--- 本当ですか?(笑)。KERAさんの作品のイメージって、わたしの勝手な解釈なんですけど、何かすごく"ぴゅんぴゅん"してるっていう言葉が似合うなって、勝手に思っていて・・・。シュールであり、ブラックであり、でも何かこう・・・KERAさんご自身では、メッセージ性っていうところまでは考えてらっしゃらないのかもしれないんですけど、ちょっといいことを言ったりするシーンもあったりして、そういうバランスがすごく絶妙で大好きなんですけど、そういった要素を含めたKERAさんの作品を音で表すと、"ぴゅんぴゅん"って感じなんです。それで、その"ぴゅんぴゅん"が今作は、以前の作品にも増して強い印象が・・・"ぴゅんぴゅん"がちょっと強い・・・(笑)。
KERA 「そうですか」としか言いようがないけど・・・(笑)。舞台はさ、最近わりとウエットな作品が続いてて、『
罪とか罰とか』は舞台でいうと、80年代の終わりから90年代の前半とかにやってた舞台のテイストなんですよね。だから、確かにその頃は、今舞台でやってる感じはかなり落ち着いたことをやってるけど、もっと何か、そうね?(笑)。"ぴゅんぴゅん"してたかもしれないね、うん。舞台装置もその頃はあんまりなかったし、ほとんど段差とかだけでどんどん、時間とか場所が飛んでっていう。
--- すみません、何か"ぴゅんぴゅん"ばっかり言って・・・(笑)。ええっと・・・タイトルが『罪とか罰とか』ですけど、『彼女の一番長い日』っていうタイトルの予定だったんですよね?
KERA そうです、そうです。
--- このタイトルに最終決定されたのは、どういう理由だったんですか?
KERA それはね、製作委員会が決めました(笑)。
--- 製作委員会が・・・(笑)。
KERA 最初ね、『
アヤメ』ってタイトルだったの。
--- 『彼女の一番長い日』から『アヤメ』に?
KERA うん。「『
アヤメ』にさせてくれ」って言われて、「絶対ヤダ」って言ったの。あの・・・別に、だったら、主人公の名前をもっと考えた。まさか、タイトルになると思わないからさ。本当、1分か2分で決めてんだよね。
--- "耳川モモ"も?
KERA "耳川モモ"も。考えてないもん(笑)。で、"耳川モモ"はまだいいんだけど、あの・・・円城寺あやさんっていう女優さんがいるんですよ。(劇団)夢の遊眠社で、
段田(安則)さんの先輩だな?同期かな?で、その円城寺あやさんの名前に"め"を付けただけだから(笑)。だから、それがあんまりクローズアップされると思ってなかったから、「ちょっとアヤメはなしでしょう」っていう。で、これになったんですね。
--- この『罪とか罰とか』の"とか"がKERAさんっぽいといいますか・・・。
KERA うん。すごいいいなって思ったんです、これ聞いた時に。
--- それも製作委員会の方から提案があって?
KERA そうそうそう。
--- 警察が出てくるテイストのものだから、"罪と罰"なんですかね?(笑)。
KERA じゃないですかね、きっと(笑)。うん、たぶん。
--- 名前のことで・・・警官役の名前のサブのネーミングで、(六角精児さん演じる、林巡査部長=)"歯槽膿漏"とか、(廻飛雄さん演じる、平川=)"極めて目の悪い警官"とか・・・。
KERA ああああ、はいはいはいはい(笑)。
--- (林和義さん演じる、大野木特設資料班=)"抜け毛"とか、(島田曜蔵さん演じる、太った警官=)"関取"とか、"排尿する警官"とかってあったんですけど・・・。
KERA ああ、クレジットのね。
--- ええ。あの名前とかも、ナレーションで入ったりしますよね。こういう名前も本当にぱって思い付かれて書かれてるんですか?
KERA "歯槽膿漏"と"抜け毛"はね、元の舞台があるんです、『
ビフテキと暴走』っていう。その中で
犬山(イヌコ)がそば屋の店員で、そのそば屋の店員がアイドルの演歌歌手みたいになって、で、一日所長になって、指令を出すっていうシーンがあって、10分くらいの短いシーンであるんですよ。それをもうちょっとこう・・・もっともらしく膨らませたのがこの映画なんですよ。で、"歯槽膿漏"と"抜け毛"はその時からあったんですよね。
--- この2つに他も加えて、おもしろい名前がたくさん・・・(笑)。
KERA (笑)。"排尿する警官"とかは、台本上は、何か違う名前があったんだけど、観てる人にはわからないから、名前呼ばれないからね。それでそういう風に書いたんですね。で、今回はエンドクレジットに一応、「誰がどの役をやったかっていうのがわかるようにしたいな」っていうのがあって、前2作は全部、名前が役者名だけなんですけど、今回は一応、「配役がわかるようにしたい」っていうのがあって、で、"排尿する警官"とかはその時に慌てて考えたんですよ。
--- やっぱりあの・・・わたしは、KERAさんのそういう言葉遣いというか・・・それがすごく・・・いちいちツボに入るんですよね(笑)。
KERA "排尿する警官"が?(笑)。
--- "排尿する警官"とかあの・・・例えば、"歯槽膿漏"であったり"抜け毛"であったり、絶対、警官の名前でそういう風に呼ばれたりすることはないじゃないですか?
KERA そりゃそうだよねえ(笑)。そりゃそうだよ(笑)。
--- (笑)。なので・・・意表をつかれることがすごく、KERAさんの作品では多くて、そういう驚きみたいなところもあって、すごく大好きなんですけど。
KERA (成海)璃子もそうだと思うんですよ、きっと。似たようなところに反応するなあ。
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