カーター・ディクスン

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ユダの窓 創元推理文庫

カーター・ディクスン

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784488118389
ISBN 10 : 4488118380
フォーマット
出版社
発行年月
2015年07月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
414p;15

内容詳細

密室殺人の被疑者となった青年の立場は圧倒的に不利。弁護に当たるH・M卿に勝算はあるのか。法廷ものとして謎解きとして間然するところのない絶品、創元推理文庫に登場!

【著者紹介】
カーター・ディクスン : アメリカ、ペンシルヴェニア州生まれ(1906‐77)。本名ジョン・ディクスン・カー。1930年に予審判事アンリ・バンコランを探偵役とした『夜歩く』を発表

高沢治 : 1957年茨城県生まれ。東京大学、同大学院人文研究科に学ぶ。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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 トリック解説本などでもよくとり上げられ...

投稿日:2021/06/15 (火)

 トリック解説本などでもよくとり上げられている名作ですから、その解決編で明らかになる密室殺人のトリックのおおよそはネタばらし気味に、知ってはいました。  しかしそこを差し引いても面白い密室ミステリであったと記憶します。  この作品も出だしにごく短い密室殺人状況の説明にあたる章があり、次章から急にロンドン中央刑事裁判所(オールド・ベイリー)の場面へと飛び、殺人犯として被疑に立たされた絶体絶命の青年の苦悶と、彼を巡る裁判劇の進行が描かれる。  いきなり法律の専門用語が飛び交う法廷に場面を変えて、青年も訴追者側に追い詰められてゆく。普通に考えると殺人が可能だった人物も青年をおいて他にはいないから――。  この物語の創りもたったひと通りの可能な別のトリッキーな殺人手段を準備しておき、そうなったらあとは動機といい機会といい揃って圧倒的に不利な状況に被疑者をおいてみせる。そうやって作者がサスペンスを強調し、ハラハラドキドキを否応なく盛り上げて楽しむように物語を綴ってゆく。  しかるべき解決編を念頭に置いておけば、あとは被疑者にとり、いくらでも暗雲を垂れ込ませた方がスリリングな味が出てより面白い設定が可能になるからです。特大のスリルの味わいに青年自身にも自ら手にかけなかったという確証もなく、意識が途絶えている。この箇所。  ここにこそカーが演出したかった格別の戦慄のムードで読者へのサーヴィス精神満点な設定の狙いがゆき届いています。寄る辺なき青年にとり唯一の救いも密室トリックの専門家のような名探偵H.M卿が味方についたこと。  ここら辺に仕かけられた作者の計算が巧みに利いてお見事。カー(カーター・ディクスン)の得意満面な表情が窺がわれてくるようです。  準備された密室トリックもいわゆる扉もの。そう呼ばれるトリック群に準拠して、独特の心理の陥穽(かんせい)を突いてみせます。不可能興味と法廷物ミステリの面白さが見事に融合マッチした物語構築術のお手本のような逸品。

エンタメ追求者 さん | 千葉県 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • W-G さん

    カーター・ディクスン名義の代表作。私の中では、とにかく入手困難でどこにも売っていない印象があった一冊で、その癖、トリックだけは広く知れ渡ってしまっているタチの悪さ。そこまで評価の高くなかった作品だが、改めて読むと、『火刑法廷』や『三つの棺』よりも好きかもしれない。その2作のような雰囲気作りを拝して、しかも法廷ものという事で、カー成分は低めかもしれない。しかしそこが現代の読者にとっての取っつき易さに繋がっており、変に驚天動地の密室トリックを期待せずに読めば、サスペンスもあり芸の細かい秀逸な本格ミステリ。

  • Kircheis さん

    ★★★★☆ H・M卿シリーズ第7作目。 密室内で殺人が起こり、死体と一緒に見つかったアンズウェル青年が殺人罪で起訴された。久々に弁護人として法廷に立つH・M卿は圧倒的不利な中で弁護できるのか? 無罪の被告人を追い詰める検察と弁護人の手に汗握る攻防はやはり面白い!しかし、証拠の提出や証人喚問が不意打ち過ぎて現実の裁判ではあり得ない。まぁ『逆転裁判』みたいなノリで楽しむべきだろう。 犯人は当てやすい方だと思うが、肝心の密室トリックはカーらしくトンデモ系で個人的には微妙。 しかし全体としてはかなり好き。

  • セウテス さん

    ヘンリー・メリヴェール卿シリーズ第7弾。〔再読〕メリヴェール卿が、本職である弁護士として法廷で闘う貴重な一冊。目を覚ますと密室の部屋の中に、矢で胸を刺された遺体と2人きりであった青年の弁護を行う。ユダの窓は、カー氏の代表的な密室トリック。ですが本作はユダの窓その物以外にも、犯人探しの推理を堪能できる上、法廷での無罪を証明するというやりとりが、存分に読み応えある傑作だと言えます。その解明の手順が魅力ある物語であり、その法廷戦術のクライマックスはカー作品のベストの一つ。巧妙という言葉が、正に当てはまります。

  • aquamarine さん

    プロローグの事件時の被疑者視点以外は殆どが法廷でのお話。トリック(有名ですが私は結び付かなかった)を楽しむより法廷ミステリとしてとても楽しめました。プロローグで引っ掛かる点があったこともありグイッと掴まれて、あとはH・M卿の弁護に圧倒されながらぐいぐいと読み進めていきました。見えているものが見えている通りでなかったり、少し遠回りすることで優しさを感じたり、人間関係の浮き彫りになっていくところも素晴らしかったです。また巻末の瀬戸川猛資、鏡明、北村薫、斎藤嘉久4氏のミステリ談義が本当に楽しそうで素敵でした。

  • オーウェン さん

    ジム・アンズウェルは婚約の許しのため父親に会いに行くが、飲み物に手を出すと意識を失う。 目が覚めるとそこには父親が矢が刺さって死んでおり、そこは密室でジムだけの状態。 密室状態で1人が死に、1人が生き残ったのだからジムが犯人に決まっている。 そこで弁護を担当するのがH.M卿。 裁判劇の中で証拠や証人などを介して弁論で無罪へと。 そもそも裁判の結果だけでは真犯人は出てこない。 そしてタイトルであるユダの窓とは一体何なのか。 これが分かることで、ジムの無罪を導こうとする。 そして明かされる真相は裁判後に。

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