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2人の方が、このレビューに「共感」しています。 2013/11/04
河村さんのバラード全曲は、このCDの録音の2か月ほど前にリサイタルで実演を聴きましたが、ライブでの感興を伴う演奏とはまた異なり、録音セッションでは作品と直接対峙して、彫琢を極めている感があります。 だからといって特に変わったことをしているわけではなく、むしろ抑え気味にじっくり弾き進めているようにみえるのですが、現在の河村さんの充実ぶりを示す、濃密なメッセージが伝わってきます。 たとえばバラード第1番で第2主題が再現するクライマックスでは、通常の演奏はめいっぱいに膨らました風船を一気に解放するような感じで弾かれますが、この演奏ではガスを抜くことなく、さらに一段と圧力を増していくような感じがあり、それがすばらしい高揚感に結びついているようです。この超有名曲の録音はそれこそ何十種類、何百回となく聴いてきましたが、これほど深く納得させられた演奏はないといってもよいと思います。 また、ショパン自身は4曲のバラードをまとめて弾くことは考えていなかったと思いますが、河村さんは「4曲をまとめて聴かせる」ことを意識しているようです。通して聴くと、まるで4楽章の交響曲を聴いたような統一感と充実感があります。 後半はリストの編曲ものですが、テーマは「愛」の関係で統一されており、配列もショパンの歌曲→シューベルトの歌曲→ワーグナーと、前半のバラードからのグラデーションがうまく図られていて、プログラムとしても秀逸です。
2人の方が、このレビューに「共感」しています。
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