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Review List of 風信子 

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  • 8 people agree with this review
     2017/02/01

    C.デイヴィスのライフワークその一端をオベリスクにして残してくれた 前世紀末からLSOと為した演奏の柱は七色で ベルリオーズに始まりベルリオーズに終わる その大路の途中にはシベリウスとドヴォルジャーク そして同郷からエルガー ヴォーン=ウィリアムズ ウォルトン ティペットの孰れもこの一曲と呼べる名曲が並び立つ 胸踊らずに歩めぬプロムナードだ ベルリオーズとドヴォルジャークを除けば ここで聴かれる一曲一曲が20世紀の名曲として後世に伝えられるべき珠玉が連なっている C.デイヴィスは音楽に語らせる指揮者だった 音楽の真影を見つめその声に耳傾ける人だった 音楽の力を信じていた 時流や流行りに身を任せず 己が語り合える音楽のFieldを歩み続けた生き方に深く共感する C.デイヴィスのファンでない人にも耳傾けてほしい見事なアンソロジーがここにある 衷心より推薦する  

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  • 1 people agree with this review
     2017/02/01

    エトランゼが見たスオミは幻想郷 透視図の中に漂うシベリウス像もまた美しい 北欧の旅から還って長い時を経たのに未だ余韻が残っているといった風情か 流石に第2番のフィナーレは地に足がつかなかったが アンセルメが語り出したシベリウスを愉しんだ ”タピオラ”と第4番は一段と深く味わえた アンセルメがラヴェルなどで醸し出す絹の肌合いにも似た清涼感とその奥にある温もりがシベリウス音楽にも生きていて心地よい 異物として隅に押し遣るにはあまりに美しい そしてラフマニノフの”死の島”が余白を埋めるように挿入されている 50年代のモノラル録音だが パリ音楽院O.の全盛期の演奏が聴ける これが名演だ 瑞々しいその音色に聴き惚れる 今はもう薄れてしまったフレンチサウンドは珠玉 衷心より推薦する   

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     2017/01/31

    これほどロマンチックなシベリウスはベルグルンドとはいえ異例かもしれない 豊麗なサウンドに酔いしれてしまいそうだ LPOのライヴ録音の優秀さとSACDの効ここにありか 第2番はこうあらねば楽曲の魅力を伝え得ないと納得する 第7番はよく歌い響く演奏で豊かさを得たが同時に何ものかを見失ったようにも思える 第7番がシンボリックな楽曲だとしたら内容のリアリティが希薄になったと感じる だがこれほどの美しい演奏も稀有なもの 存在意義は高い いやいや多くの方に最上の演奏として鑑賞され記憶されるものだろう ベルグルンドのシベリウスは様々なオーケストラで聴いてきた そのどれもがシベリウスの世界へ誘い対話と感動を共にさせてくれた シベリウスと語り合うときベルグルンドの数々の演奏は必ず水先案内になってくれると確信する 衷心より推薦する 

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     2017/01/30

    水も滴るシューベルト ミロ・クァルテットが水を得た魚のように飛翔する ”Schubert Interrupted”(シューベルト中断)と題されたDiscはミロQのシューベルト観を象徴し またシューベルトの宿命を言い当てている シューベルト最期の10年はその短い生涯の20代を指す 天才が得た啓示を具現化するための苦悩の10年は数え切れないほどの”未完成”を産み落とした 31歳で没するまでに完成された多楽章作品は 交響曲1 室内楽曲8 ピアノ曲8 その何れもが他の追随を許さない傑作だ しかし”未完成”の中にも打ち捨てておけない名品がある その一曲第12番ハ短調「断章」がミロQの壮絶な演奏で聴かれる 水どころか血が滴るがごとき切れ味だ まさに触れなば切れん白刃の光彩に目がくらむようだ そのあとに歌曲「死と乙女」を置く 死の予感はこうも長きにわたってシューベルトを蝕んだのか されど然ればこそ晩年の傑作群へと生命は昇華したとも言える 創作とは何と残酷な所業なのか 完成された第14番ニ短調「死と乙女」は今も命を輝かせる名曲として我らの心を打つ ミロQは精美な演奏を貫く インテンポの凛々しい姿勢を保ちつつ 全てのフレーズに命を吹き込んでいく アクセントには羽がついていて明快だが跡を残さない 4挺の楽器間は完璧なバランスで歌い交わされていく 青年シューベルトの人生観すら感じさせる爽快さに悲愴感は消えた これほど美しいシューベルトを知らない 衷心より推薦する 

