-「ロックミュージック」リリースおめでとうございます!
ヌマクラタカシ(以下、沼倉)&小野眞一(以下、小野)「ありがとうございます!」
-改めてお聞きしますが、taeの前身バンド、Shortcut Miffy!を含めて、音楽活動歴ってどのくらいになるんですか?
沼倉「14-5年くらいかなぁ」
-ウルフルズと一緒ですよ。結成15周年。
小野「うわあ、よくやったなぁ…俺たち…(笑)」
沼倉「そうだよなぁ。小野さんと初めて会ったのが18歳とかだからね」
-付き合い始めてそのくらい経つと色々とありましたよね。お互い付き合い辛い部分とか。今でもあるかもしれないけれど(笑)。
沼倉「あるんですかね?」
小野「どうなんですかね?(笑) ていうか、付き合い辛いなっていうのはお互い前にあったはずなんですけど、もうその辺りは通り越してますね」
沼倉「あとは、もうお互い“あー、なんか今日機嫌悪そうだなぁ”っていうのはもう見ればわかるんで。 “あ、もう、今日は、機嫌悪いままで、どうぞ!”みたいな(笑)。それは俺でもあることだと思うし」
小野「そうだね。気を使わなくなったね」
-それはtaeをスタートさせた頃から?
沼倉「いやぁ、taeが固まり始めてきてからじゃないかなぁ」
小野2-3年前くらいじゃないですか。だって、初めのころは、“お前これ絶対に間違ってる!”とか。そういう話をしていたんですけど。最近は、 “沼倉くん、いいっすね”、“そうですか、小野さん”みたいな(笑)」
-2人きりで飲みに行ったりするの?
沼倉「ほとんどないっすね。リハーサルやるときに“どうする?”って一緒にスタジオに入るときはあるけど、最低でも3人で飲むって感じですかね」
小野「前に、ススムさん(坂巻晋:Bass)に“どうせお前ら2人で飲みに行ったって、喋ることのないくちじゃろ?”って言われて、“そんなことないよ!”ってムキになって2人で行ったことがある(笑)」
沼倉「そうだね(笑)。でも、行きゃぁ話すことあるんですよ、何か。バンドの話じゃなくてもいいしね。“最近ゲーム何やってるの?”とか。だから全然気まずくないし」
小野「また、アベちゃん(安倍川“minzoku”右亮:Drums)とススムさんが上手く間に入ってくれてるからね」
沼倉「じゃあ、久しぶりに今日、2人で飲みに行きますか?」
全員
「(笑)」
-それでは改めて。アルバムの話を聞く前に、HMV ONLINEのみなさんに、“taeというバンドはどういうバンドなのか?”、“どういう歴史を辿ってきたのか?”というのをざっくりと教えていただけますか?
沼倉「えっと、小野さんと僕は、以前、Shortcut Miffy!というバンドをやっておりまして。そのバンドが解散を決めたときに、taeというバンドの構想が既にあって。解散後の2ヶ月後には既にtaeとしてライブを演っていたんです。で、“日本語でちゃんとロックを演ってみましょう”というものが2人の中であって。それがtaeのコンセプトというか、始まりですね」
小野「そのころ既に『彼女』(※1stミニアルバム『君を探す』収録曲)とか出来上がっていたんじゃないかな?」
沼倉「そうだね。リハとかでは既に演ってたね」
小野「まだShortcut Miffy!だった時に『彼女』が出来て、“もうこの曲はShortcut Miffy!じゃないな”っていう感じがしてね。ならば、“新しいバンドを組もうよ!”という感じですね」
沼倉「そうっすね。そんで、お客さん的にはこの僕らの変化を掴み取れなかったみたいで。Taeの最初の頃っていうのほんとぎこちないところがあったんです。けどまあ、1年ぐらい演ってみて、今のリズム隊にメンバーが変わって(※坂巻晋:Bassと安倍川“minzoku”右亮:Drumsが加入)。それでなんか自分の中でも改めて、“あ、やりたいことってこういうことだったのか”っていうものが付いてきたというか。頭の中で鳴っていたものが音になったというか」
小野「メンバーが変わったことで完成したというかね」
沼倉「そうそう。それで、結局、上手いタイミングで1stアルバム『君を探す』をリリースすることが出来て。メンバー変わってすぐというか、変わるギリギリのところでレーベルさんから“アルバム出さないか?”って言われてね」
小野「だから、レーベルの人が、“もう少しでメンバーが変わるんですけど”って言ったら、“えー!”みたいな(笑)」
沼倉「そうなんだよね(笑)。それで、レコーディングが始まる直前にメンバーが変わって。既に曲は出来上がっていたんで、新しいリズム隊になぞってもらいながらもプラスαのものをお願いして。ほんとに大至急レコーディングしたって感じ」
小野「バッタバタだったね」
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君を探す |
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海風と君のこと |
-では、1stアルバム『君を探す』の楽曲に疾走感溢れる楽曲が多く含まれているのもそれが要因であったかも?
沼倉「それもありますね」
小野「そん時は、とにかく勢いのあるものをやりたかったという気持ちが強かったので」
-それから沢山のライブ活動を通じて、2ndミニアルバム『海風と君のこと』がリリースされると。その頃には、メンバー4人で鳴らす音、taeとして鳴らす音がある程度確立出来てきたという感じですか?
小野「うん。“POPさと変態さを如何に融合させるか?”というものがテーマだったかな」
沼倉「それと。『君を探す』のころよりも、もっとメロディーで持っていけるバンドで行こうとしていて。『海風と君のこと』のときに2人の中で、“もうちょっとポップみたいなものをやっていきませんか?”ってことになって、『ガールフレンド』とか『ベッドタウン』という曲が出来たのかなと思いますね」
-そのポップさというのはどういうポップなんでしょうか?
