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「TAO」 第2回 :ゲスト→都築響一 8 

Thursday, April 2nd 2009

---  そうかあ。例えば、どのくらいで雇われようと・・・?


都築:どのくらいって?お金がってこと?


---  ええ。


都築:いやあー、わかんない。でも、理想は妻だよね(笑)。


---  ああ、そうかあ(笑)。


都築:そう(笑)。タダ!(笑)。


---  確かに(笑)。


都築:もらったギャラをわける、2人の生活費にするみたいな。でも、妻いないしさ。やっぱりやむないっていうね。でもまあしょうがないよ。その分、身軽でいいかなっていうね。好きなように撮影出来るし、好きなように書けるからさ。


---  アシスタントの方がいたとして、都築さんの思われているものと違う形で仕上がってきた場合、言い合うのもめんどくさいっていうこともありますもんね?


都築:まあそうだね。


---  あとは、発生したお給料分で、どこか行けますもんね?都築さんが。


都築:そうなんだよ。小っちゃい本ならさ、そのアシスタントのお給料1年分で出来るかもしれないしさ、そういうことも考えるとね。僕が本出す度に100万部くらい売れてればさ、そんなことは考えなくてもいいんだけど、全く。3千部とか5千部じゃあね、1人でやるしかないって感じ。でもいいの、出来てるから。

でもね、タイはすごいおもしろいんだよ、本当に。そんでみんなさあ・・・タイが好きな人はたくさんいて、「よく行ってる」って人もいるけど、タイっていうと、同じようなことしか出てこないじゃない?おいしいご飯屋とか、きれいなお寺とかさ、エステのこととかっていうのしかないからさ。「そういうんじゃないものもありますよ」っていうのをね、あれで見せたかったっていうこともあるよね。


---  「あんな場所があるなんて・・・」って、すっごいびっくりしました(笑)。


都築:ねえ、不思議だよねえ。何でこんなもんがあるんだろうね(笑)。


---  でも、本当によく出来てますよね。


都築:そうなんだよ。


---  美術館の中の作品にはないパワーがいっぱいあって(笑)。


都築:本当だよねえ、そうだよー。


---  日本ってやっぱり、そういう文化が育ちにくい・・・。


都築:まあね。でもさ、ああいうの取り上げるような雑誌もあるわけじゃない?だから、本当はあるんだよ。「見てないだけ」なんだよ、たぶんね。だから、本屋さんとかにも普通にこういうものも並んでるわけじゃない?で、この元の「(週刊大衆増刊)パパラッチ」だってさ、コンビニで売ってるわけよ。で、ものすごい売れてたの、何10万部・・・40万部とかって売れちゃうんだからさ。だからね、どんなアート雑誌よりでかいわけよ、10倍ぐらい。10倍くらいっていうか、50倍くらいでかいわけよ、「美術手帖」とかと比べればね。しかも、コンビニとかでどこでも売ってんのに「見てない」っていうだけのことなんだよ。


---  見落としてるだけ。


都築:そうだよ。コンビニで雑誌チェックするかもしれないけど、奥の方は見ないでしょ?(笑)。"成人向け"みたいなのはさ。でも、そこにおもしろいものが・・・こういうのが載ってたわけだよ。でも、「何のレスポンスもない」と、アート界からは(笑)。"エロ雑誌"だと思われてるから。だから、育ってないんじゃなくて、こっちが・・・僕たちが育ってないんだよ。文化はそこにあるんだよ、既に。


---  既にそこにある・・・。


都築:そう。だから例えば、おもしろい場所は東京にあるんだけど、見てないから、「東京、最近つまんないよね」って話しになっちゃうわけ。でも、おもしろいんだよ、見えてないだけなの。だから、こっちのせいなんだよ、全部・・・って思うと気が楽だよ?(笑)。


---  そうかもしれないですね(笑)。都築さんがイメージとして括られるものって、"珍スポット"であったりとか"エロ"っていう風に言われることが多い気がするんですけど・・・。


都築:まあそうでもないけど・・・最近は確かに多いね(笑)。でもまあ、いろんな仕事してるから、それだけでもないんだけどさ。


---  都築さんの取材の対象になり得る・・・そのものについての好奇心とか発見みたいなものって、どういうところで知ったり、出会ったりすることが多いですか?


