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0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2016/08/21
何だろうこの懐かしさは。 オーガニックで洗練させた音色、親しみやすいメロディ、素朴な歌声。 それぞれがそれぞれに良いのだが、一つの楽曲の形になるとその想像以上に人を惹きつけるようなものになっているのが面白い。 初めて聴いた「オーサム!」には特に驚かされた。 キラキラした疾走感が非常に心地良いのだが、その中には歌声の素朴さが与える温かみと安心感だったり、間奏の巧みな演奏だったり、細かな演出がたくさん詰まっていて聴く人の耳と心を離さない。 少しでも方向がずれたらダメになりそうなのに、絶妙なバランスの上に成り立っていることで、唯一無二の楽曲に仕上がっている。 この感じはアルバムのどの楽曲からも漂う。 「オーサム!」から疾走感溢れる曲のイメージが湧いてしまうが、どちらかというとゆっくりとしたテンポの楽曲が多く、「サイダー」や「メロー」など懐かしさや叙情感がより前面に出た楽曲も、また違った心地良さを感じさせてくれる。 こういう素朴で良質なポップスを奏でてくれるグループはいつ聴いても良い。 これからどんな楽曲を聞かせてくれるのか楽しみであるが、まずはこのアルバム「点綴」をゆっくり楽しんでみて欲しい。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。
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1人の方が、このレビューに「共感」しています。 2016/08/21
正統派シンガーソングライター。 久々にこの土俵で勝負できる人に出会ったかもしれない。 やはりその印象を強く持たせたのは「Fly」だろう。 歌い出しから漂う繊細さと深さ、そして焦燥感。 どこか張り詰めた世界観を漂わす音と、その世界を行くメロディに光と影を与える等身大な歌声の融合は、聴き手の心をダイレクトに奮わせる。 その心に響いてきたのは、今このときに抱いている悔しさと、信じていた光へ向けて飛びたとうとする姿。 そこに余計な言葉なく、シンプルに自分の心を真っ直ぐに描いた詩だからこそ、こんなに心を掴んで離さないのかもしれない。 その良さはミニアルバムを聴き進めると更に良くわかる。 全5曲と曲数は少ないが、自分の置かれている状況・想いをどこか冷静に見つめ直しつつ、次へ進むために何をしなければいけないのかを自分自身で導き出した答えに、真っ直ぐな歌声、耳に残るメロディと、どれを取っても人々を惹きつけてやまない。 次回作も楽しみなところだが、今はこの名盤を聴き続けていたい。
1人の方が、このレビューに「共感」しています。
叙情的な幻影感。 今までよりも繊細な切なさを描きつつ、少し浮遊感を増した音が新たな世界を作り出している。 リードナンバー「僕は君が好きだってこと」がまさにそれを示していて、切ない恋の物語を導く優しいメロディと、花火が咲いて散っていくような儚さを示すピアノとシンセの幻影的な音色が、今まで以上に深みのあるナナカラットの世界観を描いている。 今作ではこのようにバラードが特に秀逸で、「タイムカプセル」や「サヨナラの勇気」、「イノセンス」など、その繊細な切なさと深い世界に胸がしめつけられそうになる。 それでいながら、「幻影〜僕らが生み出した怪物〜」といった疾走感ある壮大さや、「朱〜昇華〜」のような和の雰囲気が漂う情熱的で美しい楽曲など、ナナカラットらしさをより洗練させた楽曲の数々がアルバムを彩っていることも聴き逃せない。 より繊細でより深く進化したナナカラットの音楽。 その音楽に酔いしれてみて欲しい。
3人の方が、このレビューに「共感」しています。 2016/07/24
