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シェーンベルク(1874-1951)

CD (Piano Duo)5 Pieces Op.16, Chamber Symphony.1, 2: Prague Piano Duo

(Piano Duo)5 Pieces Op.16, Chamber Symphony.1, 2: Prague Piano Duo

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    伊奈八  |  茨城県  |  不明  |  2022年02月26日

    息の合ったピアノ・デュオによる演奏で、ピアノの音を浴びるように楽しめるCDだ。 プラハ・ピアノ・デュオは、ズデニカ&マーティン・ヒルシュエル夫婦によるピアノ・デュオ。多くのコンクールで入賞した実力派で、HMVで7種のCDを購入できる。 このCDには、シェーンベルクの作品が3曲、すなわちウェーベルン編曲による5つの小品op.16と、オリジナル編曲による室内交響曲第1番と、シェーンベルク自身の編曲による室内交響曲第2番op.38が収められている。 まず、5つの小品op.16だが、CDに「World premiere recording」と書いてあるので、最初私も信じていたが、それは間違いである。Wyttenbach夫妻による録音が世界最初で、そのLP(EL 16 982)は私も持っていた。(生憎現在LPが聞けなくて比較できなかった。)2番目はJames WinnとCameron Grantによる演奏で、そのCD(3-7315-2 H1)も持っている。だから、プラハ・ピアノ・デュオによる録音は史上3番目である。(プラハ・レーベル!) 5つの小品op.16の、2つの演奏を聞き比べてみた。 1曲目は、プラハ・ピアノ・デュオの演奏では、原曲を超えるかと思う音数の多さと喧しさにびっくりする。だが、慣れるとその喧しさが心地よい。Winn&Grantによる演奏では、そこまで音数が多く聞こえず、原曲のイメージに近い響きとなっている。 第2曲も音数は多いが、どちらの演奏もしみじみと聴かせている。クライマックス近くで音が交錯してくると、プラハ・ピアノ・デュオの演奏の方がカオスになってくる。 第3曲は、もともと管弦楽による微妙な音色旋律を用いた曲なので、ピアノのための編曲など可能なのかと思うが、ピアノのための6つの小品op.19の第6曲目を拡大した曲のように響く。どちらの演奏もしみじみ聴けた。 第4曲は、プラハ・ピアノ・デュオの演奏では、一番原曲からかけ離れている印象で、まるでウェーベルンのオリジナル曲のようだ。Winn&Grantによる演奏の方が原曲に近い鳴りだ。 第5曲は、プラハ・ピアノ・デュオの演奏は、どの旋律も割と淡々と弾いているが、音質の良さと相まって美しい演奏となっている。対して、Winn&Grantによる演奏はもっとドラマチックであり、原曲の演奏でもこれほど緩急をつけた演奏は珍しい。 室内交響曲2作品ついては、幸い、メンデルスゾーン・デュオ(石川典子 & マンフレッド・クラッツァー夫婦によるデュオ)によるCD(RCD 30106)を持っていたので聞き比べてみた。 メンデルスゾーン・デュオが弾く室内交響曲第1番は、シェーンベルク自身による4手のための編曲だ。原曲のイメージを損なわない編曲であり、演奏も勢いのあるもので、原曲の優れた演奏と同じ位クォリティが高い。 対して、プラハ・ピアノ・デュオが弾く室内交響曲第1番は、オリジナルとおぼしき編曲で、「そのメロディー、絶対原曲にないよね?!」という改変が多々ある。演奏は、出だしこそメンデルスゾーン・デュオよりゆったりしているが、スケルツォ部分あたりは音数が多過ぎてカオスに聞こえる部分もある。やりすぎじゃないか、と思う部分も少しある。 室内交響曲第2番は、両団体ともシェーンベルク自身による2台ピアノのための編曲だ。 これも、メンデルスゾーン・デュオの方が、勢いがありつつ、オーソドックスな解釈となっている。対して、プラハ・ピアノ・デュオの演奏は、よく言えば独自性に富んでいるが、原曲のイメージに沿った旋律の階層化をしないので、延々とピアノの音の洪水にさらされる印象になる面もある。 他の団体との比較から分かったことは、プラハ・ピアノ・デュオは、原曲を演奏した先例を真似しないで、独自の解釈を貫く団体だということだ。そこにこの団体の魅力もあるし、独断的と感じられる部分もある。原曲のイメージを損なわない演奏を聴きたいならば、他の団体の演奏を聴いたほうがよい。だが、録音も良いCDなので、ピアノの音を浴びるように聴きたい方には大いにお薦めできる。

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