都築:うーん・・・でもねえ、例えば僕はタイが好きで行ってるわけですけど、こういうヘンな寺だけが好きなわけじゃないわけよね。そのへんが小嶋(独観)くんとかとは違うと思うんだけどさ、普通のきれいな由緒ある、歴史あるお寺も好きなのね。例えば・・・秘宝館も好きだけど、普通の古典美術とかも好きなの(笑)。だけどこの地獄寺だの、秘宝館だのに関しては、他に文献がないわけ。きれいなお寺だの、古典美術だのに関しては、いくらでも文献はある。だから、ないところを自分がおよばずながら埋めてるだけなんだよね。

だからこう、必ずしも何て言うのかなあ・・・人と違うことばっかりが好きなわけじゃないと思うんだけど、ただ好奇心が広い・・・ちょっと広めっていうだけのことであって、その中で「自分がやんなきゃいけないことがここにあった」っていうことなんだよね。

あと、見つけ方っていうのは別に、探してるわけじゃないんだよね、出会うだけなの。座って、パソコンの画面を見てるだけじゃ出会いはないわけじゃない?歩き回ってないと出会いはないわけよね。だから、こういうのを知ったのも、10年くらいとか前にバンコクに行って、あっちの雑誌とかへろへろ見てたら、ここのちっちゃい写真が1個、ぴっとかって載っててさ。「何これ?!(笑)」って感じになってさ。でも文字読めないから、ホテルのフロントにすぐ行って、「どここれ?」みたいな話しになって、教えてもらってさ(笑)。それで行ったのが最初なのよね。

だからそういうのってさ、どこでどう見つかるかわかんない。僕達が見つけるっていうか、「見つけさせられてるんじゃないか」っていう気もするぐらいなものであって。だからそういう場合はこう・・・何て言うかなあ・・・目的を持って探すものじゃないんだよね。「今までとは違う、タイのものを見つけよう」って思って行ってるわけじゃないわけよ。タイはおもしろいから、ただ行ってるんですけど、いろんな本屋見たり、文字読めないけど雑誌を買ってみたりとか、そういう風にいろいろしてるうちに飛び込んでくるんだよね。

こう・・・黙って口を開けてても、餌は飛び込んで来ないけど、口開けたまんまばあーって動き回ってると、飛び込んで来る率は高いでしょ?餌獲りだってさ(笑)。だから、それと一緒よ。


---  そうですね(笑)。


都築:だから、フットワークがよくないと絶対だめなんだね、こういう仕事はね。でも、フットワークがじゃあ、どうしたらよくなるかっていう話しなんだけど、フットワークを悪くさせる原因は、"居心地のよさ"と"金"なんだよ。


---  ああああー、そうかあ(笑)。


都築:そう(笑)。要するにさ、いい出版社にいて・・・まあ出版社でも何でもいいんだけど、音楽業界でも。いい会社にいて、いい家があって、いい給料もらってたら、フットワーク悪くなるよ、そりゃあね。家にいた方がいいし、お金もらって、タクシー券持って飲みに行ってもいいんだからさ(笑)。だけど、そうじゃないとさ、フットワークがよくならざるを得ないわけじゃない(笑)。すごくお給料もよくて、すごく居心地のいい会社で・・・だけど、「いろんなとこ飛び回ってます」なんて人は、まずいないわけよね。飛び回らずを得ないから、飛び回ってる人がほとんどだと思うんだ。だから、そういう環境に自分を追い込むってことも必要だよね。


---  ある意味、今の環境はわたし、最高なのかもしれないですね(笑)。


都築:そうだよ、本当そうだよ(笑)。だから、ポジティブに捉えた方がいいよ、今の段階を。好きなこと何でもやらせてもらってて、予算もあって、人も使えるっつったら、自分はやんないよ、たぶん。人にやらせてね、編集長になってればいいわけでしょ?だし、刺激ゼロってことになるよ。そのうち、自分が好きなのなんだかわかんなくなっちゃう・・・なぜなら、現場にいないから。だからさ、いいことなんだよ、冷遇されてるってことは(笑)。


---  冷遇・・・(笑)。


都築:そうだよ、本当にそう思うよ。


---  そういうところから何かが生まれますよね?(笑)。


都築:でしょ?だって、会社で仕事したくないから、外でいろいろ人と会ったりしてるわけでしょ?すんごい上司もいい人でね、大好きな同僚もいて、会社の居心地は最高によくて、社食も旨い・・・みたいなんだったらさ、外出ないじゃん!(笑)。で、定時に仕事が終わる・・・みたいなんだったらさ、あと家帰って遊んでればいいだけのことじゃない。だけど、嫌だから、全然いたくないから外に出るわけでしょ?そして、出会いがあるっていうさ。だから、いい方に捉えればたのしくなるよ、毎日。本当、そう思うよ。それはある意味、いい環境だもん、本当に。