繊細でありながらドラマチック。 もう少し具体的に言うと、繊細で無垢な歌声と臨場感と幻想感溢れる音が融合され、何とも愛おしい世界を作り出している。 中には軽快なロックナンバーから繊細なバラードまで様々な形が存在しているのだが、そのどれもがシングルとしてリリースされてもおかしくないくらいのクオリティであり、最初から最後まで胸の高まりが収まらないくらいの内容だ。 その楽曲達の中でも特に輝きを放っていたのが「Answer」と「鈴音-RinNe」。 「Answer」は夢を追いかける人への応援歌。 応援の形には様々なものがあるが、この曲は後押しをしてくれるのとも手招いてくれているのとも違い、側で包み込んで寄り添ってくれるような温かみを感じさせてくれる。 アルバムにはVer.違いで2曲収められているのだが、一曲目のオリジナルVer.は疾走感あるリズムと音で走り出したくなるような想いを奮い立たせ、最後のStudio live Ver.はピアノ主体でより繊細に想いを響かせることで、また一味違う楽しみ方ができるのが面白い。 「鈴音-RinNe-」はイントロの儚げな疾走感からその世界に吸い込まれそうになる美しい楽曲。 寂しさ・切なさと誰かを想う愛の強さという大きなテーマを描いた詩を、幻想的で壮大な音と儚くも力強い歌声で表現されている。 このテーマだとバラードで聴かせても良いと想うのだが、あえて疾走感のある展開の中で聴かせることで、愛の強さと息づいた想い、そして時の流れの儚さまでもが描かれているようで、この世界をさらに美しく演出しているのは素晴らしいの一言。 ここでは2曲だけ取り上げたが、他の楽曲もこれらに匹敵するくらい素晴らしいので、一度聞いてみてほしい。 これは文句なしの名盤。
3人の方が、このレビューに「共感」しています。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2016/07/18
目に浮かぶのは家族の姿。 約3年ぶりのオリジナルミニアルバムとなる今作。 その間に結婚・出産を経たこともあって、その愛のかたちを描いた温かい一枚になっている。 全体を通してその愛のある歌詞が印象に残るのだが、それは言葉そのものだけでなくメロディも今まで以上に耳に残りやすいものになっていることも大きい。 それもあって歌詞カードを見ることなく聴いてみても、愛らしい家族の姿が目に浮かぶようになっている。 中でも「ただいま。」という名曲は存在感を放っている。 家族、そして家庭という存在の大切さが滲み出る言葉達。 「ただいま」という言葉で安らぐ場所があるいう想いを、シンプルな言葉と包み込むような歌声、そして情緒溢れるメロディが優しく繊細に響き渡らせる。 この温かさは様々な経験をしてきた今の植村さんでなければ出せないものだろう。 だからこそ、より一層心に響いてくるのかもしれない。 タイトルの通り色んな「愛のかたち」が詰まったミニアルバム。 こういう温かさが溢れるアルバムもすごく良い。
5人の方が、このレビューに「共感」しています。 2016/07/10
アルバム「Populus Populus」以降、それぞれどこか突き抜けたアルバムを作ってきた。 そんな彼らの6枚目のアルバム「Dr.Izzy」では解剖が大きなテーマになっている。 ユニゾンには一体どんな要素が存在していたのか、それが一曲一曲解剖されていくことで、改めて気づかされることになる。 まずはライブを彷彿とさせる曲と曲の繋がりだ。 彼らのアルバムはとにかく最初3曲の繋がりが凄まじいのだが、今回もそれは健在。 混沌とした雰囲気を漂わせる「エアリアルエイリアン」のいつもと違う雰囲気に耳を傾けていると、次第に流れてくる耳に馴染むメロディがアルバムの始まりを予感させ、「アトラクションがはじまる(they call it ”No.6”)」のキャッチーさで一気に高まったテンションは、「シュガーソングとビターステップ」で早くも頂点に到達する。 そしてここからはユニゾンが魅せる音楽の表現力を楽しませてくれる。 