沼倉「Shortcut Miffy!的なというか。昔やっていたようなポップさ。“昔こういう感じってあったよね?”というポップさを改めてという感じですかね」
小野「そういうポップさから、taeになってからは敢えて逃げていたんですよ。でもやると得意なんですよね(笑)」
沼倉「そうそう。演ってみるとね。“ああ、これこれ!”って感じでね。でも、リズム隊が変わっているから、Shortcut Miffy!とは全然別モノのポップになったので結果よかったんですけどね」
-ちょっと駆け足で追ってしまうのですが。その後約1年後に1stフル・アルバム『いま詳しくは僕にも判らない』がリリースされるんですが。このアルバムって最初聴いたときに異質な空気を感じたんですよね。1stの疾走感、そして2ndのメロディアスな感じの系譜からすると。“taeってこれをやりたかったんのか”という感覚が強くて。
小野「沼倉くんの中では『君を探す』と『海風と君のこと』とはちょっと違う感じのことをやりたかったんだよね?」
沼倉「あの、勢いとか、ノリ任せでやりたくないっていうのが頭の中にあって。緻密にかっちり演奏とかをしたいなっていうのがあったんですよ。メンバー変わってから、ワーっと勢いで来たから。“ちょっと一回、taeをまとめません?”というのがあって。バンドサウンドに結構そういうのがありましたね」
-ではその頃になると、バンドメンバーでの葛藤や意見の相違なども出てきたりしていたんですか?
沼倉「そういう食い違いのようなものは無くて、どちらかと言うとメンバーに僕の意見を聞いてもらっていたっていう感じかな(笑)。当時は、一人でピリピリしていたような気がしますね」
小野「なんか、“とりあえずいいからこんな感じのものやらせて”っていう勢いがあったね」
沼倉「そうそう」
-その後は、ライブハウス限定のCDをリリースして行ったりという形での活動を続けるわけですが。その時は、とりあえず活動し続けながら作品をドロップしていくことを糧としてたのか。はたまた、今回の『ロックミュージック』のようなアルバムを完成すべく行く末を見据えてリリースしていたのか。どちらなんでしょうか?
小野「ちゃんとリリースする予定がその時はなかったので。かといって何もしないでいるのも嫌だったので。ファンの人たちの為に創って売ってという感じでしたね」
-会場限定で売られていたCDの中に既に『ロックミュージック』収録曲の「赤い車」のデモバージョンが入ってますよね? そう考えると、既に『ロックミュージック』に続いていく布石というものが図らずとも始まっていたのかな? と思うんですけれど。
小野「『いま詳しくは僕にも判らない』があまりにもかっちり創ってしまったが故の反動なのかもしれないけれど、『いま詳しくは〜』以降に出した、創った楽曲っていうものは、凄いアレンジは密にやるけれど、演奏はラフになったというか。ロックな演奏というかね」
沼倉「そう。『いま詳しくは〜』を出した後はあまり難しいことを考えなくなりましたね…」
-それではアルバム『ロックミュージック』のお話をお聞きします。まずはこの『ロックミュージック』というタイトル。“ロックミュージック”というタイトルが強烈で。また改めて、taeの行くべき、表現すべきものを掴み取って進んでいく意志を表明するべくものであるということなのかなと思ったんですが…。
沼倉「どうなのかな…」
小野「まあ、自信は、あるっちゃぁあるね」
沼倉「まあ無ければやって行けないからね」
小野「それに、僕らが実感している以上に、『ロックミュージック』って言い切ってしまうということは、客観的に考えると、自信のある奴がつけるタイトルじゃない?」
沼倉「まあそうだよね」
小野「自信が無くてそこそこのバンドだったらこんなタイトル付けられないからね」
沼倉「うんうん、そうかも」
-そうですよね。例えば、先日再発されたShortcut Miffy!の「Nothing」というアルバムもそうですが。“なにもない”って断定できる、明確な意思表明を断言できるときってバンドが物凄く力強くみなぎっているときだと思うんですよね。で、今までのtaeって、いい意味での曖昧さがあったじゃないですか。
沼倉「そうっすね。どこか逃げ道があるようなね。曖昧さも含めて(笑)」
-一番最初にこの『ロックミュージック』というタイトルをつけたのは?
沼倉「結構前だよ。『詳しく〜』のデモテープに入ってたからね。この曲はいいなっていう記憶はその頃から残っていたけど、ざっくりとしたデモしかなくて…。改めて曲をいじり直したら“あら、いいじゃない?”ってなって。で、歌詞をある程度書き直したらなかなかいい曲になって。そこで、その歌詞の内容を昔のことにしようと思って。今までの僕は昔のことを書くとほとんど否定的な歌詞になってたんですけど、昔のころの、その時の自分が今の自分を見たとしても、わりと想像していたところまで来れているんじゃないかって思えるようになったというか。そういう感覚になれたから、ポジティブな歌、聴いている人も頑張ろうって思えるような歌を唄いたいってなって歌詞を書いたんですよね。それでこの曲の歌詞は、当時の俺のようなロックミュージックが好きな男の子や女の子が舞台となっていますから。多分この歌詞を読んだ小野さんはニヤニヤするだろうなみたいな(笑)。本当に自分が過ごした時代のことも歌詞として書いていますから」
小野「俺ね、歌詞が上がってきてそれを読んだときにたまげたんですよ。タイトルも凄いしね。曲だけを演奏している時点でいい曲だなとは思っていたんだけど、歌詞が乗った時点で、さらに良くなったというか…」
沼倉「おお、ありがとう。そう考えると、僕と同じような年齢の人に届くのが一番嬉しいですね。まあ、色んな世代の人にも当たり前のように聴いてもらいたいんですが」