サニーデイ・サービス 曽我部恵一のお気に入り音源10選

2016年08月01日 (月) 18:00

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ジャパニーズ・ポップ史に輝く名作『東京』のリリースから20年。
サニーデイ・サービスのニューアルバムは、その真髄が結晶化した、究極のポップアルバムとなった。

曽我部恵一のビタースウィート&シルキーなヴォーカル、メロウネスとメランコリーが宿る美しいメロディ群、めくるめくポップマジック。こうしたバンドの真骨頂が惜しげもなく注ぎ込まれた作品は、同時に、これまでとは明らかに異なる新たなサニーデイの魅力にも満ち溢れている。

永井博によるジャケット・イラストレーションに象徴されるようなブリージンな楽曲たち。新たな傑作・至福としか言いようのない作品が、8月3日サニーデイ・サービスから届けられる。

今回、そんなサニーデイ・サービスから、曽我部恵一、田中貴のお二人が最近どんな曲を聴いているのか教えてもらおうと企画を依頼した。それぞれ10曲ずつのチョイス。当ページでは、曽我部恵一のお気に入り音源10選を紹介してもらう。ボズ・スキャッグス、オメガトライブ(!)から、レッチリ、エジプシャン・ヒップ・ホップまで。氏の最近のモードが大いに反映された10曲。各楽曲に対するレビューコメントも必読の内容だ。

サニーデイ・サービス 曽我部恵一のお気に入り音源10選


01. BOZ SCAGGS 「LOW DOWN」


平気な顔してすごい曲。革命的。2コードでバースを繰り返しつつ、コードが展開するサビの部分はほぼインスト。つまりこのコード感がサビなわけだ。JBのファンクマナーに近い中毒性。このクールさが「ロウダウン」を数多の甘いだけのAOR群から区別する。女性コーラス、執拗なベースのチョッパーフレーズ、全体を支配するハイハットの16分。すべての音がお互い主張しながらも、同じ時間を刻んでいく。準主役はP-90搭載のいなせなレス・ポール。主役はpimpと情婦のストーリー。感動やら感傷やらは歌ってられぬ、とばかりにハードボイルド。
関 美彦さんがこのライブ映像を教えてくれた。コードが展開するところでバックのカーテンがサーっと開くのだけど、そこに米国アダルトロックのメッセージが詰まっている。我々はただただ享楽主義なだけだ、と。で、我が国はまだそういうものを持ち得ていない。

02. EGYPTIAN HIP HOP 「YORO DIALLO」


エジプシャン・ヒップ・ホップを聴くようになったのは、ヴォーカルの人のソロアルバムがとっても素敵だったから。チルウェイヴともヴェイパーウェイヴとも違うひきこもりな高貴さがあって、それが気持ち良かった。
‘89年のマッドチェスターは階級闘争をACIDが崩した画だった(その後はオアシスに代表されるフーリガン的メンタリティが目立ってしまいはしたが・・・)。
マンチェスター・バンドといえど、それから十数年を経た彼らには労働者階級的朗らかさはない。かと言ってブラーのような身だしなみがあるわけでもない。まるで生まれつき堕落してしまっているような、どこか’20年代のロストジェネレーションを想起させるところがある。
このMVもわざわざヴィンテージのヴィデオカメラで撮影し、日本語ナレーションまで入れてみた。でもどこにも「熱狂」が感じられない。醒めきったサイケデリアが覆い、あるのは舌の根元に残った痺れのようなものだけ。

03. Weekday Sleepers 「夏が壊れた」


青森のフェス<夏の魔物>の会場でご本人からCDをもらった。整備されていない、暑いばかりの一日だった。豊田(道倫)くんが選曲をしたベスト盤のようなアルバムで、ジャケットの佇まい、曲名、いろんな部分がなぜかぼくのおヘソより下をくすぐった。その夏はこのCDをよく聴いた。歪んだエレキギターのかっこよさ。ボーカルがよく聴こえることと、ディストーションギターがカッコよく聴こえることは両立しない。どちらを取るんだ?とギターポップと呼ばれる音楽はぼくに問うてくる。答えに詰まり、またこの夏もぼくは曲を作り録音した。
若かったときの自分と今の自分が交錯する。そこに水着のギャルの残像があってくれたら。「夏が壊れた」「で、どうなった?」「そんなこたあ、知らんよ」。

04. Ben Watt 「Hendra」


ノース・マリン・ドライヴから三十数年が経った。つっても知らないか。寒々しい海辺から、乾いた街角に場所を移したんだ。海辺は曇り空だったけど、観覧車や笑い声もあった。街には・・・。髪は薄くなった。いまは無精髭キャラ。あのツイードのコートはどこに行ったんだろうね。男のアコースティックロック。気安く「ボブ・ディラン」とか言うんじゃないよ。ジャングルもDJもやった。ジャズもオーケストラもいいね。でもやっぱりシンプルなもんに戻るよね。この街では、行こうと思えばすぐ海辺まで出られるぜ、兄ちゃん。ただ、なにもないけどな、わはは。ギターソロっていいもんでさ、感情の道化師みたいなもん。オレは何も変わらない、ただ時間が経っちまっただけ。

