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単品リリース記念! 石井聰亙監督インタビュー 2 

Friday, March 13th 2009

石井聰亙




石井聰亙監督 INTERVIEW




石井聰亙作品集DVD-BOXT:PUNK YEARS 1976-1983』と『石井聰亙作品集DVD-BOXU:PSYCHEDELIC YEARS』が
リリースされた後、「単品でリリースして欲しい!」というリクエストに応える形で、厳選された8作品が単品で登場!!!

狂い咲きサンダーロード』に関しては、『コレクターズ・エディション』として、"特製Tシャツ"や撮影時に使用された
貴重な撮影台本の復刻版など、ファン垂涎のレアアイテムを収めたヴァージョンも!

石井聰亙監督にお会いする前に、改めて監督の作品を拝見したり、調べていたら、現在、神戸芸術工科大学のメディア表現学科で
教鞭を執られているということを知った。このインタビューでは、そこで教えられることになったきっかけや具体的な内容、
また、現在進行中であるという、石井監督待望の新作のお話しなどにも触れさせて頂いた。

また、石井作品を語る上で欠くことの出来ない、笠松則道というカメラマンの存在や石井監督にとっての"娯楽映画"や"宿命"とは?
そして、「毎回デビュー作品で、毎回遺作だって思って撮る」という、その"信条"とは? 監督の近況や現在の心境なども含めて、お楽しみ下さい。



INTERVIEW and TEXT and PHOT: 長澤玲美


   
わたしが感心するような"画"を撮ってくれるので、
新作も笠松カメラマンに撮ってもらいたいですね。




---  (笑)・・・新作について、今の時点ではまだ詳しくお話しをして頂けないとは思うのですが・・・オフィシャルで出ている石井監督の作品は『鏡心』以降止まっていますが、"今撮りたい"と思われている映画というのは、どういったものなのでしょうか?


石井  本当にいろいろ・・・多種多様あって。逆にいうとまあ、「プロデューサーが選ぶ」っていう風に思ってるんですけど。時代劇大作もありますし、戦争映画みたいなのもあるし(笑)、女性の映画もあるし、うーん、なくなりましたけど、学園ホラーものっていうのも本気で作ろうとしてたし、それから、ハードボイルドな男の世界みたいなものもありますし、全くごく普通の人間ドラマみたいなものもやろうとしてますしね。ちょっと、一口ではいいづらい・・・ジャンルとしては。でもまあ全て、"今までなかったもの"ですね。


---  "今までなかったもの"・・・。


石井  うん。1つだけ言えるとしたら、"今までなかったもの"ですね。


---  「作品にしよう」と思われる時というのはいろいろな要素があるとは思うんですが、例えば、どういう時に「映画として扱いたい」っていう風に思われるんですか?


石井  まず、"テーマ"が大きいんじゃないかな。


---  "テーマ"。


石井  うん。


---  その"テーマ"が浮かんだ場合に"撮りたい画"というのは、イメージとして明確に石井さんの中にあるんですか?


石井  わたしはどっちかっていうと、そういうタイプの人間なんですけど、わりとこう・・・イメージ出来る時はもう、全部(画が)見えてますから、逆に言うと、それに縛られるっていうのがあるから、今ずーっとやってるのは、自分の世界をいったん壊して、なるべくもっとこう・・・"普遍性を持たせる"っていうこと。だから今、必ず自分だけで脚本を書くんじゃなくて、他のライターと一緒に書いてるんですよ。


---  それは、今までの石井さんのやり方においては、新しい試みなんですよね?


石井  そうですね。より・・・だから・・・物語性が増すっていうことと、"人間ドラマ"っていうのかな?そういうのをもっと充実させるっていう。これはその・・・8年前って言ってたのは・・・(笑)それまでそれを重要視して考えてなかったんですね。どっちかっていうと、"右脳先行"っていうか(笑)。ある世界感があって、それをどうやっておもしろくするかっていうことを第一に考えてたんだけど、今はそれプラス、物語のおもしろさ、人間のキャラクターのおもしろさ、登場人物の。あとはその・・・"ドラマ性の濃さ"っていうものをいろんな題材で追求してる。で、その中でどう自分のある種、世界観を・・・本質は失わずに再構築してより拡がるかっていうことを一生懸命やっていて。それは、自分でもたのしみにしてるんですけどね。


---  石井さんの"画"を撮影される時に、笠松則道さんの存在ってすごく大きいと思うんですが、今後も一緒に作品作りをされるご予定は?


