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ねも さんのレビュー一覧 

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     2018/12/22

    2016年に放送されたNHKスペシャル『ある文民警察官の死 カンボジアPKO 23年目の告白』をもとにしたもの。
    1992年、カンボジアにPKO活動の一環として文民警察官が日本から派遣される。しかし、翌年5月、任務中に1名の警察官が殉職。本書は、当時派遣されていた警察官の記録などに基づいて、その事件の真相、前後関係などを明らかにしたもの。

    非常に危険な地域に武装せずに派遣されたこと、報道も含め自衛隊の派遣が注視される一方で警察官に関する報道の少なさ、現地で起きる国家間の祖語などがリアルに描き出されている。

    内戦地域への派遣の危険が改めて浮き彫りになるとともに、多くの真実がかくも長い期間強制的に封印されていたことも明らかにしている。

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     2018/12/22

    一時期は、極めて入手しにくい時期があった、ドロシー・セイヤーズの代表作の一つ。日本ではなじみのない転座鳴鐘術に関する記述がかなりあること、物語がスピーディとは言えないこと、舞台となったポール村近辺の地形的なことなどを含め、単純な面白さだけを求めている人には薦められない。

    といっても、つまらないわけではない。地方における人間関係の難しさ、最後の最後になって解明される重要な謎、世界大戦(第一次)が残した傷跡などは、充分に興味深い。
    ミステリを深く愛する人には、一度は挑戦してもらいたい作品である。

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     2018/12/19

    かなり面白い。最大の要因は、石井桃子という存在。著者は晩年の石井に、200時間以上もインタビューをし、さらにきめ細かい調査を行っている。そのため、時代時代における石井の姿はくっきりとしている。
    石井桃子は、ジャンルはともかく「執筆」を自身の仕事の中心と意識していたようだ。しかし、本書全体を通して印象に残るのは、作家・翻訳家であること以上に、優れた組織者としての姿だ。「子ども時代の幸福」に大きな意味を感じ、同調者を募り、その思いを広げようとした点である。いくつもの勉強会・読書会、子ども図書館の活動、ノンちゃん牧場、編集者としての仕事にもそれが伺える。
    創作や翻訳は、はっきりとした形をとって残る。しかし、それ以外のことは、目に触れることも少なく、忘れられていく確率も高い。それだけに、石井桃子の知られざる一面を示した本書は、重要だと言えよう。

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     2018/12/13

    設定や構成力は素晴らしい。前半部、事件らしい事件が起きないままに読ませる文章力も持っている。しかし、後半になると先が読めると言うか、興をそがれると言うか、物足りなくなる。
    キーとなる人物についても、難なく想像できて、驚きがない。
    巻末に掲載された選評にも、SF部分の弱さが指摘されているが、同感である。
    ヒロイン像は素晴らしいのだが、星野信之との心のつながりが出来ていく過程もイマイチ。

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     2018/12/13

    「信念」と「矜持」と「勇気」をもって、本と格闘する書店員

    本書は、「序 憎悪・排除・批判―闘技場としての書店は、今」(闘技場には、アリーナとルビがふられている)を除き、WEBマガジンなどに発表した文章がまとめられたもの。全体としては、著者の「民主主義」や「中立」に対する考え方、さらには副題にもある「言論のアリーナのために」という考え方に賛成である。特に書店の「中立」に関しては、出版社に、一定の傾向があるように、書店にそういうものがあっても不思議ではないと私も思う。

    出版の現状についても、いくつか細かい異論があるものの、著者が感じている出版業界全体の将来に対する不安にも、頷かされる。出版社も一営利企業である以上、利潤を追求するのは当然だが、著者が指摘するように、類似本や収益第一主義の本などばかり出していれば、長期的に見て、読者にそっぽを向かれるのは当然だろう。
    ただ、著者が本書のような発言を繰り返している背景にあるのは、出版社以上にリアル書店が危機に瀕しているからなのだろう。そして、それは「民主主義」の危機とも繋がっている。現時点で多様な視点からの情報を発しているのは、出版(書籍)と言える。それを支える場としての書店で、奮闘する著者にエールを送りたい。

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     2018/12/13

    主人公の風花が通う学校は、土曜日に音楽会があったので、その次の月曜日は振替休日。それを利用して、風花は窮地にあるらしい恩人であるおばさん「純子ねえね」を訪ね、励ましたいと高尾駅から小淵沢行の朝早い電車に乗った。目指すは河口湖駅なので、大月駅で乗り換えだ。一人で行くつもりだったが、その行程を相談したクラスメイトの「鉄道博士」賛晴が強引についてきた。平日に男の子と二人で出かけると「あやしい」と思われるので、兄と妹のふりをしようともちかけるが…。

    「純子ねえね」の事情、さらには賛晴の家庭事情やそれを原因とする悩みが少しずつ明らかになっていく。
    風花は賛晴との会話で、他人が自分に対して抱いていると思っていたイメージと、実際に他人の眼に映っていた自分に姿にズレがあることに気付く。さらに祖母の家に着き、祖母や電話越しに「純子ねえね」と会話してもしっくりこない。賛晴も母親に電話して、自分の思いを正確に伝えようとするがうまくは伝わらない。
    身近な人たちとの間に微妙なズレがあることに比べると、旅の途中で知り合う、60歳ぐらいの女性「いっちゃん」や韓国からの旅行客ヘヨンさんとは逆にそういうことがない。
    ここら辺が、ある意味でかなりリアルだと言える。ラストもすっきりと大団円にはならないが、それでも風花も賛晴も互いを認め、自分が踏み出した「一歩」にはそれなりに満足した姿が清々しい。