「マイノリティ・リポート(darling, I love you)」のどことなく歌謡曲のようなドラマチックな展開で新鮮に聞かせたかと思えば、「オトノバ中間試験」のユニゾンらしさ全開のキャッチーさで魅せつつ、「マジョリティ・リポート(darling, I love you)」では往年の名曲のタイトルと自分たちのバンド名を並べて自虐的に歌う詩が耳から離れなくなる。 スカのようなリズムで聴かせる「BUSTER DICE MISERY」のクセになるメロディ展開がたまらないと思っていると、「パンデミックサドンデス」の一聴しただけで耳に残るキャッチーさに惹きこまれ、「8月、昼中の流れ星と飛行機雲」の優しいメロディがひと時の癒しを与えてくれる。 その落ち着いた気持ちを「フライデイノベルズ」の軽快なテンポが再度高め、「mix juiceのいうとおり」のお洒落でワクワクするような展開が包み込むような余韻を残しつつ、「Cheap Cheap Endroll」が強烈なインパクトを最後の最後に残していく。 ここまで聴いて改めて振り返ってみると、ユニゾンって本当に面白いバンドだなと思う。 らしさに固定概念を設けることなく次々と攻めてきているのに、どれもユニゾンの良さであることが自然とわかってしまう。 円熟味を帯びた演奏、表現力を増した歌声、遊び心ある歌詞、そして自信。 それらが高度に絡み合うことで生まれた名盤だ。
5人の方が、このレビューに「共感」しています。
1人の方が、このレビューに「共感」しています。 2016/07/03
ピアノとギターの繊細な音色。 優しいメロディ。 美しいのハーモニー。 そういうシンプルな良さを重ね合い、最高と呼べる楽曲に昇華させているのが彼女達だ。 中でも「陽のあたる坂道」の存在感は半端ない。 現代の雑踏のような混沌さを示す音色。 印象に残るメロディが強さを示し、二人の美しいハーモニーが繊細な心を描く。 そうやって聴き手の耳に届いたときには、辛いことや迷うことがあっても前に進もうとする詩と相まって、優しさや愛しさ、強さなど色んな感情が一気に押し寄せてくる。 どれか一つでも欠けたらこの感じにはならないと思うが、やはりこの二人の歌声だからこそできる世界ということが大きいのだろう。 アルバムにはこの二人が描く様々な感情が収められている。 そのどれもが愛おしくてたまらないのだが、中には「好きな言葉を聴かせてよ」のように色んな人の好きな言葉を実際に入れるなど、楽曲に合わせてその感情を高めていることで、最後の最後まで感情の高ぶりは収まらない。 そして、聴き終えたときに何かが満たされる気持ちを残す。 それも彼女達の歌が持つ魅力の一つだ。 この二人だから持つ可能性。 この二人だからできる歌。 それを感じさせる素晴らしいアルバムだ。
2人の方が、このレビューに「共感」しています。 2016/06/26
これはものすごい名盤だ。 一曲目の「SUNRISE」を聴いたとき、それは間違いないと思った。 静かに真っ直ぐに聴かせる熱い想い。 こういう楽曲が一番最初にあるということは、それだけこのアルバムに自身があるのだろう。 それを示すように「未来」、「何故、旅をするのだろう」とゆっくりめのナンバーが続くが、そのどちらもメロディと想いが心に訴えかけてきて、聴き進めることを止めることができない。 ここから少し雰囲気が変わりだす。 車のクラクションの音が印象に残る「tOKi meki」の軽快なナンバー、「SNIFF OUT!」、「サイ(レ)ン」とロック調にかきならす音と、聴き手に問いかけるような強いメッセージが胸を打つ。 ここ最近の作品は聴かせる楽曲が多く、アルバムも落ち着いた内容のものが多かったが、このように少し曲調やアレンジを変えてくる遊び心に、インディーズやデビュー当時の楽曲のような懐かしさを感じさせてくれるのは嬉しい。 もちろんそれだけでなく、アルバムの構成として無くてはならないものになっていて、その後に続く「hana」、「星が綺麗な夜でした」、「Twilight」というバラードを一段と引き立たせてくれている。 「Tearless」はアルバム唯一の黒田さん作詞・作曲のナンバーなのだが、まさかのEDMという驚き。 今までのコブクロには全くなかったジャンルでありながら、何故か違和感なく聴けるが面白い。 