05. 1986 OMEGATRIBE 「君は1000%」


カルロス・トシキの歌にサウダーヂをおぼえる。ブラジル出身なのだから、あたりまえか。少年の日のあの夏を思い出させ、中年のくたびれた胸をかきむしる。かきむしってくれるなよ、もう。サウンドはエレクトリックファンク。たっぷりメロウ。映像はわざわざ<公式>とあるのだから、オフィシャルなのだろう。カラオケ映像以下のクオリティと麻薬的ステレオタイプさが、「1986年の夏なんてどこにもなかったんじゃないだろうか」というSF的な疑念を呼び起こさせ飛ばされる。1986オメガトライブをはじめ菊池桃子のアルバムなど、当時のVapにはメロウ・エレクトリックファンク・クラシックが多い。何が起きていたのか。それはそうと、サウダーヂってなに?「君は1000%」というJポップ最強の言葉は、30年後にサンデーカミデと奇妙礼太郎がリロードさせた。

06. Happy Mondays 「Kinky Afro」


街のおっさんたちがなんとなく演奏し始めたらこんな音楽だった、という説得力がある。それこそが、ぼくがバンドというものに求めているもの。どんな曲のどこを切り取ってもハッピー・マンデイズ。地に足がついたサイケデリアという意味ではデッドと変わらない。違うのはあまりにも馬鹿っぽすぎたところか(苦笑)。しかし、ショーン・ライダーの描く歌詞世界はロバート・ハンターに負けず劣らず、実は深遠。ただ、語彙少なすぎ(苦笑)。来日ライブをガラガラの武道館で見て、二階席で踊るに踊れず、オレのマンチェ魂がみるみる冷たくなっていった(chill out)のを思い出してしまった。ちくしょう。武道館でハピマンなんて。当時は笑えたファッションセンスも、今見ると最高完璧のひとこと。古びないどころか、年々あたらしくなっていくことを保証します。

07. The Charlatans 「The Only One I Know」


ぶっきらぼうで不感症、だけど甘くてきれいな曲。大したことないふうなんだけど、なんかいい曲。そんな曲、ありそうであまりないでしょう?12インチ、中古盤でよく見ます。640円くらい。今のうちに見つけたら買っておきましょう。とは言え、この後高騰するとも思えないけど。今聴いても初めて聴いたときと変わらない印象。四国香川県坂出市の一軒家二階自室で、NMEとi-D(UK版)をにらみながら、マンチェスターが燃えているのを想像して聴いていました。ひたってた〜〜。どこまでも続いてゆく無意識の地平線。デビュー時はマンチェ界のかませ犬のように扱われたけれど、ブリットポップをも乗り越えほとんど大御所となった彼らは昨年、バンド史上最も力強い傑作を生み出しました。買ったばっかのそのCD、代官山蔦屋の駐車場で聴いて、泣いたな〜〜。

08. Red Hot Chili Peppers 「Dark Necessities」


ファンキーなソフトロックとでも呼ぼうか、レッチリのニューサウンド。ともだちに「レッチリのニューアルバム、めちゃくちゃいいのよ」と力説しても、たいてい「へえ」と言われる。つまり、レッチリって存在はもはや「へえ」なのだ。隅田川の花火大会、今年はめちゃくちゃ良かったのよ、なんて話、「へえ」でしょ。良くてあたりまえ、アメリカンロック界の風物詩。しかし、アメリカが変わってゆくことを旨とするように、レッチリも変わるのだ。そこに風が吹いている。時代の風が。そこがいい。そこがすごくいい。アンソニーの歌が優しくなった。一見、穏やかに太くなったようだが、一点を見つめる力と丁寧さは増している。その眼差しの強さを感じられるレコードだ。ビデオはここ最近見たアメリカ産でダントツに好きだ。

09. Duran Duran 「Rio」


当時(わたくし中学生)はデュランデュランのこと、ぜんぜん好きじゃなかったなぁ。このビデオもアホだと思っていた。ただ、ピーター・バラカンが<ポッパーズMTV>で流した「グラビアの美少女」のヴィデオ(ゴドレー&クレーム監督作品)はベータに録って繰り返し観たが。今はアルバム『Rio』の偉大さが、よくわかる。ディスコと云うトリックを使った、シリアスに重くなってしまったニューウェイヴ界隈からのトロピカルな脱出劇。スリル&サスペンス。FUCK ART, LET’S DANCE! そういえば彼らは007の曲も手がけていたっけ。さもありなん。しかし、サイモン・ルボンが月旅行の予約金を払ったというニュースが流れたことがあったが、あれはどうなったのだろう。

10. THE MICETEETH 「ネモ」


マイスティースとは何度かライブで一緒になった。彼らのライブは朴訥とした発表会のようなところがある。ダンスミュージックの快楽主義よりも、文学を志す者たちの集まりような。この曲、全てが最高だから、もう言葉にしたくない。マイスティースのイメージは学生っぽさ、閉じたサークル感。でもイヤじゃない。だからこそあたたかい。ああ、こんなふうに言葉にすることでどんどんこの曲から離れて行く気がする。はやく字数こないかな。懐かしさはない、だけどすべてが失われてしまった過去のようにも思える。いやいや、そんなことじゃなく・・・。次松くんと、今年の冬に雪の降りつもる肘折温泉郷で逢った。あいかわらず、おじいさんのような、藤子不二雄の「ノスタル爺」のような。・・・もうこのへんでいいですか?

田中貴の選ぶ10曲はこちら

サニーデイ・サービス 田中貴のお気に入り音源10選

ザ・ピーナッツ、大江千里、ピチカートにビートたけし。各楽曲に対するレビューコメントも必読の内容。

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『東京』から20年後の金字塔

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<収録曲>

1. I’m a boy
2. 冒険
3. 青空ロンリー
4. パンチドランク・ラブソング
5. 苺畑でつかまえて
6. 血を流そう
7. セツナ
8. 桜 super love
9. ベン・ワットを聴いてた

ライブ情報




サニーデイ・サービス OFFICIAL WEB
http://rose-records.jp/artists/sunnydayservice/

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