トップ > 本・雑誌・コミック > 実用・ホビー > 平沼義之 > 廃道踏破 山さ行がねが 伝説の道編 じっぴコンパクト文庫

平沼義之

本 廃道踏破 山さ行がねが 伝説の道編 じっぴコンパクト文庫

廃道踏破 山さ行がねが 伝説の道編 じっぴコンパクト文庫

商品ユーザレビュー

  • ★★★★★ 
    (1 件)
  • ★★★★☆ 
    (0 件)
  • ★★★☆☆ 
    (0 件)
  • ★★☆☆☆ 
    (0 件)
  • ★☆☆☆☆ 
    (0 件)

レビューを書いてみませんか?

レビューを書く

検索結果:1件中1件から1件まで表示

  • ★★★★★ 

    ココパナ  |  北海道  |  不明  |  2021年04月12日

    膨大な情報量とともに精緻な「廃道・道路」の探索・調査報告を行っている有名なサイト、「山さ行がねが」の管理人である平沼義之氏による著書で、同サイトの「書籍版」である。シリーズ第2弾となる。当該サイト内で関連するレポートがあるもの、もしくはまったく紹介されていないものの計6編が収録されている。 「山古志の雪中トンネル」; 多雪期の歩道確保のため、地元の人たちが開削した人道トンネルの探索になるが、その「場所さがし」の過程で著者の論理的思考が楽しい。トンネルの探索は、予想外の危険さにみちたもので、冷たい泥水にはだしで突入したり、滑落の危険と戦いながら斜面を登ったりと、人知れない地中で風変わりな情熱がさく裂する様を堪能できる。これが趣味道だ! 「碓氷峠御巡幸道路」「綾戸峡の清水国道および穴道」; 道の「文化史跡」「産業遺産」としての性質を捉えたレポートであり、様々な方向から知的探求が可能な世界であり、現地調査とのリンクが味わえる。 「中央自動車道 南アルプスルート」; 趣向を凝らした変わり種の一編。机上にのみ存在した計画道路であるが、構想の壮大さを踏まえて、「未成道」的な視点により、著者ならではの考察力と想像力をともなった解説が繰り広げられる。 「旧県道酸ヶ湯大鰐線」「森吉森林鉄道 最奥部探索」; ウェブ版「山さ行がねが」のファンであれば、必読の2編である。前者は、距離のあるタフな廃道に自転車を伴って進入し、陽の落ちる前に踏破した記録の再掲であり、年月を経た視点であらためて語られることが感慨深い。後者は、ウェブ版初期の傑作シリーズ「森吉森林鉄道」編の再訪記である。ウェブ版のレポートで、著者は、読者からの情報をたよりに、奥深い山中で到達不能な穴(「神の穴」と名付けられる)を発見するのだが、当書の記事はその後日談的なものでもあるので、興味のある人は是非読むべきだろう。 平沼氏の語り口はあいかわらず軽妙で、ユーモアにあふれている。自分の感じた気持ちをまっすぐに伝える能力は卓越しているし、読み手に呼応する感性があればなおさらドストライクだろう。危険を伴う探索等での臨場感は、独壇場といったところだろう。私にとって、最高に楽しい一編の読み物であり、今後の活動への期待もさらに高まるのである。 白黒印刷であること、web上のマップの引用をQRコードによっていることなど、写真の掲載サイズが小さいことなど、ウェブサイト版と比べると、書籍という媒体ゆえの制約が様々に感じられるのではあるが、それにしても、「山さ行がねが」の大ファンである私には、ネット上とは異なる紙媒体で楽しめると言こと自体が、一つの喜びである。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに 共感する

検索結果:1件中1件から1件まで表示