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     2018/12/13

    『ジャッカルの日』など名前は知っていたが、小説を含め著者の著書を読むのは本作が初めて。まず全体の3分の2までが、『ジャッカルの日』執筆・刊行までのこと。残りの3分の1が、それ以降。どちらかというと、前半生に重きが置かれている。少年時代の飛行機への強い関心、語学習得、パブリックスクール時代、駆け出し記者の頃などが詳しく書かれていて、私には面白かった。特に東ドイツ時代の話などは、本当に全部ノンフィクションなの、と疑いたくなる。ビアフラでの、イギリスの外交政策のミスに関する話も面白い。反対意見に耳を貸さないことに潜む危険性が理解しやすい。
    最も印象に残ったのは、11ページに書かれた「ジャーナリストは絶対に支配階層の一員になるべきではない」(“支配階層”のよこに“エスタブリッシュメント”とルビがふられている)。著者の人生を見ると納得できるし、日本のジャーナリストにも必ず記憶して欲しい言葉。
    著者の作品を読んだことのない人にもお薦めしたい。

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     2018/12/13

    本書が問題とするのは、「イスラム国」に対する先入観。どうしても「イスラム国」=テロ、となりがちですが、実例をあげながらが、その先入観の誤りを指摘しています。また、シーア派とスンニ派の対立、「アラブの春」など、アメリカのイラク侵攻後の中東情勢を丁寧にひも解いていくことによって、問題の本質を鮮やかに指摘しています。さらに、ヨーロッパなどへの大量の移民の背景は、シリア内戦であること、そのことも含め「イスラム国」に全ての責任を押し付けることの問題と、そのことによって真実から目を逸らさせられること。
    欧米、特にアメリカの戦略や思考を単純に追認する日本の政府やマスコミが、いかに危険であるか、よりテロを拡散させているか、本質に迫っていないのかを改めて認識しました。

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     2018/12/11

    本文は300ページ足らずだが、人類がどのように薬を発見してきたのか、様々な例を紹介しながら分かりやすく書かれている。

    植物から始まり、工業、合成医薬品、土壌由来薬品、抗菌薬、組み換えDNA技術などについて、それぞれに関わった人たちの努力と苦闘、偶然がもたらした発見も含め、今も私たちに日常に欠かせない薬品類が誕生したドラマを描き出している。
    興味深いのは、センメルヴェイスやリンドのケーのように医学上の知見は同時代にはスムースに理解できないことがしばしばあることだ。また、アスピリンの開発に関わる部分では、ナチスの反ユダヤ主義ゆえにアルトゥル・アイヒェングリュンの功績が「消され」、バイエルが戦後になってもそれを正そうとしなかったことが明らかにされている。お金や名誉が絡むゆえなのかもしれないが、新薬の陰には人間臭い欲望が見え隠れしている。

    成立事情などが書かれているアメリカ食品医薬品局(FDA)や植物由来の新薬に関しては他の本を読んだりすると、かなり「影」の部分がある。ドラッグハンターがメインであることに加えページ数の関係で難しいのだろうが、こういった部分にももう少し切り込んで欲しかった。

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     2018/12/11

    序章、一〜三章、そして結語で構成されているが、私にとって第二章の途中までは、少々難しいというか分かり難いというのが実感だ。具体的に書くと、126ページ以降からようやく著者の、資本主義と民主主義の問題、資本主義の危機の問題などが多少ともすんなり頭の中に入ってくるようになった。
    なお、本書のもとになったのは、2012年の「フランクフルト・アドルノ記念講義」において行われた三夜連続の講義である。

    著者の基本的な主張を簡単に書くと、1970年前後から迎えた資本主義の危機を、最初はインフレ誘導、二度目は国債発行の増加、三度目は国債発行の増加で膨らんだ国家債務を家計債務へつけかえることで乗り切り、現在は四度目の危機にあるというもの。細かい部分では著者の主張を批判することは可能なのだろうが、全体としては著者の見取り図は、素人の私が判断する限り、1970年以降の状況をよく説明している。
    そして、ほかの方も触れられているが、今の国家が「国家の民」と「市場の民」という二つの基盤を持っていながら、主権を持つ「国家の民」よりも「市場の民」が優先されていることが、この危機の根幹にあるという指摘も分かりやすい。第三章で詳しく論じられているEU圏の問題など、まさしく典型であるだろう。ポルトガル、スペイン、イタリア、ギリシャの危機を見ていると、「市場の民」が望む緊縮政策が優先されている。しかし、その政策を実施して国家財政が正常化したとしても、「国家の民」たちの生活がよくなるとは思えない。それどころか、格差は開くばかりに思える。

    そういった意味で、著者が227ページで書いた「「市場」は人間に合わせるべきであり、その逆ではないというあたりまえの考え方が、今日ではとんでもない夢物語だと思われている」という異常な状態こそ、「あたりまえ」に戻すことが求められているのだろう。

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