石井  いや・・・出来ればね、一緒にやりたいですけどね。彼は売れっ子ですし(笑)。だから、忙しいし・・・まああの・・・大ベテランですから、なかなかその・・・予算がたっぷりあるような作品がないかもしれないんで、自分でもう、カメラも担当しなきゃいけないみたいなこともあるかもしれないから、それはそれでしょうがないと思うんですけど。まあ、すごく優秀なカメラマンだから、「ぜひ一緒にやりたい」って思いますけどね。


---  石井さんの過去の作品を振り返っても、撮影が笠松さんという作品が本当に多いですが・・・その理由というのはやはり、石井さんが思う"画"を忠実に再現して下さるからですか?


石井  いや・・・忠実に再現するんじゃなくて、自分が予想した以上の"画"を撮るからですね(笑)。わたし自身もその"画"に驚きがあるんで。やっぱり、自分の予想以下だったら頼みたくないんですよね(笑)。


---  毎回それを超えるような・・・。


石井  そうですね。わたしが感心する・・・「素晴らしいな」って思えるような"画"を撮ってくれるので。新作も笠松カメラマンにやってもらいたいって思ってますけどね。スケジュール通りにいけば、大丈夫だと思うんですけどね。(新作は)彼の力が存分に出る題材だと思いますよ。


---  今こうやっていろいろ伺っていると・・・想像だけがどんどん膨らんできちゃいますね(笑)。


石井  (笑)。きっと、(新作は)おもしろいと思いますよ。


---  たのしみにしてますね(笑)。石井さんというと、音響と映像のMIX感が素晴らしいとも思っているのですが、それは先ほどのお話しにもありましたけど、"今までにないもの"を出したいっていう時に、音響と映像で仕掛けるというような意識はご自身の中におありですか?


石井  うーん・・・物語性をたくさん追求したりとか、人間のキャラクターとか人間ドラマを追及したりすると、そういう映像音響的なことは、どう両立していくかっていうのはちょっとまだ、よくわからないかもしれないですね。 一時期、僕らが望んでる音響状態が「映画館で再現出来ない」っていう話しがあって、そこに1回、すごく絶望した時があったんで。それを実現させるっていうことはもう、ほとんどアートに近いんじゃないかなって。だから、『鏡心』なんかもね、あれは映画っていうよりはアートに近いと思うんですけど(笑)。だからまあ、映画館でやらなかったんですけどね。

そういうアート的な方向を全面的に追求する場合は、ある種の空間を作った方がいいなとは思いますけどね、そっちに完全に振った方が。だから、それはそれで非常に興味ありますけど、アートには金出してくれないんでね、誰も(笑)。


---  そういう風潮はありますよね(笑)。


石井  ええ。だから、自分でお金貯めて・・・『鏡心』の時はたまたま、韓国の映画祭が「そういうの作ってくれ」っていう依頼があったんで、作ったんですよね。(2004年の韓国・全州国際映画祭の特別プログラムとして、3話からなるデジタル・オムニバス「三人三色」(韓国ポン・ジュノ監督、中国ユー・リクウァイ監督、石井聰亙監督)の短編が製作された。『鏡心』は、「ハイビジョン24P・3Dバーチャルサウンド・完成尺61分」の完全版として完成させたオリジナル・ロングバージョン)自分では、そういう方向にもとても興味がありますね。


 
美しくて激しい映画、撮りたいですね。





---  『DEAD END RUN』では、劇場でライブを体感しているような音響の仕掛けをされていましたが、またああいう効果とは違う試みですよね?


石井  普通にドラマを撮るにしても、ただの音じゃないとは思う、凝るとは思うんですけど(笑)・・・より、技が巧妙になるかもしれないですね。例えば、ハリウッドなんかでも、『ファイトクラブ』のデヴィット・フィンチャーとかも"娯楽映画"なんだけど、音をすごく創造的な使い方をしてるし、アートだったら、ゴダールとかデヴィッド・リンチとかはやっぱり、独自のサウンドデザインをしてるんで、自分がどのへんでやっていけるかっていうのは題材が・・・シナリオが出来て、プランニング出来てからやろうと思うんですけどね。あとは、それにかけられる予算?どのあたりで勝負するのかっていう。


---  石井さんが作ろうとされている作品はやっぱり、お金がかかりますよね?(笑)。


石井  うーん、「お金がかかる」っていうとプロデューサーが尻込みするんで(笑)・・・。


---  (笑)。


石井  「お金はかからない」です(笑)。工夫でやります。工夫して・・・知恵は使うけど、余計な、無駄なお金は使いません(笑)。


---  知恵は使うけど・・・(笑)。お金じゃないですよね。


石井  そうなんですよね。本当はお金じゃないんですよ。全然あの・・・大事なことは、低予算でも出来るし、お金をかければかけたでまたそれはそれで大変だから。お金のダイナミズムってあると思うんですけど、たくさんお金があるっていう。ただ、お金を上手く使うのもすごく、クリエイティブなことなんで。なかなかそれはそれで・・・でもそれは自分が選ぶことじゃないというか。(お金は)あればあった方がいいんですけどね(笑)、もちろん。


---  そうですね(笑)。


石井  あったら、いくらでも使ってあげますから(笑)、クリエイティブにね。インディーズ出身なんで、無駄金使うのはすごい嫌なんですよね。


---  "その時にしか撮れないものを出し惜しみせずに撮り切る"っていうのが、一貫して変わらない石井さんの"信条"なんですもんね?


