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パデレフスキ、イグナツィ・ヤン(1860-1941)

CD ピアノ協奏曲、ピアノ小品集 ダン・タイ・ソン、ヴラディーミル・アシュケナージ&フィルハーモニア管弦楽団

ピアノ協奏曲、ピアノ小品集 ダン・タイ・ソン、ヴラディーミル・アシュケナージ&フィルハーモニア管弦楽団

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    ココパナ  |  北海道  |  不明  |  2021年07月08日

    パデレフスキはピアニスト、楽譜校訂者として名を馳せたが、作曲家であり、政治家でもあった。まさに多彩な人物で、周囲の列強国の占領下にあったポーランドの独立のために熱血的に活躍し、1919年に独立をかちとった際には首相と外務大臣を兼務した。しかし、彼の「作曲家」としての評価は、名声を勝ち得たとまでは言えない。政治活動、そしてピアニストとしての高名ぶりの影にあって、その作品が脚光をあびることは少ないと言える。当盤のように、1枚すべてパデレフスキというアルバムは多くない。しかし、当盤は、優れた演奏者によって奏でられるパデレフスキの音楽が、なかなかに魅力的であることを教えてくれる。比較的有名な曲はメヌエットであるが、全般に肌触りの優しいサロン風の作風で、パデレフスキの政治家としての情熱的な振る舞いとは一線を画した雰囲気である。冒頭のメロディから、ショパンの夜想曲を思わせる甘美さがある。また、パデレフスキの作風には、劇的な要素は少なく、とくに悲劇的なものはほとんど感じないと言って良い。冒頭曲のショパンの夜想曲第4番の両端部を思わせる付点で上昇する音型、これに似た音型が他の曲でもしばしば登場し、立て続けに聴くと、曲間の個性差が少なく感じられるのは致し方ない。しかし、ダン・タイ・ソンは、これらの曲想を美しく響かせる。2曲目の夜想曲の3連符に込められた情感にもゾクゾクするものがあるし、メヌエットではさすがにリズムの伸縮の演出が手慣れたもので、この佳曲を華麗に響かせる。ポロネーズはショパンの楽曲のように特徴的なリズムを刻むものではないが、洗練された情緒の表出があって、楽しく聴かせてくれる。最大の聴きモノはやはりピアノ協奏曲で、アシュケナージとフィルハーモニア管弦楽団という強力なバックを得て、華麗にたちまわるピアノが美しい。第1楽章の終結部はこの作曲家の作品には珍しく力強い帰結。中間楽章の夢見るような進行との対比もきれいに決まる。ダン・タイ・ソンのピアノは曲の甘美さを、巧みに芸術的に響かせる。さすがの手腕と言うところ。パデレフスキの作品は、このような演奏で聴いてこそだろう。作曲家パデレフスキの真価を伝えてくれる見事なアルバム。

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