そこから「陽だまりの道」への流れが不思議なほど綺麗なものも更に面白い。 そしてここから最後にもうひと盛り上がり。 大阪弁で歌う「42.195km」では格好良い疾走感で聴かせながら、間奏でハーモニカを入れるにくい演出に興奮して、「奇跡」の流れるような疾走感が気持ちを高めていく。 初めて楽曲提供を受けたという「NO PAIN, NO GAIN feat.布袋寅泰」でまた新たな一面を見たかと思えば、「STAGE」がしっとりと全てを受け止める。 全15曲。 コブクロだからできる楽曲がここでもかというくらい詰まっている。 「NAMELESS WORLD」から10年。 もちろんその前にもその間にもたくさんの名曲、名盤が存在したが、それらをも凌駕し、時代を超えて愛される名盤がここに生まれた。
2人の方が、このレビューに「共感」しています。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2016/06/19
”ロックスターは死んだ” 「27」の印象的なフレーズからアルバムは始まる。 SUPER BEAVERは言葉を大切にしているバンドだ。 今までも何度もその言葉に多くの感情を受け取っていたが、今回はより深く、そしてそれを理解してもらうための言葉を綴っているのがわかる。 「27」に話を戻すと、”ロックスターは死んだ”は悲しい話をしようとしているわけではなく、そのような歳を今生きて迎えたことに、大人になったという責任感とそれを背負ってこれからも生きていたいという希望を見せている。 一つの例を挙げることで、その歳の臨場感と重さを感じさせるのが印象的だ。 この曲が自分について綴っているのに対し、最後の「素晴らしい世界」では自分だけでなく”あなた”も含めて生きていることへの素晴らしさを綴っている。 アルバムの最初と最後がこれだけ明確なテーマになっていることから、このアルバムの軸が全くぶれずに最後まで聴くことができることがわかるだろう。 でも決して一辺倒ではなく、「人として」のように格好良く信念を歌ったり、「ひとつ」のように空を駆けるような爽快で広がりのある音楽を掻き鳴らしながら、あなたと共に真っ直ぐに夢を描いていけることへの希望を歌ったり、「まっしろ」のように理解しようと理解しきれていない自身の心への葛藤を、シティポップ・ソウル風の音楽で聴かせて驚かされたりもする。 3ヶ月連続リリースのシングル「ことば」、「うるさい」、「青い春」で毎回驚かされてばかりだったが、アルバムでは更に驚かされた。 SUPER BEAVERが今だから綴れること、奏でられること、歌えること。 それが詰まった名盤だ。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2016/06/12
実に5年。 その間にBluem of Youthのアルバム「Regenerate.」もあったのでそこまで空いた気はしていなかったが、松ヶ下宏之さんとしては久々のアルバムが届けられた。 松ヶ下宏之さんのアルバムというだけである程度間違いないという思いはあるのだが、その思いを超える充実の内容がここにはあった。 一曲目の「流星」から全開で、ロック調に掻き鳴らす音楽にイントロから引きずり込まれ、一瞬で消える流星を追いかけようとする真っ直ぐな歌詞に打ちのめされる。 「幾千回のさよさら」、「ぼたもち」とメロディアスでありながら渋みある音を奏でる楽曲で酔いしれさせたかと思えば、「見えない空」のピアノの柔らかい音色が響く日常の風景に癒される。 「茜雲」は松ヶ下さんの真骨頂とも言えるバラードナンバーで胸を締め付けたかと思えば、もう会えない人のことへの想いを「プラタナス」、「運命」と悲しすぎないメロディが優しく包み込む。 少し落ち着きかけた気持ちを再び奮い立たせるように「Radio Radiation」が軽快に羽ばたいていく。 ここからは「悲しい青空」の聴かせるメロディ、ジャズ調に聴かせる「蜘蛛と蝶」、全英語詩で格好良くキメる「(Did U)Call my name?」