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アダムズ、ジョン(1947-)

Blu-ray Disc 歌劇『ドクター・アトミック』全曲 セラーズ演出、レネス&ネーデルラント・フィル、フィンリー、リヴェラ、他(2007 ステレオ)

歌劇『ドクター・アトミック』全曲 セラーズ演出、レネス&ネーデルラント・フィル、フィンリー、リヴェラ、他(2007 ステレオ)

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    いわごろう  |  東京都  |  不明  |  2010年11月07日

    原爆の父、オッペンハイマーを主人公とした問題作。歌詞やセリフは実際の関係者の手記等に基づいたもので、かなりリアルに原爆実験前夜当時の模様が描かれている。音楽的には演劇性が重視されており、セリフに無理やり歌をつけた部分が多く、少々疑問が残る。しかしながら、一方でオペラアリア的なシーンも所々にあるため、難解な部類には入らない。 第1幕 序曲 ノイジーな出だしはいかにも現代音楽風だ。そこに爆撃機のエンジン音やノスタルジックなラジオの歌が重なって行く。その後重量級の重々しい主題が奏され、これから起こりうる悲劇を提示する。 第1場。研究所。第1曲は人々による合唱だ。核爆弾を正当化する歌が軽快で狂気に満ちた旋律にのせて歌われる。続くオッペンハイマー(バリトン)とテラー(バス)を中心としたやり取りはかなり演劇性が強い。開発に突き進むオッペンハイマーと反対派の緊迫した情景の中でも、バリトンによる原爆投下目標を淡々と読み上げるシーンは、まるで何かにとりつかれたように悪魔的に表現されており、かなり印象的だ。 第2場。自宅での夫婦のシーン。ソプラノ(妻)が入るため、かなりオペラらしくなる。主人公もやはり一人の人間なのだ。しかしながら、妻の狂気に満ちた反戦の歌もむなしく、事態はブレーキなど全く無いかのように突き進んでゆく。 第3場。実験前夜。悪天候の中、着々と準備が進んでゆく。気象学者を脅してでも任務を全うしようとする将軍がアイロニカルだ。ただひたすらに慌ただしく暴力的なリズムは、雨による被爆の恐怖に怯え足並みがそろわない人々の心理を見事に表している。相変わらず歌ともいえないセリフが続く中、ラストのオッペンハイマーによるアリアが心を打つ。悪魔に心を売った苦悩が神への告白と言う形で歌われるのだが、音楽も悲劇的かつロマンチックで、客席の控えめなブラボーも納得の出来映えだ。ここでオペラを終わりにしてもいいくらいだ。 第2幕。第1場。自宅で待つ妻のシーン。舞台には妻と家政婦(メゾソプラノ)と子供たちが登場する。このシーンは脅かされる人々の日常の象徴として第2幕全体にオーバーラップして登場する。 第2場。実験場。雷雨という悪天候の中、鉄塔に爆弾が設置される。人類初の実験に様々な憶測が飛び交い人々の不安を煽る。ここで歌われるメゾ・ソプラノの深い祈りの歌が心を打つ。音域的にはおそらく最低音だろう。 雨は天の恵みか、それとも死の恐怖か。人々の絶叫をよそに、ついに実施が決断される。 第3場。カウントダウン第1部。ここでは恐怖のあまり錯乱するオッペンハイマーの幻覚が主要なテーマになっている。紙の上の計算がついに実行に移される時が来た。その破壊力など誰一人知る由も無い。 第4場。カウントダウン第2部。ついにカウントダウンが始まる。天気は晴れ渡り、あたりに不気味な静けさがただよう。

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