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ブリテン、ベンジャミン(1913-1976)

CD ピアノと管弦楽のための作品全集 オズボーン、ヴォルコフ&BBCスコティッシュ響

ピアノと管弦楽のための作品全集 オズボーン、ヴォルコフ&BBCスコティッシュ響

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    ココパナ  |  北海道  |  不明  |  2021年07月07日

    目の覚めるような快演奏、快録音。ブリテンが作曲家として世界的な名声を上げるのは、1945年の歌劇「ピーター・クライムズ」以降であるが、それ以前の1938年の作品であるこのピアノ協奏曲もたいへん立派な作品。おそらくこの時代のヴィルトゥオーゾ型協奏曲の代表格を言えるものだろう。 ブリテンの作風は多様性に富み、伝統的な部分、民族的な部分、現代的な感覚が一つの曲の中にミックスして現れてくることがよくある。このピアノ協奏曲もそのような作品。それでもブリテンの「基本的に中庸を重んじる」スタイルであることから、音楽的な効果は保守的な印象で、この時代の作品とは思えないほど調性主義的。第1楽章の冒頭、オーケストラの一撃から突如始まる疾走のような音楽は、どこかラヴェルのピアノ協奏曲の冒頭を思わせる。第2楽章は沈滞なワルツであるが、ピアノより先に独奏ヴィオラが音色を奏でるところなど、ブラームスを彷彿とさせる。第3楽章は「即興曲」と題した多彩な変奏曲で、これに続く終楽章が「行進曲」なのは、いかにもイギリスの音楽だと思う。エルガーをちょっと思わせるところもある。 「レチタティーヴォとアリア」は、このピアノ協奏曲が発表された当時第3楽章として置かれたもの。のちにブリテンはこの楽章を、現行の「即興曲」と置き換えた。聴き比べてみると、やはり、改訂後の方が充実した音楽になっていることがわかる。「若きアポロ」は勇壮で親しみやすい音楽。最後に収録された左手のピアノと管弦楽のための「ディヴァージョンズ」は片腕のピアニストヴィトゲンシュタインのために当時の作曲家たちが遺した作品群の一つで、曲は13の細かいパーツにわかれている。1曲1曲多彩な作曲技法が楽しめる。「夜想曲」と題された一説など、たいへんロマンティックで美しい。 オズボーンのピアノソロが凄い。圧巻のテクニックを駆使して、技巧的なパッセージはきわめ速いスピードで正確に弾き抜いている。楽曲そのものが推進性によって造形をキープする要素が強いので、しまった響きが音楽をわかりやすく、ポジティヴなものにしている。オーケストラも曲想に鋭く呼応しており、両者ともノリにのった演奏だ。これらの曲の決定的録音と思う。

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