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Review List of フォアグラ 

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  • 1 people agree with this review
     2022/03/20

    メジャー・レーベルへの録音が殆どなかった幻の名匠ホーレンシュタイン。彼の音楽はスケールが大きく豪胆。それはCD1のマーラー3番から明らかだ。クライマックスの作り方も見事で聴き手の予想のさらに上をいく。さすがにオケは終楽章でバテているがそれでも感動的な出来であり、10年後のユニコーン盤より優れている。続く1番でもホーレンシュタインは畳み込むことは一切せず雄大に音楽を鳴らす。ブルックナー8番も非常な名演。造形が揺るがずしかも白熱した演奏。マーラー1番で技術的な問題のあったウィーン・プロムジカ管弦楽団もこちらは安定している。「エロイカ」では遅めのテンポと強烈なティンパニの打ち込みが印象的。歴史的名演であるレーケンパーとの「子供の死の歌」も必聴。「スコットランド幻想曲」での濃密で情感深い表現も素晴らしく思わず涙ぐんでしまう。ここまで書いて思い当たったが、ホーレンシュタイン、オイストラフともにウクライナの出身だ。この二人の豪胆さはここからきているのか。ホーレンシュタインはヒトラー、オイストラフはスターリンという暴君に人生を左右された。今ウクライナが暴君によって蹂躙されるのを二人は草葉の陰からどのように見ているのだろう。プロフィールの復刻は問題ないが装丁はお粗末。今時ベリッと剥がす白の紙袋にCDを入れるなんてみたことない。表記ミスもある。「画家マチス」はフランス国立放送管ではなくパリ放送交響楽団(弦フランス放送フィル)である。正直こんなにいいならヴェニアスを買えばよかった。その点が心残りだ。

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  • 11 people agree with this review
     2022/03/17

    ベームの厳しい造形の基に築かれた演奏は安定度抜群。モーツァルトの初期交響曲も実に立派に鳴り響く。最高の職人芸。「ハフナー・セレナード」「ポストホルン」もいい演奏だなあ。ベーム人気に火が付いたのは75年来日からだが、それ以降にLPで発売されたブラームス交響曲全集、ブルックナー、ドヴォルザークなどは気力の減退を感じ失望した覚えがある。しかし今聴きなおすと決して悪くないのだ。私の耳が肥えたというより私が老いたのだろう。それでも50年代から60年代の造形はびくともしないながら頑丈な骨格からはみ出すばかりの充実した音楽が鳴る演奏こそベームの真骨頂だと思う。管楽器もガンガン鳴らすし。最後に一言苦言を。オリジナルジャケットは嬉しいのだが、詰めが甘い。モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトが交響曲全集の均一ジャケットしか使われていないし、レコード番号、ステレオ表記はあったりなかったり。マゼール初期録音集のジャケット復刻は完璧だったのだからどうしてこんなことで手を抜くのか。ほんとユニヴァーサルはわからない。

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  • 4 people agree with this review
     2022/03/04

    ロバート・ワイズ監督の61年版を観たのは70年代中学生の時。衝撃だった。今回のリメイク版はいろいろ言われているが心配ご無用。素晴らしい出来栄えであり、61年版が好きな人でも十分満足できるだろう。個人的には序盤リタ・モレノが出てきて(90歳!!)涙腺崩壊だったが、体育館のダンスの迫力も演奏も61年版を大きく凌ぐ。ジョージ・チャキリスのベルナルドのほうがよかったという声を聞くが、チャキリスはギリシャ系白人である。リメイク版はプエルトリコ人は皆ヒスパニックの俳優が演じる。ここはやはり重要だと思う。レイチェル・ゼグラーのマリアもナタリー・ウッドよりはるかにいい。歌も本人
    が歌っているし。驚いたのは時代設定、ストーリーを全く変えてないこと。スピルバーグのオリジナルへのリスペクトであるし、60年後もこのドラマが突きつける問題がそのままであることを訴える意味もあるのだろう。娘を連れて観たのだが、ゲーム世代の娘の心にも刺さったようでシアターを出てから会話が止まらなかった。サウンドトラックも申し分ない。「マンボ」で有名になったドゥダメルの指揮はさすが抜群のノリ。オケもNYP、LAPだから61年版より上手いし厚みもある。歌もみな大変上手く感動的。このミュージカルが好きな方はオリジナルキャスト、61年版とともにスピルバーグ版も必聴だろう。