だけど僕もまあ、そういうことでっていうことでもないんだけど何かねえ、「違うタイを見つけたい」とかじゃなくて、偶然出会ったものを突っ込んでけばいつか、こういうことになるわけ。でもそれには、10年くらいかかってんだよね、やっぱりね。だから時間はかかるんだけど、そこの・・・長い間失わない・・・好奇心を失わないだけの素材と出会えた時は、こういうことが出来るってことだね。そのうち飽きちゃうものもいっぱいあるしさ。


---  わたしの場合はなんですけど・・・「何かこれ気になるなあ」って思ってそこに触れてると、何らかの"気付き"があって、そこからまたつながっていく瞬間っていうのは、やっぱりありますね。「ああ、あの時気になってたのは、ここにつながるためだったのかな」って。


都築:でしょ?例えば、人は今さ、それをネットでやるわけじゃない。リンクを辿って行ってさ、どんどんどんどん。で、広がってくでしょ?実生活でそれが出来るとおもしろくなるんだよね。例えばさ、1つのことを取材した・・・そしたらその後もどんどん、足使って見に行く、次の人に会いに行く・・・っていうさ。で、そういうのをやってるとね、ネットで得られる満足感なんて大したことないけどさ、そこからは得られない、満足感を得られると。だから、そうやって行くとたのしくなるんじゃない?同じことだよね。だからね、そういうことでこれは作ったんですよね。偶然、要するに(笑)。


---  そうなんですね(笑)。


都築:そうそう(笑)。タイに詳しかったわけでも何でもないと。


---  ワンダーJAPANさんとの出会いはそういう・・・。


都築:そうなの。


---  編集長の関口さんとは、あのイベント(HMV SHIBUYA & ON LINE 10th Anniversary 「ワンダーワールド・オブ・ワールド」)の後、都築さんが主催する"すなっく キャッツアイ"の時に、カウンターで隣に座って、飲みながらいろいろお話しさせて頂いてたんですけど、あのお話しもちょっと、お聞きしたいなあと思いまして。


都築:ああ、"すなっく キャッツアイ"ですか?(笑)。来月もやりますから、ぜひ来て下さいねー。


---  はい、あの時すごくたのしかったんで、また伺わせて頂きますね。


都築:うん、来て、来て。あれもさ、「スナックの取材がおもしろいから自分でスナックもやってみたい」って思い・・・相方の編集者もさ、すごいエネルギッシュな奴なので、「一緒にスナックやろう!」っていうことで、場所もあるし、月1回借りて。1回だけやってみようと思ったの。


---  その第1回の前に、あの名刺・・・ショップカードを頂いて。


都築:そうそう。作ったの、ちっちゃいやつね。


---  あれ、デザインとかすごく、かわいいですよね。


都築:本当?あれ、死ぬほど余ってんですけど・・・(笑)。


---  本当ですか?(笑)。もしよろしければ、このインタビューを読んで下さった方にプレゼントとかって・・・?


都築:ああ、そんなんでいいんですか?それならいくらでも。


---  いいんですか?


都築:だってそれ、WEBの名刺注文サイトみたいなので作ったんだよ。


---  これを見て気になって下さった方が都築さんのスナックに足を運んで、また違う方にまでつながっていったらおもしろいですよね。


都築:じゃあ、余ってるからあげます。


---  ありがとうございます!どうやってプレゼントにしようかなあ・・・ちょっと考えます(笑)。


都築:だけどねえ、あれはさ、1回だけやってみようと思ったの。それで、ネットでカラオケのリース屋さんも探し、安いところでお願いして持って来てもらって。その辺りでお酒も買って。だからね、ただの1回だけのパーティーだと思ってやったわけよ。そしたら、あまりにも人が来たのでびっくりしてさ、自分達でも(笑)。


---  あまりにも(笑)。


都築:うん、すごい来た。儲かっちゃったって感じ(笑)。


---  儲かっちゃった(笑)。


都築:そうだよ。だって、お酒もすごい安くしてんのにさ、何でも1杯500円みたいなさ。


---  でもそれを軍資金として、次が出来たらいいですよね。


都築:そうなんだよね。まあね、そこまでは儲かんないんですけど、たかが500円とかだから。でもさ、次に繰り越すお金とかがもうあるわけよね。だからそうやって、自分のお金を使わないで、また次のが出来るって感じになって、「こんなに客が来んのかよ?」「みんなこんなに歌いたいのか」と。けどみんな、「地元のスナックには行かないのか?」みたいな感じがおもしろくて、ちょっと調子に乗って(笑)、「毎月1回やってみよう」って。で、そしたらその借りてるお店も、「月1回くらいならいいよ」って言うんで貸してくれるからそれでね、調子に乗って続いてんだよね(笑)。






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