、大地を踏みしめながら前へ進んでいこうとするような「未来は君の手に」、夢への歩みに対する一つの答えを描いた「答」を染みるように歌い上げるなど、聴き進めるごとに違った表情を見せる。 そして、「青春」、「イカロスの翼」がアルバムのエンドロールのように流れてきて、このアルバムの良さを振り返りつつ、心地良い余韻までも残してくれる。 まさに松ヶ下宏之さんの集大成とも言えるアルバム。 そのメロディ、歌詞、アレンジ、そして歌声に酔いしれてほしい。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2016/06/05
前アルバム「ゆえん」から約3年。 待ちに待った近藤晃央さんの新しいアルバム、その名は「アイリー」。 ”キミは何色…?” という問いかけでいきなりハッとさせる「グラデーションフライ」の始まりから、今までより心の奥底に響く音楽がここにあることに気づく。 そこからシングルにもなっている「心情呼吸」、「あい」から「ビビリーバー」という心情に訴えかける名曲に酔いしれたさせたかと思えば、「恋文」の君を想う繊細で臆病な感情が胸に温かさを与えてくれる。 ここまでの展開だけでも素晴らしいのだが、ここからさらに攻勢を強める。 「あの娘が嫌い -Album Ver.-」では妬み、「理婦人ナ社会」では社会風刺と、それぞれ強く深い言葉を並べ、それを陰のあるロック調の音と歌声で訴えかけてくる。 そこから「アイリーズ」、「六月三日 -Album Ver.-」、「なんのおと?」、「かわいいひと」の優しいメロディで負に染まったオーラを払拭していく。 「ブラックナイトタウン」、「月光鉄道」とどことなく暗そうな雰囲気を醸しだした曲が続くが、そこに映しているのは闇ではなく、そこからの光。 そしてその希望の姿を命という形で表現した「ともしび〜いのちのうた〜」で、アコースティックの音と柔らかな歌声で包み込んでいく。 このアルバムの中にはこのように喜怒哀楽、色んな感情が詰まっている。 それも決して一つの形ではなく、時に強く、時に優しく聴き手に訴えかけてくる。 だからなのかもしれないが、聴く日、時間、気分によって良さが変わってくる感じがある。 言うならばアルバム自体が生きているよう。 一度ならず二度、三度聴くとまた違った良さが見えてくるアルバム。 これは興味深い。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2016/05/29
始まりの一音から空気を変える上質さ。 「Bitter Chocolate」という楽曲を初めて聴いたとき、それに驚いた。 もっと他の楽曲も聴いてみたいと思いこのアルバムを聴いて、これはSLYTLIVESの一つの魅力にしか過ぎないことに気づくことになる。 まずはアルバム最初の「Believe」。 ピアノの音色が印象的な上質な空間を響かせながらも、どこか親しみがあるメロディが耳に馴染む一曲。 歌詞の”ここから始めよう”の言葉が示すように、ここからSLYTLIVESの音楽は始まる。 続く「Marionette」では跳ねるようなピアノのリズムに引っ張られるように、メロディと歌声が生み出す軽快さに酔いしれる。 このクセになりそうな軽快さを聴いた後に、上述の「Bitter Chocolate」という上質な音楽を聴かせることで、それぞれの良さが更に引き立てせているのも聴きどころ。 ここまで上質な音空間で聴かせてきたが、ここから「Door」、「Untitled Ballad」、「Come To Me」と静かに聴かせるを並べることで、改めてメロディの良さと松本さんのどこか陰があるけど伸びやかな歌声という大きな魅力を感じることになる。 そして最後の「Shine」。 再び軽快なピアノの音色を聴かせるこの曲は、ここまでに感じたSLYTLIVESの魅力が全て詰まった一曲。 歌声までも含めた上質で爽快な音空間は最高の心地良さを聴き手に与えてくれる。 初めてのアルバムとは思えないほどの完成度と充実の内容の一枚。 SLYTLIVESの音楽はこの「Ai」から始まる。