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     2022/01/22

    ニールセン没後100年に出たパーヴォ・ヤルヴィ、ギルバート、ストゥールゴールズらがいずれも気に入らず、バーンスタインの爪の垢でも煎じて飲めと書いたのだが、本命デンマーク人ダウスゴーを忘れていた。もう全然違う、2曲とも抜群の出来だ。切れ味鋭くニールセンの楽想に切り込み、爆発的な部分と牧歌的な部分の描き分けも見事。こういうニールセンが聴きたかったんだ。さらに録音最優秀、シアトル交響楽団も素晴らしい。アメリカでビッグ5なんて言われたのは昔の話、今地方オケとの実力差はほぼない。これは世界的な状況であり、おかげで有名オケの録音が出なくても全然気にならない。ダウスゴーのニールセンはまだ5番、6番が出ていないが、じっくり取り組むつもりなのかコロナのせいなのか。全集完結を望む。

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     2022/01/20

    大阪での「ワルキューレ」がとてもよかったので、シッパーズのコンサート演目も聴いてみたくなり購入。シッパーズはオペラ以外の録音少ないんだな。さて、このシベリウス、非常な名演ではないだろうか。とにかく痛快極まりない。切れ味鋭く音楽が進むので、よくこの曲に言われる大衆性、通俗性が強調されない。決して勢いだけの演奏ではなく、オケのバランス(弦と管がユニゾンで演奏するときの)も充分気を配っている。同じNYPを振って3年後に録音したバーンスタインよりはるかに出来がいいと思う。やはりシッパーズは優秀な指揮者だったんだ。シンシナティ交響楽団と本格的にコンサート演目を録音していくはずががんで急逝。シッパーズの遺産はシンシナティ響に寄付されることが遺言でわかり楽団員が涙したという記事を読んだことがある。日本での評価は高くないが見直すべき人。

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     2022/01/19

    1944年マグネトフォン録音のブラームスが驚異の音質だ。50年代後半の録音と言われたら信じてしまう。余程テープの保存状態が良かったのだろう。フルトヴェングラーのマグネトフォン録音は残念ながらここまでのものはない。演奏も推進力に溢れた聴きごたえのあるもの。しかし、このセット最高の聴きものはクナッパーツブッシュ、ベルリン・フィル戦後初登場である50年のものだ。どれも名演揃いだがとりわけポピュラー・コンサートは超ド級。「花のワルツ」「こうもり」「ピツィカート・ポルカ」と体がぶっ飛びそうになる。そしてトリにオハコの「バーデン娘」。演奏が終わる前に大拍手と歓声。観客と団員の笑顔が見えるようだ。1950年2月ベルリン市民はまだ過酷な冬を過ごしていたことだろう。これは「俺たちゃこの程度でへばるタマじゃねーだろ。笑い飛ばしちまおーぜ」というクナのベルリン市民への音楽によるメッセージであり、同じ年の「未完成」のとてつもない深刻さ、切実さとはコインの裏表なのだ。宇野がクナを真似て指揮したものが冗談音楽にしか聴こえないのは、この時代背景からくる真実性が欠落しているからだと思う。クナのベルリン・フィル客演は57年で終わってしまったそうだが、そりゃカラヤンとしては嫌だったに違いない。57年に振った「悲愴」は録音が残っていないのだろうか。

