死に際して作曲されたものですが、同じ時期に自分の娘が僅か１歳で亡くなっており、その悲しみが作品に込められているとも伝えられています。
　実際、そのレクィエムは素晴らしく、初演の際に臨席したモーツァルトが感銘を受けたことも思わず納得の美しさであり、20年後に書かれた名高いレクィエムの随所に類似点が確認できるのも興味深いところです。ちなみにモーツァルトは、ミヒャエル・ハイドンの交響曲ト長調MH334に序奏を付けて（交響曲第37番K.444）コンサートで演奏するなど、レクイエム以前にも彼のお世話(？)になっていました。
　ヨーゼフ・マルティン・クラウスに話を戻します。クラウスは、日本でも知名度が高まってきている作曲家で、劇作家、著述家、画家としても活動し、1781年にストックホルムのグスタフ３世の宮廷作曲家として任用され、そこでも多くの経験を積み豊かな音楽を書きあげています。
　なお、モーツァルトのソックリさんといえば、皇帝の前でのクレメンティとの競演の際に演奏されたソナタのメロディを、10年後にそのまま『魔笛』序曲の主題として使っている話も有名です。

【収録情報】
ヨゼフ・マルティン・クラウス[1756-1792]
・ミゼレーレ VB 4
・レクィエム VB 1
・天の星 VB 10
　アンネメイ・ブレッシング＝ロイハウゼン（ソプラノ）
　ポール・ゲルハルト・アダム（カウンターテノール）
　カルメン・シュラー（メゾ・ソプラノ）
　ユリアン・プレガルディエン（テノール）
　エッケハルト・アベレ（バス）
　ドイツ室内合唱団
　ラ・スタジオーネ・フランクフルト
　ミヒャエル・シュナイダー（指揮）

　録音時期：2008年
　録音方式：デジタル（セッション）