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     2017/01/24

    美しい結び目を飽かず眺めていた 結いた糸は色とりどりだ 渾身のスコアと楽器の音色と堂宇がつくる響きとそして録音編集の耳 それぞれの美しい色糸がここに組み合わされ結ばれた その組み目にネルソンスがいる ppは静謐を澄ませどこまでも透明度を失わず語らいゆく ffは豊麗な響きを伸びやかにどこまでも届けようとして叫ばず大きく包み込む 理智なる双眸を見開いて運命に立ち向かうショスタコーヴィチの姿が見える 苦悶を超えて決然と立ち上がる意志が胸を突く 悲愴に打ちひしがれている己は克服された ボストン交響楽団の暖かく軽快なサウンドがショスタコーヴィチを救ったとも言える 日々繰り返し聴けるショスタコーヴィチ演奏が誕生した これほど次回の発売が待ち遠しいシリーズはない 衷心より推薦する  

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  • 2 people agree with this review
     2017/01/23

    竟に適えられた夢のバッハ 無伴奏ヴァイオリン曲の完全なる演奏がここにある 一挺のヴァイオリンと云う究極の制限を科して対位法音楽の完成を高らかに咏いあげたバッハを讃え奏でるオノフリ 無名名器二挺が唸るさまには鬼気迫るものがあり戦慄すら憶える これほど楽曲の構造即ち対位法技巧を明瞭に伝える演奏をこれまで聴いたことがない しかも一音たりと感興を失うときがない いつまでも豊かな物言いと語らいのfieldの中を歩んでいる 何と愉しいときだろう 柔らかい光とそよ風に包まれてどこまでも歩み続けられる そうだ あの日 朋と歩いた”哲学の道”にいるかのようじゃないか オノフリはコンサートの舞台にも二挺の楽器を用意する 曲目で持ち替える それは調弦の都合ではないようだ 楽器を休ませる あるいは楽堂の響きを聴かせる といった誠に幻想的というか牧歌的な関係を楽器とも維持して音楽と向き合っている イタリアから発してドイツで完成したコントラプンクトのオベリスクに真のヴァイオリニスト オノフリがようやく到達したのだ この演奏から私たちは新たに出発をしよう 全ての音楽を愛する人たちへ最大の声で推薦する  

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  • 4 people agree with this review
     2017/01/16

    意外に競合盤がひしめくニールセン交響曲全集 デンマークという欧州の”片田舎”の音楽といえば失礼の極みだが 民族性と先進性において個性際立つニールセンは楽譜を音にすれば真影に辿り着けるという代物ではない 勿論音楽はインターナショナルな文物で誰もが楽しめるものだが 言語と同じで異国の者には真意や機微を感得するに困難なものがある それがニールセンだ 高名人気指揮者の演奏を手始めに折りにつけ聴き続けてきたが ストンと腹に収まらないもどかしさが消えない 何となしに”意味”は伝わるのだが イントネーションがずれている ニュアンスが違うと感じられるものが多い それでもボストック クチャル ショーンヴァントの指揮は印象深く忘れられない しかし平素プレーヤーに掛かるのはC.デイヴィスのBlu-ray Audio盤だ 何と言っても鮮明な音響の透明感はニールセンに求められる 折衷型の演奏の食い足りなさを補って余りある このP.ヤルヴィ盤もCDでこそあれ ディヴィス盤の世界を継承している 願わくばBrAでの再発を期待したい 1年間レビュー投稿者から無視されているので一筆上梓した 見識ある確信に貫かれた立派な演奏だ   

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  • 3 people agree with this review
     2017/01/13

    ぼくがカシャカシャと愛称するキム・カシュカシアンが引き篭もりの彼氏を街へ誘い出したかのようじゃないか 全24景からなる叙情劇を見た後の余韻が残っている ピアノ独奏曲をアウエルバッハがDUOへ描き変えたら モノローグ劇が煌めくダイアローグ飛び交う情景を展開し始めた 静から動へ モノクロからカラフルへ 内から外へ音楽が語り出した 元々ショスタコーヴィチの原曲の中に宿っていた精神ではあるが 対話を体現してこそ音楽は生きた言葉になる アウエルバッハのアイデアは想像を超えて有意義な試みだったと言える それもカシャカシャのヴィオラあってのこと 抜けの良い美音を響かせるヴィオラは健在で その表情変化の驚くべき多様さに今更ながら感嘆の声を上げる それにしても美しい音だ いつまでも鳴らし聴いていたい できればそっとして誰にも教えたくない程美しい     

