天才姉妹の驚くべきピアノ曲を才人ファルジョがこだわりのプロデュース
近年女性作曲家の研究や演奏が盛んですが、天賦の才と音楽界への貢献の点でナディア&リリ・ブーランジェ姉妹ほど偉大な存在は稀と申せましょう。姉ナディアは名教師として多数の20世紀作曲家たち〜ピアソラやクインシー・ジョーンズまでをも育てました。妹リリは女性で初めてパリ音楽院作曲科のローマ大賞を受賞するほどの天才でしたが25歳で夭折、20世紀音楽の大損失となりました。
ナディアは妹の才能を前にして作曲を止めてしまったとされ、またリリも凄い作品ばかりながら短命だったこともあり、ピアノ曲は両者あわせても少ししか残されていません。それらを徹底的にまとめた好企画の登場。
リリの作品で『古い庭』『明るい庭』『行列』の3篇は楽譜も出版され知られていますが、未発表の前奏曲と変奏曲が貴重。いずれもリリの情念に満ちた個性的な作風を明瞭に示しているのに驚かされます。ナディア作品はフランス6人組を思わす洒脱さが魅力。ボーナス・トラックとして、今年(2021年)に初めて日の目を見たナディアの歌曲『私の魂』を世界初録音で収録。カリーヌ・デエが1曲だけ参加しているのも超豪華。
ジョアン・ファルジョはフランスの作曲家。ピアニストとしてコンサートやCDも多く、パリのジャズ・クラブのディレクターも務める才人。ナディアの2台作品では一人二重奏の多重録音を行うなど才気煥発ぶりを発揮しています。ファルジョのプロデューサー嗅覚はクラシック音楽の狭い範疇を超えるブーランジェ姉妹の真価を誰よりも理解し、理想的に表現しています。(輸入元情報)
【収録情報】
リリ・ブーランジェ:
1. 前奏曲変ニ長調 (1911)
2. 前奏曲ロ調 (1911)
3. 主題と変奏曲 (1914)
4. 3つの小品(古い庭/明るい庭/行列)
ナディア・ブーランジェ:
5. 2台のピアノのための小品 (1910)
6. 3つの小品 (1914)
7. 音楽院コンクール用小品 (1914)
8. 新生活に向けて (1915)
9. 歌曲『私の魂』 (1906)(ボーナス・トラック)
ジョアン・ファルジョ(ピアノ)
カリーヌ・デエ(メゾ・ソプラノ:9)
録音時期:2020年11月30日、12月1日
録音場所:パリ、バル・ブロメ
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)