トップ > My ページ > エンタメ追求者 さんのレビュー一覧

エンタメ追求者 さんのレビュー一覧 

検索結果:3件中1件から3件まで表示

%%header%%

%%message%%

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/06/15

    まずねぇ。不可能犯罪トリックに現実性を求めること自体が、ナンセンスなのですよ。
    トリックを思いついた人間が、それを用いて、現実に犯罪を実行する(三億円事件、死語でしょうけれど、などの例外を除いたところで)などと、ミステリー的トリックが、悪徳をアシストする。これは、好くないことです。ミステリーというのは、知識人の健全な娯楽である。これこそ、正論。
    娯楽なのだから、現実に応用可能か? なんてどうでもよいのです。言葉上の奇術は、謎の提示が、不思議なのと同じくらい、意想外の解決をみねばなりません。読者にとっては、だまされる快感くらい、大事なものはないのです。
    というか、応用不可能なトリックほど、意欲的で評価は高くなるべきだと、ときに私は思いはします。
    逆に、応用可能で、発案者が密かに実践できたとしたら、大変だ。

    書く側からの立場にしたって、きっとこんなトリックは、現実味がない、実行不可能であるという判断で、作品化を断念する、これはもったいないことです。どんなによくできたストーリーのミステリーであろうと、要は、お話なのだから、トリックは意表を突いた、サプライズがあれば、じゃんじゃん作品化すべきで、じゃんじゃん読まれるべきなのです。では、なにが重要か? と考えますと、トリックはお話の世界で論理のアクロバットと呼べるあるときは、大仕掛けの大胆な発想が、言葉のうえによってのみ、巧みに表現を凝らして、一見あり得るかのように、なりたってもいれば、充分なのであります。そして、面白ければ、面白いほどよいトリックなのです。発想、着眼点などが、優れているのが、素晴らしいのであって。言葉のうえの奇術なのですから、一見不思議そうに見えても、種明かしの段階でも、感銘深い面白いサプライズがあるのが、望ましいのです。いくら不思議な現象を見せられたって、カメラトリックで、それに全員がサクラでしたとの説明では、誰も読者はついてはこないでしょう。味わいの深いものこそ、望ましいのです。そして、それに貢献する説明の巧拙こそが、重要なのです。極論に近いことを書くようですが。

    極端な例、辛うじて説明でき得る意表を突いたトリック(奇想)こそが、不可能犯罪トリックの一種、意欲的な妙味なのです。これぬきでは、犯罪の過程で、どこかまたはすべての箇所で、ミステリー的計画犯罪は必ず、計画通りには運ばず、破綻をきたす理由で誰からも、却下されるでしょう。カーの「三つの棺」にしろ、ルルーの「黄色い部屋の謎」にしろ、ザングウイルの「ビッグ・ボウの殺人」にしろ、フットレルの「13号独房の問題」にしろ、おっとこれは犯罪ではないか? それらの犯罪または計略は、問題なく進行するはずもないのです。ですから、作品に対する評価も以上のことをわきまえ、則った上でなされるべきだと、私は考えます。

    この作品は、図面が凝っていて、愉しいですよ。しかも、その図面をにらみ合わせると、ああなるほどと、読み終わったときに、図面の中にトリックの存在を再確認できます。こんなに、ありがたいミステリーは、本当に貴重な作品です。島田荘司氏の「斜め屋敷の犯罪」を読んだ経験のある方で、面白いと想われた方なら、誰もが食指を動かされるのではないでしょうか? とにかくよくここまで、現実に作品化するまで頑張ったかを、大いに評価してあげねばなりません。基本になっている発想が素晴らしいのであって。後は構成しぬき、書きぬきで、大変な作業でしょう。ある意味、映像化不可能とされていた物語を、映画化にこぎつけたのと、ニュアンス通じるといいましょうか? 愉しませてくださってありがとうと、不可能犯罪読者エキスパートのような私からは、ねぎらいの言葉を、作者に真っ先にかけてあげたい、そして気がつくとブラヴォー・コールをしている。これは、そんな昔懐かしの、旧くても新しい印象を残す、「不可能犯罪御伽話的ミステリー」だと私は想うのです。密室系を好むミステリー・ファンの方なら、全員に読んで頂きたいお奨めの功労賞的、逸品でしょう。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/06/15

     トリック解説本などでもよくとり上げられている名作ですから、その解決編で明らかになる密室殺人のトリックのおおよそはネタばらし気味に、知ってはいました。
     しかしそこを差し引いても面白い密室ミステリであったと記憶します。
     この作品も出だしにごく短い密室殺人状況の説明にあたる章があり、次章から急にロンドン中央刑事裁判所(オールド・ベイリー)の場面へと飛び、殺人犯として被疑に立たされた絶体絶命の青年の苦悶と、彼を巡る裁判劇の進行が描かれる。
     いきなり法律の専門用語が飛び交う法廷に場面を変えて、青年も訴追者側に追い詰められてゆく。普通に考えると殺人が可能だった人物も青年をおいて他にはいないから――。
     この物語の創りもたったひと通りの可能な別のトリッキーな殺人手段を準備しておき、そうなったらあとは動機といい機会といい揃って圧倒的に不利な状況に被疑者をおいてみせる。そうやって作者がサスペンスを強調し、ハラハラドキドキを否応なく盛り上げて楽しむように物語を綴ってゆく。
     しかるべき解決編を念頭に置いておけば、あとは被疑者にとり、いくらでも暗雲を垂れ込ませた方がスリリングな味が出てより面白い設定が可能になるからです。特大のスリルの味わいに青年自身にも自ら手にかけなかったという確証もなく、意識が途絶えている。この箇所。
     ここにこそカーが演出したかった格別の戦慄のムードで読者へのサーヴィス精神満点な設定の狙いがゆき届いています。寄る辺なき青年にとり唯一の救いも密室トリックの専門家のような名探偵H.M卿が味方についたこと。
     ここら辺に仕かけられた作者の計算が巧みに利いてお見事。カー(カーター・ディクスン)の得意満面な表情が窺がわれてくるようです。
     準備された密室トリックもいわゆる扉もの。そう呼ばれるトリック群に準拠して、独特の心理の陥穽(かんせい)を突いてみせます。不可能興味と法廷物ミステリの面白さが見事に融合マッチした物語構築術のお手本のような逸品。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/03/05

    this is no bad。
    他人がこのアルバムをあまり評価したがらないのも
    真の最高傑作に対しては一種の脅威性。これを誰もが
    感じる。そのためだと思われます。このアルバムこそがking of popのエッセンスが凝縮されたポップスの
    最高峰アルバムに位置する。そう思われます。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

検索結果:3件中1件から3件まで表示