ディミトリ・ミトロプーロスの芸術〜ライヴ・レコーディングス・ウィズ・ニューヨーク・フィルハーモニック(19CD)
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フォアグラ | 愛知県 | 不明 | 2022年10月13日
ソニーのミトロプーロス・コンプリートBOXが出た時は本当に嬉しかったが、反面これだけではミトロプーロスの魅力の半分しか伝わらないなとも感じた。そこにスクリベンダムからニューヨーク・フィル・ライヴ集がまるで捕逸のように発売された。ソニーとのダブリは全くなくライヴのみというのもいい。ただこのライヴ集はラジオのリスナーがエアチェックしたもので、50年代の録音としてはドイツの放送録音と比べ格段に音質が落ちる。「世界の調和」なんてミトロプーロスにぴったりの曲だが、音が悪すぎ、フルトヴェングラーと並ぶくらいの名演らしい、という観測に近いものになってしまうのは残念で、はっきり言って半数は普通の鑑賞には耐えない。それでも残りで充分元が取れるのだ。最も音がいいのはCD7の「ペレアス」とヴォーン=ウィリアムズで演奏も最高。「ペレアス」は情念の灼熱地獄のような凄演、ヴォーン=ウィリアムズも激烈で圧倒される。終楽章になだれ込むところが録音者の都合でフェードアウトするのがほんとに惜しい。マーラーも幸い音は良好で大幅カットの3番を除きどれも傑出した演奏。感情の表出を最優先し、そのためには多少のアンサンブルの乱れも厭わないというミトロプーロスの芸術の真髄が聴ける。同内容の韓国レーベルのものが出ていたが、概ねスクリベンダムのほうが復刻はよい。「アルプス交響曲」など別音源かと思うくらい違う。あと、「エレクトラ」の演奏会形式上演は入れてほしかった。演奏も素晴らしく観客の熱狂も凄かったんだが、スクリベンダムはオペラに興味が薄いんだな。ヨーロッパ篇も是非期待したいところだ。4人の方が、このレビューに「共感」しています。
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