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     2022/01/08

    ユダヤ系ハンガリー人アブラハムは1920年代後半からベルリンでオペレッタで成功、ナチス政権誕生の33年からは逃避行の生活になりパリを経てアメリカに。この経歴はクルト・ワイルにとても似ている。だが、ワイルはアメリカで成功したがアブラハムはそうはいかなかった。アブラハムの作風は毒のないワイルという感じで、これはこれで十分聴けるもの。ワイルはアメリカで作風を大きく変えたが、アブラハムはそれができなかったのだろう。「サヴォイの舞踏会」は32年の作で多分アブラハム最後の成功作と思われる。フォークス・オペレッタはオケが20人。小劇場でミュージカルを聴く雰囲気一杯だ。歌手陣は歌も芝居も上手く、台詞もたっぷり入っているので音だけでも楽しめる。アメリカのエンタメ層の厚さを痛感する。各地にあるライト・オペラもコロナで大変だろうが頑張ってほしいものだ。

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  • 3 people agree with this review
     2021/12/07

    クラフトのウェーベルン全集が聴ける日が来るとは思わなかった。私がクラシックの雑誌を熱心に読んでいたのは70年代で、この時にはこの全集はとっくに廃盤。当時の作曲家、評論家の話題には上るのだが褒められたためしがない。「音符を音にしただけ」という評価であった。さらに三浦淳史氏のコラムにクラフトのスキャンダルが取り上げられた。ストラヴィンスキーの晩年のコンサート批評はクラフトが書いたもので、ストラヴィンスキーはそのコンサートに行ってもいないというのだ。これでストラヴィンスキー後年の執筆自体が疑われることになり、クラフトの動向も聞かなくなった。しかし、捨てる神あれば拾う神あり、コッホ=シュヴァンでクラフトは復活。これがウェーベルン全集再発の契機にもなったのだろうが、正直怖いもの見たさで購入となった。さて演奏だが、これが悪くない。演奏者は誠心誠意ウェーベルンに取り組んでおり、デッドな音質もあって今音楽が誕生しているというヒリヒリした緊張感が伝わってくる。今のウェーベルンはもっと情感豊かに演奏されるし、この演奏に生硬なところがあるのは否定しないが、聴けてよかったとつくづく感じる。それにしてもコロンビアがシェーンベルク、ストラヴィンスキー、ワイル等50〜60年代に大量に録音したのは素晴らしいことだ。社長のリーバーソンの方針だったのだろうが、メジャーでこれほど現代ものに利益を還元した会社はなく、後世への影響も計り知れない。クラフトのシェーンベルクも是非オリジナルジャケットで復活してほしい。

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  • 3 people agree with this review
     2021/12/01

    リスナーとしては2種のバイロイト(EMIとオルフェオ、BIS)を楽しめばいいということだろう。それでもウォルター・レッグは倫理的にどうよ、っていう疑問がどうしても残る。フルトヴェングラー没後に勝手に編集、偽の足音、拍手を追加。エンディングまで…。ショルティがレッグは信用ならない人物と自伝に書いていたが、はからずも録音から70年後に証明された感がある。その意味でもBIS盤はエポックメーキングなものだと思う。

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     2021/11/29

    とても美人さんだ。それもそのはず本業は女優だそうだが全く見覚えがない。これは58年米コロンビア録音だが、声を聴いてびっくり。ハスキーな低音でブルージー。ジャケットの雰囲気とあまりに合わない。しかもまだ20代なのだ。写真は別人じゃないかと疑い、動画を探したのだが、やっぱりこの顔で歌っている。全く稀な声質だと思うがそれだけではなく素晴らしい歌唱なのだ。「サムシング・ワンダフル」など感動的。ヴォーカルファンには絶対のお薦め。

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     2021/11/20

    クレバッサの魅力を満喫できる素晴らしいアルバム。スペインをテーマにしているが、アリアあり歌曲あり、オケありピアノ、ギター伴奏あり、ソロありデュエットありと並の歌手のアルバムとは次元が違う。モンポウがオーケストラ編曲版なのも珍しい。「カルメン」で始まり「カルメン」で締める構成も心憎い。クレバッサは小柄な人で声量がどうなのかはわからないが、録音では問題なく、コケティッシュな歌が素敵だ。イギリスの若手ベン・グラスバーグの指揮もとてもいい。