2人の方が、このレビューに「共感」しています。 2016/05/22
緊迫感を持ったイントロ。 焦燥感を持ったメロの展開。 そして、それらを打破するようにサビで弾ける高揚感。 これを初めて聴いたときは本当に衝撃的だった。 それには少しだけアニメ「ハイスクール・フリート」の話をしよう。 放送開始前まで「はいふり」の名でビジュアル展開をされていた作品だったのだが、日常系を思わせるビジュアルからは想像できないシリアスな展開へと流れた第1話。 そのエンディングで流れてきたこの曲と、「ハイスクール・フリート」へのタイトル変更。 この展開には驚かされた。 もちろんその手法の面白さにだが、その効果を何倍にも高める楽曲がこれだけの名曲であったことも大きかった。 その名曲たる所以は冒頭に書いたが、中でもサビの高揚感はとにかく素晴らしい。 メロの展開まではそれぞれの歌声が重なることはなく迷いを感じさせながら、サビ直前で重なった3人の歌声が決意を示し、そこからサビでの前進しようとする力を生み出してく。 それはまさにグループ名”TrySail”の意味である荒天で風上に向かうときに張る小縦帆にも繋がり、彼女達が歌うからこそここまでの息吹を与えられたのかもしれない。 この確かな衝動、感じてみて欲しい。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2016/05/15
聴いた瞬間から心を掴まれるよう。 「36.7℃」を初めて聴いたときにそれを感じた。 訴えかけるような歌声に乗る寂しげな歌詞。 最初は何気なく耳を傾けていたのだが、聴いているうちにその圧倒的な想いの力から離れることが出来なくなる。 決して大げさな言葉を使っているわけでも、多くの言葉を使っているわけでもない。 シンプルな言葉の中に想いの欠片を散りばめ、それを歌声として届けることによって、こんなにも心を揺さぶるような歌になっているのだ。 悲しげなアコギの音色も味があって良いのだが、続く「彼女のテレキャスター」のようにバンドサウンドで聴かせてもその歌声の存在感は薄れないのが素晴らしい。 その後はまたアコギがメインの「君のせい」、「遠い青」、「春風(はるか)」(bonus track)と静かに歌いあげる楽曲が続くのだが、染み出るような切実な想いに不思議なほど惹かれてしまう。 初の全国発売となる今作は、彼女を知るうえで外すことができない一枚。 そしてこれからを活躍を期待してやまない一枚だ。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2016/05/08
空間までも彩るお洒落な音楽。 それが大きな魅力ではあるが、それだけでは語れないものがある。 例えば一曲目に収められているリードナンバーの「CITY DANCER」だ。 お洒落でありながら憂いを含んだ空気感を演出しつつ、ダンサブルなリズムとテンポが優雅な音楽へと昇華させた名曲。 これは耳に残るメロディを聴かせる甘い歌声と、それを支える確かな演奏力があるからこそ可能な世界。 Often Mofunの魅力を垣間見るにはこれほど最適な曲はない。 ただそれだけ素晴らしい曲が一番最初にあるとその後が心配になってくるが、その心配を払拭するような曲が次々と押し寄せてくる。 イントロから醸しだされる不穏さからその世界に惹き込まれる「Smoke, Cigarettes and Car」に、静かに確かに進んでいくリズムの中で絡み合う楽器の音色が混沌とした世界を示すような「コントラスト」。 全英語詩の「Little girls」、「Call me Cinderella!」がお洒落な空気感を聴かせてくれたら、「午前0時はため息ばかり」が新しい朝を迎えたような爽やかさを残してくれる。 ミニアルバムという中で魅せたOften Mofunが生み出す音楽。 お洒落な空気に聴かせる音楽が融合された楽曲達を是非聴いてみて欲しい。
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