石井  そうですね。それはもう、"信条"ですね。それはもう、絶対変わらないと思う。「毎回デビュー作品で、毎回遺作だって思って撮る」っていう(笑)。「貯金ゼロにしてしまいたい」っていう。そうしないと、また新しいアイデアっていうのは入ってこないんですよね。逆にいうと、そこまでやらないと「見えてこない」っていうかな。

鏡心』なんかでは、あれからほとんど動きが止まってたんで・・・(笑)。ちょっと、"色即是空"な世界に入ってたから、作り終わってそれは少し反省したんで、今後はやっぱり、"動く映画"を・・・(笑)。


---  そうですか?(笑)。


石井  うん(笑)。そういうのを撮っていきたいなって思いますけどね。さっきも言ったように、切り離した方がいいかもしれないですね。アートっていう文体・・・時間は必要としないっていうのかな?まあ、例えば・・・ふらっと観て、ある種のインパクトがあるっていうものと、映画っていう、1時間半とか2時間とかきちっとあって、何か・・・そこで自分が今後、物語性とドラマ性とあとは人間のキャラクターみたいな・・・そっちは"劇映画"を大切にしていって、こっちはより純粋に・・・もうそういうことはすっ飛ばして、全くの自分の表現・・・そういうまあ、たぶん2本立てで行くんだろうなって思ってますけどね。

で、神戸の方がそれが両方出来る。お金がいらなくて、アーティストと職人がいるわけだから。で、今はもうね、ハイヴィジョンのね、こんな小さなスチールカメラでも、ハイヴィジョンの映像撮れますからね。個人でそういうアート映像が撮れるようになったんで、そのことも、大学でやってることは大きいかもしれないですね。


---  最後に質問させて頂きたいんですが・・・今までのお話しにもつながるとは思うんですが、石井監督にとっての"娯楽映画"を撮るということがご自身の「宿命でもある」ともおっしゃってましたが・・・。


石井  そうですね。自分の宿命はある種やっぱりその・・・わたしは、"表現の本質"みたいなことをきちっと・・・「何故人間が表現を必要とするのか」「何故映画を観たいのか」っていうことの自分なりの答えをきちっと果たしたいし。ただ、それを純粋にやれば、アート映画・・・(アンドレイ・)タルコフスキー監督すごい好きなんですけど、(セルゲイ・)パラジャーノフとかゴダールとか・・・それだけを追及するっていう。それは、実にたのしいと思う。

ただ自分の役割り、映画の世界の中での自分の役割りっていうのは、"娯楽映画"という・・・みなさんが観て初めて成り立つ映画というのかな。たくさんの人が観れる作品。表現の本質は失わずに、でも娯楽として観れる映画という・・・娯楽と芸術の中間をやるのが一番おもしろいと思ってるんですよね。だけど、難しい(笑)。

個人でやる分にはね、別に自分が調合すりゃいいんだからそれでいいんですけど、"娯楽映画"の場合どうしてもお金がかかるんで、個人の持ってるお金で収まらないから。収まる場合はもう、アートでいいと思うんですよね。「俺が好きに作るんだから、ガタガタ言うな」っていう(笑)。

だから、"娯楽映画"でお金がかかる場合は、お金を出す人がいますし、入場料払って観る人が必要だから、それによってある予算とかそういう生活が成り立ってるわけじゃないですか。そこをきちっと満足させてあげなきゃいけないんで、その調合はなかなかやっぱり、簡単ではないので、その試行錯誤を8年間やってるって感じですかね。で、それが世に出る時には、ある種1つの自分なりの回答をそこで見せるっていうことだと思います。今それに取り組んでて、まあ、いい線いってると思いますけどね(笑)。

"激しくて美しい映画" 撮りたいですね。逆かな?"美しくて激しい映画" 、うん。


---  その"美しくて激しい映画"が完成されるのをたのしみにしておりますね。本日は、ありがとうございました。


石井  こちらこそ、ありがとうございました。


おわり



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