17世紀イタリア屈指の名匠を追うシリーズ、新発見オペラの起伏に富んだ物語を生々しく!
モンテヴェルディの歿年に生まれ、カヴァッリやチェスティが第一線を退く頃に華々しい活躍でイタリア音楽界を盛り上げながらも、男女問題で逃亡者となり、暗殺者の手にかかって短い生涯を終えたアレッサンドロ・ストラデッラ。その作曲活動の偉業に本格的に光が当てられるようになったのは20世紀後半になってのことですが、数十年におよぶ研究と演奏実践の積み重ねの末、ここ数年はイタリア古楽界の硬派古楽団体アンサンブル・マーレ・ノストルムが、再評価に新たな活況をもたらす体系的録音を続けているのが頼もしいところです。
同国の古楽シーン最先端を担うレーベルの1つ「Arcana」からこのたび新たにリリースされるのは、つい最近まで全く存在が知られていなかった1676年初演のオペラ『恋愛と偽り』。オペラはこれまで1680年前後のジェノヴァ時代の作品しか注目されていなかったストラデッラですが、その前史ともいえる1670年代、従来知られていたような小規模作品ばかりでなく全3幕もの大作を書いていた事実の判明は、この作曲家の活動史再考の大きな一歩になりました。アラブ世界の片田舎を舞台に、妖精たちが羊飼いたちと入り組んだ恋のいざこざを繰り広げてゆく全3幕の充実した物語を通じて、繊細な詩句の味わいをみごと音楽で捉えてゆくストラデッラの手腕が、デ・カルロが巧みなリードで盛り上げる精鋭弦楽器奏者たちと俊才歌手たちによって色鮮やかに蘇ります。解説も充実しており(英・仏・伊)、イタリア17世紀音楽史を知るうえで見逃せない新録音の登場です。(輸入元情報)
【収録情報】
● ストラデッラ:歌劇『恋愛と偽り』(1676)全曲
アルタバノ、フィレーノ…マウロ・ボルジオーニ(バリトン)
デスピーナ、クロ―リ…パオラ・ヴァレンティーナ・モリナーリ(ソプラノ)
オロンタ、チェリア…ヨゼ・マリア・ロ・モナコ(メゾ・ソプラノ)
コラスペ、ロザルボ…ルーカ・チェルヴォーニ(テノール)
シルヴァーノ…キアーラ・ブルネッロ(アルト)
エリンダ…シルヴィア・フリガート(ソプラノ)
アンサンブル・マーレ・ノストルム(古楽器使用)
アンドレア・デ・カルロ(指揮)
楽器編成:ヴァイオリン2、ヴィオラ・ダ・ガンバ1、チェロ1、ヴィオローネ1、テオルボ1、アーチリュート1、トリプルハープ1、チェンバロ1、ポジティフ・オルガン1
録音時期:2018年11月8,9日
録音場所:ドイツ、ヘルネ文化センター(WDR古楽祭)
録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ)
世界初録音