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  • 4 people agree with this review
     2021/11/06

    ブルックナーゆかりのウィーン・フィルによる交響曲全集は今もこれが唯一。ティーレマンによる企画が進行中だが、今のウィーン・フィルではここで聴けるホルンの響きは失われてしまっている。演奏も抜群に面白い。ベームやマゼールの定評ある名盤がある一方、あまり評価されていないショルティ、メータなどもある。ところが29歳のメータによる9番が徹底的に歌い抜いた圧巻の出来。アバドの1番での躍動的な表現もいわゆるブルックナー指揮者からは聴けない魅力がある。ショルティは7番はいまいちだが8番は迫真的な演奏になっている。彼らのブルックナーが日本で評価されなかった理由は聴けばわかるが、こういう動的なブルックナーも否定すべきではない。シュタインの2番6番は反対に安定したブルックナー演奏で、もちろんこれもいい。オリジナルジャケット仕様は嬉しいが、初めて見たベームの3番、ショルティの8番の冴えないデザインには驚かされた。当時のキングレコードがデッカオリジナルジャケットを殆ど採用しなかったのも納得。

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     2021/11/05

    バッハの同時代人シュテルツェルは無名ではないもののメジャーとは程遠い。大半の作品が散逸したのも要因らしいが、やはり同時代人のグラウプナーの再評価が進む中、シュテルツェルにも日が当たってほしい。「子羊が往く、咎を背負って」はライプツィヒでバッハも指揮した作品で、代表作と思われる(私も大した情報がないのでわからないのだが)。作風はバッハに近い。コラールはバッハの曲かと思うくらい。構成もバッハの受難曲と同じだが、音楽が劇的にならず、聴く者を心理的に追い詰めることもない。アリアも3分程度で淡々と進んでしまうため深い感動まで至らない。それでも個々のナンバーは美しい曲が多く一聴の価値は十分あると思う。演奏も優秀。ソプラノのヴィンターの美声が心地よい。

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     2021/10/23

    ロンドンでミュージカルナンバーや映画音楽を大編成オケでやるとなるとジョン・ウィルソンが有名だが、ロイヤル・フィル・ポップスも根強く活動を続けている。これまでRPOレーベルから出ていたが、今回ナクソスから登場。バルカムのアレンジはオーソドックスなもので意表を突くことは全くないが、こうしたスタンダード中のスタンダードをフルオーケストラで聴く機会自体少なくこれはこれで楽しめる。ヴォーカルのカーリュー、ビックリーもRPOポップスの常連だが、これまでの録音に比べカーリューの声が衰えているのが残念。そこをジャズセンスを加味して凌ごうとしているがあまり上手くない。ジャズヴォーカルならシナトラをはじめ名唱だらけだからね。次回はメンバーチェンジをお願いしたい。

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     2021/10/02

    毎度のことながらHMVの年表が素晴らしい。これを見ると、戦前、戦後の混乱期にクリップスがウィーンでいかに奔走したかがわかる。リヒャルト・シュトラウスやフバイとのエピソードも興味深い。欲を言えば英国米国での活動記述をもうちょっと濃くしてほしいところだが、これだけの情報を見れて文句を言うのも大人げない。全て持っている音源だが、年表の読み応えに感謝し購入させていただく。クリップスといえば、高崎保男氏が「ドン・ジョヴァンニ」を酷評したり、ウィーン・フィルが非協力的でクリップスが泣いた、とかあまり好意的な記事が日本では出ず、評価はいまいちな人に甘んじている。しかし、私はクリップスの「ドン・ジョヴァンニ」が大好きだし、ウィーン・フィルやLSOの録音にも逸品が多いと思う。この人も偏った批評の犠牲者と一人といっていいだろう。それにしても、得意としたブルックナーのステレオ録音がひとつもないのは惜しい。残っていないのだろうか。

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