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  • 1 people agree with this review
     2017/01/13

    カフェのバッハ 歌うチェロの清々しい空気が仕事場を潤す ある時人気と名声を持ったチェリストのコンサートに行った バッハの無伴奏組曲全曲を一晩で弾くという 溢れる期待は緊張を生み 奏者と聴衆は大いなる達成感と疲労感を抱えて音楽堂を出る これが半分の演目三曲でも似たり寄ったりで バッハの無伴奏は重々しい時間の記憶の中に沈んでいる だが教会音楽ではない器楽曲をそんなつもりでバッハは書いただろうか 音楽の最も大きな効用 快楽と寛ぎをもたらす愉しきもの それが音楽だという当たり前のことをハレルのチェロは気づかせてくれる あの記憶がこの組曲を日常から遠ざけている 日々全曲を通して聴く機会を失っている ハレルの演奏は容易く聞き果せてしまう 歌って踊るチェロはバッハが願った時空に解放された バッハなんてという方にこそお奨めの一枚 

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  • 2 people agree with this review
     2017/01/13

    素晴らしいブルックナーだ 期待していなかったわたしだが感動した モーツァルトとブルックナー オーストリア出身とはいえ 両者を結ぶ縁があるとは感じていなかったから 前監督のスダーンがブルックナーを録音した時も指揮者が夢を見たのだくらいに見逃していた ボルトンが次々に録音を世に出し始めても意に介していなかったが 何と全曲が揃うことになると知って驚いた 口はばったいことを平素公言しているブルックナーを愛する者としてとりあえず手に入った(今はもうカタログから消えている)第3番を聴いた 驚いた オーケストラが鳴っていない こんな囁くようなブルックナーなんて有りえない 慌ててスコアを開いた ボルトン& SMOはブルックナーを演奏していた! ブルックナーはこういう音楽を書いていた わたしたちは百数十年にわたってブルックナーに共感できない指揮者が脚色した「ブルックナー」劇を見せられていたのだ わたしたちは囚人だった 壮大無辺の宇宙を飛翔しているが如く闊歩していた世界は精巧に組み上げられた巨大監獄の中のオープンセットだった ブルックナーは精神の広大なFIELDにいて歩き見つめ聴き 神と対話し葛藤し昂揚し 祈り感謝して生きている pp ppp の意味を初めて聴かせてくれたのがボルトン&SMOだ 4,5,9そしてこの6番と立て続けに聴いたが 一部Adagioが遅すぎるという難はあったが アラ・ブレーヴェ(2/2)も履行されスコアを読み解いた見事な演奏は新鮮な感動を届けてくれた 一人でも多くの人にこの真のブルックナー演奏が伝わることを願わずにいられない

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     2017/01/12

    真のブルックナーここにあり 響きに透明感がある 豊かに響くのに混濁がない 全てパートのアーティキュレーションとフレージングが明瞭に聞こえる そして何より声を大にして言おう スコアの指示通りの演奏をボルトン&SMOがしている これは希少な例だ 未だに稀有壮大なるブルックナー音楽を聴かせよう演奏が横行しまた期待する聴衆がいる 見当違いも甚だしい 町名番地をよく確かめて別の町の角を目指していただこう ここブルックナーが住む地にはこけおどしや大きな顔をして肩で風切る御仁は歩いていない 敬虔なる信仰と世界への感謝を胸に仕舞って生きる人ばかりだ ボルトンは全曲で2/2拍子を履行している これは見識のあることだが この5番第二楽章Adagioは遅すぎた 全体が颯爽と進む快演であるだけに惜しい 既に第3、第8と第9はカタログから消えている 復活を望むと同時に 一人でも多くの人の耳と心にボルトン&SMOのブルックナー演奏が届くことを願う

