俺はこんなもんじゃない 全曲解説

2009年3月30日 (月)

俺はこんなもんじゃない
狩生さんによる『OWKMJ』の全曲解説

試聴001.「OWKMJのテーマ」
アルバムのオープニングということでカラッと明るい曲ですが、アレンジはかなり複雑です。今回、ややこしい事をアッサリした感じにやる、 ということがしたくて、それはある程度成功したんじゃないかと思います。アルバム全体に言えることですが、はっきり、くっきりと、わけの わからない事がやれたな、と。そういう意味でちょっと赤塚不二夫の世界っぽい曲かなとも思います。

試聴002.「遊星からの物体X(album ver.)」
コンピレーション「極東最前線2」に提供した楽曲を再アレンジ、再録音して収録しました。超プログレにして超ポップな太陽の塔的作品だと 思います。様々な要素がそれぞれの周期で動いていて、それらは混沌としているのに整然としていて、エレガントなのに野蛮。それはつまり 「宇宙」なのではないかと思うのです。で、先日PVの収録を原宿で、宇宙人の格好でおこなったのです。

試聴003.「題名のない音楽会」
森の中で動物が演奏しているような楽しい感じの曲を目指しました。もちろん動物自体は明るくも暗くもないし、この動物たちはスティー リー・ダンを聴いたり、デヴィッド・リンチの映画を見たりもしている。つう、イメージの曲です。基本的に自分の音楽は全部動物に捧げる ために作ってます。あとギターとピアノがひとつながりでメロディを作るようにしてます。

試聴004.「スタジアム」
コンピ「U.F.O.CLUB TOKYO JAPAN vol.5」に提供した楽曲を再ミックス、オーバーダビングして収録しました。ダ ウンテンポな複合拍子が絡み合いながら織り成す、中国大陸や太陽系なんかを想起させる大作なのではないかと思います。終盤にカオティック な祝祭感、盛り上がりがあるのですが、そこのベースが意外とモータウンみたいな感じなのも面白い。とにかく壮大な仕上がりとなったので、 なるべくデカイ音で聴いて欲しいです。

試聴005.「OPEN THE GATE」
インプロヴィゼーションを編集して構成した曲。はじめ別の曲のオープニング用に作ったのですが、その曲は没になってこちらは生き残りまし た。地獄の釜が開くような演奏です。このトラックを支点にアルバムの流れは二分割され、以降の楽曲は死の世界に通低するような、夜見る夢 の中のもっと深い部分、闇の世界のもの、となります。

試聴006.「葬儀の日」
もともと自主映画用に作った一分くらいの曲だったのですが、バンドでアレンジしていくうちに7分超の大曲になりました。この曲に限らず、 最初自分が持ってくるデモは大抵短く、シンプルなものですが、それをメンバー全員で練りに練って、それぞれのバックボーンから色んな要素 を持ちこんだうえで、もう一度まとめ上げ、曲が完成します。なので、最終的なかたちになるまで大体どの曲も半年〜一年くらいかかってます。

試聴007.「瀬」
とても静かで、とてもゆっくりとしていて、浅瀬にだんだん水が満ちてくるような、そしてそれがまた引いていくような、このアルバム中でも 最もジャズ的な即興演奏と相互反応に満ちた楽曲かと思います。それは海でもなければ川でもなく、もちろん沼でも水たまりでもなくて、人が 歩いて渡っていけるような、流れの緩やかな「瀬」だなあ、と思うのです。あとピアノの音がとてもきれいに出たなあと思います。ゲストに二 胡の吉田悠樹くん。

試聴008.「空地(feat.大谷能生)」
流れ的に、この辺に言葉があると表現に厚みが出るなと思って、朗読と言えば大谷さんだろと思って、横浜の自宅にお邪魔して録音してきまし た。はじめ他の曲に被せようと思ってたんだけど、何かラジオドラマみたいになっちゃうのでそれはやめにして、シンプルに、隙間を重視し て、収録しました。配信とかでこの曲だけ買っても意味わかんないかもしれないですが、アルバムとして重要な曲だと思います。大谷さんの小 説「空地」から抜粋。

試聴009.「冥土から」
1stアルバムまで在籍していたボーカルの長井さんをフィーチャリング。ピンクフロイドの「狂気」における「虚空 のスキャット」的な一曲かなと思います。それの反転したバージョンというか。完成してからしばらくタイトルがついてなかったんですが、ま あ、聴いた感じ冥土だなーと思って。この曲だけはファーストテイクです。サックスの音はスタジオの外の廊下で録音しました(響きが良かっ たので)。

試聴010.「THE END」
アルバムが8割方完成した時点で、かなり密度の濃いものになっていたので、逆に軽めのものが必要かなと思い、作った曲です。かなり変な曲 ですが、この奇妙なアルバムを締めくくるにはピッタリかなとも思います。基本的にピアノだけの曲ですが、今後バンドバージョンに再アレン ジしてライヴで披露できたら、と思ってます。





俺はこんなもんじゃない / OWKMJ
俺はこんなもんじゃない / OWKMJ
 彼らにとって3枚目のアルバムは、彼らの魅力が最大限に詰まり、見事に爆発したアヴァンポップミュージック。楽器がうたい、その隙間に声がちりばめられ、聴けば聴くほど深みにはまるマジカルな音楽が見事に開花した。ジャズ、プログレ、ノイズ、アヴァンポップ、アンビエント・・・どこまでも実験精神に満ち溢れた最高傑作である。






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