インタビュー:capsule(前編)
2008年11月7日 (金)
中田ヤスタカ:うーん、まぁずーっとレコーディングしてるんですけど、忙しいっていうより遊んでる感じですよ。楽しい事なんで。
HMV:以前「休んでても常に曲づくりのこととかを考えちゃう」っていうお話を伺ったんですけど、日々そのテンションを保ってる感じですか?
中田ヤスタカ:いや、テンション低くても曲は作れるんでね。なんかDSとかやってる感覚と一緒ですよ(笑)。
HMV:曲を作ってるときは、思いがけず出てきた音色とかフレーズによってテンションが左右されていくと思うんですが。
中田ヤスタカ:あ、それはありますね。曲を作ってる最中での上がり下がりっていうのは。ただ、そういう意味で言ったら、自分のテンションが下がってたら、その曲っていうのはボツです。
HMV:なるほど。
中田ヤスタカ:ずっと「楽しいな」「これ面白いな」って自分が思ってないと。その感覚が完成まで続く曲じゃないと、完成する前に「そもそもこの曲がダメだからピンと来ないんだ。別の曲やろう」っていう風になりますね。
HMV:その判決を下すタイミングって難しそうですね。どの辺でボツにするかっていうのは。
中田ヤスタカ:うん。早いこともあるし、歌を録ったあとで「これは無しだな」って判断することもあるし。曲によりけりなんですけどね。
HMV:今回のcapsuleのアルバムは約1年ぶりということですが、外での仕事も多い中田さんにとって、「capsuleに戻ってくる」…あえてそう言わせて頂きますけど、そのきっかけは具体的にあったんですか?
中田ヤスタカ:うーん、そうだな…。やっぱり外部の仕事って一言で言っても、それぞれ違いはあって、例えばmegとかは"コラボレーション"ていうスタンスに近かったり、鈴木亜美ちゃんの場合は彼女のリクエストに僕が応えるっていう感じだったり。だから(聴いてる人には)僕が好き勝手にやってるように聴こえるかもしれないんですけど、実は相手の「こういう音が好き」っていうのに応えてる部分があるんですよね。ちょうどいい関係でオーダーメイドの洋服を作るっていう感じで。あ、ちなみにレコード会社とかからの「こういう風に売りたい.」っていうリクエストには一切応えないですけど(笑)。
HMV:(笑)。
中田ヤスタカ:だから「別に全然カッコいいと思わないけど、曲作ってもらったからCDにします」っていうのは嫌だし、(歌ってる)本人が心から「いい」って思えるようにリクエストに応えたいんです。それと全く同じで、単純に自分自身が心から「いい」と思えるものを作りたい欲求があってそれを100%でやろうとすると、capsuleしか無いっていう。
HMV:ではその間にやってきた他のアーティストとの仕事から今回の作品にフィードバックされてる要素ってありますか?
中田ヤスタカ:(外仕事は)基本的に自分の作品ではないので、(一度進みだすと)なかなか後戻りすることが出来なかったりすることもあるんですよ。でもcapsuleの作品に関してはそこが可能なんですよね。やりながら決められるっていう。
そのやり方の違いを感じたときに、capsuleでしかできない曲があるなぁって思って。その部分は今回のアルバムを聴いてもらう人にも伝わると思うんですけど
HMV:最初に考えてたアルバム全体のコンセプトっていうのは?
中田ヤスタカ:デジタルに「やんちゃなイメージ」っていうのを持ってる人がまだ少ないと思ってて、今回は「デジタルな暴れ方」っていうものをしたいなと。例えば"歪み"とかオーバードライブ感って、大体みんなアナログの音をイメージするじゃないですか?曖昧だったりはみ出す余地のあるものがアナログで、きれいに割り切れて整合性のあるものがデジタルっていうような。
でも今回は「デジタルじゃないとできない歪み」。そういう音を作りました。(ツールの)使いかた的には間違ってると思うんですけど(笑)。
HMV:機材的な変化ってあったんですか?前作から比較して。
中田ヤスタカ:うーん、ほとんど変わってないですね。元々僕の曲を作るのに特別向いてるっていうような機材でもないですし、作ろうと思えば僕の機材で演歌でもムード歌謡でも作れると思いますよ(笑)。ハードウェアしか無かった頃だったら「テクノ向きの機材」とかあっただろうけど、今はある程度機材を揃えれば結構な音が出せちゃう時代ですからね。あとは結局自分の意思しだいだと思います。
...後編は11月14日更新予定!
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