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     2017/01/11

    ブルックナーとは何者だったのか! ボルトン&SMOのブルックナー演奏を聴いておそらく多くの方々が違和感を抱き あるいは拒否反応を示されているのではないかと推察する 善意からだったとはいえ百年を超えて偽ブルックナーが出現横行してきたことに因がある 有り体に言えば存在しない「ブルックナー」像を見せ聴かせられてきたあなたはブルックナーを知らない そこへ本物のブルックナーが登場したものだから受け入れがたい 稀代のブルックナー指揮者故朝比奈隆氏の鳴り物入りだったN響演奏会の光景を思い出す 期待の第8番とあって超満員の客席では 演奏がff〜fffになると爛爛と瞳を輝かして前のめりになって聴いていた聴衆の多くが pp〜pppの部分では背もたれに埋もれて眠っていた ブルックナー音楽の美を感得できなかった指揮者たちが捏造したブルックナーを押し付けることによって 聴衆の耳は麻痺しブルックナーは聴くと疲れて眠気を催す音楽に作り変えられてきた 頑張って聴き通せば不必要なアドレナリンを放出して奇妙に戦闘的な人間に改造される ブルックナーのスコアを見れば瞭然だ 長大なシンフォニーの大半はp〜pppで演奏するように指定されている 愛する朝比奈隆氏はオーケストラにpは大きく鳴らせと指示している 本当に残念だ どんなに優れた指揮者でも解らない人にはブルックナーは分からない ボルトン&SMOはスコアの指示通りに演奏している これがブルックナーだ ブルックナーに共感できないだろうか ブルックナーは人を威嚇したり高らかに勝利を誇示して見せる人ではない 音響の高まりは心の叫びと信念への没入なのだ 感謝と祈りといってもいい もうすでに第3、第8と第9番はカタログから消えている 「ワーグナー」と呼ばれた第3番を聴けば ブルックナーがワーグナーから如何に遠いfieldを歩んでいたか知れる 一人でも多くの人の耳と心にボルトン&SMOのブルックナーが届くことを願うばかりだ

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     2017/01/07

    順風満帆で世界へ漕ぎ出たシューマンがいる だが何というしなやかな語らいの音楽だろう メルニコフのピアノフォルテがまさに風だ 吹いてきて触れては過ぎてゆく その硬軟自在さに一片の恣意もない 触れたものの感触を愉しむのか自由で繊細で こんな優しく温かいピアノを久しく聞かない 耳慣れたはずの音楽があまりに新鮮なのだ 飽きるほど聴いたピアノ協奏曲イ短調が生まれ変わっている 協奏曲嫌いだったはずのわたしが繰り返し繰り返し聴いている こんなに美しい音楽がここにあったんだ 30分余りの曲があっという間に終わる印象に驚いている 寒中なれど春近し 衷心よりあらゆる方々に推薦する

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     2017/01/07

    不思議な明るさを伴ったイ短調の協奏曲は 永年の病が深刻になる晩年に書かれていながら能弁だ 積極性さえ見せ語りかけてくる しかしヴァイオリン同様このチェロの協奏曲もシューマンの生前には演奏されていないようだ 死後まもなくして初演された際にもホッホコフラーの加筆修正があったと伝えられる またピアノ伴奏版やヴァイオリン独奏に替えられた版があったりシューマンが決定稿を完成していなかった感が否めない ケラスはこの閉じられた部屋のような音楽に生命の灯をいくつも点し シューマンの表情や仕草そして心の襞まで照らし出してくれた 深い愛と寛容の手が差し伸べられ その掌にシューマンが指を重ねたから点った灯だ このフライブルクBOとの協奏曲シリーズの芯を貫いている作曲者と作品への共感と探究心が難曲の真実を紐解く鍵になっている 快楽の向こうに苦難が隠れている その苦味も含んでこそ真の旨味も味わえようというもの シューマンはビターチョコレート この極上のチョコ味ってみてはいかが

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     2017/01/07

    夢は枯野をかけめぐる 忘却の或いは無視された協奏曲はヴァイオリンの為に書かれた おそらくシューマンの病状の悪化から療養所への入所そして自死に至った状況が 80年余の空白を作り出したとはいえ 妻クララですら演奏を望まなかったのは 名手ヨアヒムも音楽の変質を感じ取っていたからだろう 魂が抜けたか 異界の音楽か シューマンらしからぬ楽想と響きに怖気を振るって封印してしまった シューマンの精神が恐怖の悲鳴を聞いていたことが分かる だが人生半ばで崩壊していく己の 未だ詩心は無限の荒野を翔け止まないことを高らかに謳いきっている 無残な状況は冒頭のニ短調で嘆かれ 翔けめぐる夢は終楽章のニ長調の楽句で繰り返し繰り返し訴えかけてくる 演奏例が少ないのは難しいからなのだろうが シューマンの詩と真実を最も肌身に感じる逸品だ ファウストとフライブルクBOの演奏は美しい ピリオド楽器演奏か否かは知らない ただガット弦の響きがあったから表現し得た世界ではないと思う シューマンの音楽と人生への共感あってこそ為し得たものだと感じる シューマンへわたしも想いを馳せた 衷心より推薦する  

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