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ティペット、マイケル(1905-1998)

CD 『われらが時代の子』 コリン・デイヴィス&BBC響、ノーマン、ベイカー、他

『われらが時代の子』 コリン・デイヴィス&BBC響、ノーマン、ベイカー、他

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    Tan2  |  神奈川県  |  不明  |  2021年03月13日

    ヨーロッパをナチスの横暴が吹き荒れていた1938年、ドイツのポーランド系ユダヤ人に対する国外追放に抗議して、パリ在住のユダヤ人青年がパリのドイツ大使館員を射殺するという事件が起こった。これは「国際ユダヤ人組織によるテロ」としてドイツ国内での反ユダヤ感情をあおるプロパガンダに利用され、その数日後には「水晶の夜」と呼ばれるユダヤ人襲撃に発展していく・・・。 マイケル・ティペットの「われらの時代の子」とは、このユダヤ人青年のことである。 この出来事やナチスのユダヤ人迫害に心を痛めたティペットは、詩人の T. S. エリオットに詞を依頼するが、逆に自分の言葉で語るよう励まされ、自身の言葉に曲を付けて1942年にオラトリオとして完成させた。ユダヤ人の迫害をイエスの受難になぞらえ、バッハの「マタイ受難曲」を手本として、合唱によるコラールの部分には黒人霊歌を用いている。かつてカナンの地を追われたユダヤ民族や迫害されたイエスを、自らの奴隷の境遇に重ねた黒人霊歌を、再度迫害されたユダヤ人の心境を歌うものとして使っているわけである。  曲が完成したのは、まだノルマンディー上陸作戦などが行われる前にもかかわらず、ティペットの詞は人間性や人本来の理性を信じる希望によって閉じられ、最後に置かれた黒人霊歌「深い川」が大きな感動を呼び起こす。  20世紀を象徴する10曲に含めてよい名曲だと思う。 (その後イスラエルがパレスチナ住民を迫害することになるのは、ティペットの信じた人間性に逆行することになるが・・・)  コリン・ディヴィスはこの曲の演奏・普及に情熱を燃やし、生涯に3回録音を行なっており、このCDはその最初のものである。自身のリサイタルなどで黒人霊歌をアンコールとして歌うこともあるジェシー・ノーマンが、ユダヤ人青年の母親役などとして参加して名唱を聴かせる歴史的な名演である。

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