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怒髪天(増子直純)インタビュー1/2

Sunday, November 19th 2006

  唯一無二、我道突き進む怒髪天、ニュー・アルバム発売!
  怒髪天(増子直純)インタビュー 1/2

GOING UNDER GROUND 今年の様々なフェスに出演し、衝撃的ライブパフォーマンスを繰り広げ、ワン・アンド・オンリーなバンドとしての地位を様々なロックファンに突きつけた怒髪天が新たなステップを踏み出すべく最高のロック・アルバムをドロップした!その名も『LIFE BOWL』だ!
 今までの作品ではなかった豪華ゲストミュージシャンとの共演も注目!Guitar Wolfからセイジ氏がギターとコーラスで参加。さらにBEAT CRUSADERSからはケイタイモ氏がキーボードで参加。さらにさらに、クラムボンからはミト氏までもがキーボードで参加! 
そんな力も加味しつつ出来上がったアルバムを引っさげて、HMVインタビューの場に、怒髪天と言えばこの人、増子直純さんが登場であります!
 “みんなの兄貴”的存在の増子さん。最近は、様々な場所でオリジナリティ溢れるDJをもこなす多彩ぶり。というか、そのDJプレイがかなりの衝撃かつ笑撃なプレイであるです。アニソンをかけまくり、酔っ払いながら踊り出す。曲はかけるけど、飽きたらすぐに止めてしまうという。画期的なDJ。そんなDJ増子直純の本質に迫る内容から、アニソン話に花が咲き、アニソンが好きな理由が怒髪天の作品に多大なる影響を与えているという事実さえも浮かび上がったこのロングラン・インタビュー。アーティスト:怒髪天、DJ:増子直純。双方の魅力が存分に伝わる内容となっています!さあ、早速テキストに目を通して、増子ワールドに飛び込んでください!
(テキスト&インタビュー:保坂壮彦)




怒髪天 / LIFE BOWL

怒髪天 / LIFE BOWL




曲目:  1. 不惑 In Life  2. ドンマイ・ビート  3. 青の季節   4. 男と書いて  5. 3番線   6. 好キ嫌イズム  7. 俺ころし  8. なんかイイな   9. 酒燃料爆進曲 Album Ver.  10. 不惑 In Life(Reprise)


-それでは、まず、今年の夏開催されたロッキングオン主催の「ROCK IN JAPAN FES.2007」のときの増子さんのDJが凄かった! というところのお話を! 僕が最初に拝見させていただいたのは今年の元旦のこれまたロッキングオン主催の「COUNTDOWN JAPAN 06/07」のときで。DJブースに上がってくる増子さんの歩き方がもう尋常じゃないくらいゆっくりで…。

増子直純(以下、増子)「まるでアポロ16号から降りて月面歩行している人みたいなね」

-ほんとそうですよ!

増子「いや、あれはね、いっつもそうなんだけど、ライブ終わって1時間後とかなんだよ、DJやるのが。ライブ終わって“あ〜、疲れた!”って着替えて。それでとりあえずテンション上げてDJやんなきゃって思うからさ、一気にビールを飲むわけよ。それが異常にまわるんだよね(笑)。もう、頭の中ぐるんぐるんだもん(笑)。しかも、さ、『COUNTDOWN JAPAN 06/07』のとき風邪引いていて熱があったんだよね。家に帰ってから気づいたんだけど。だからあれから寝込んじゃったんだよね、DJやった元旦から三が日ずっと(笑)。気づいたらさ、三が日ずっとリーゼントのままだったもん(笑)。布団の中にずーっといたから」

-(笑)。いやぁ、しかし衝撃的なDJでしたよ。改めてお聞きしたいのですが、DJを最初にやることになったきっかけは?

増子「3年くらい前かな…。下北沢のQUEでやっているイベントに誘われて。最初は普通にね、自分の好きなロックをかけていて。 “やっぱみんなこういうので踊りたいんだなぁ”って感じてそういうノリでやってたんだけど。なんかそういうロックのDJのを真似してもしょうがないなって思って。結局自分で部屋で大音量で聴けないようなやつを、馬鹿な曲をかけたいなって思って。酒飲みながら。それ以降、今までずっと続いている感じかな…。ていうかさ、歌謡曲とかアニソン、上がるからね! テンションが。俺、アニソン大好きなんだよね」

-そうですか。最初は普通にロックDJをやっていたんですね

増子「つってもその最初の1回だけだけどね!」

-凄い…(笑)。

増子「ていうかさ。もうさ、本職のDJの人みたいにさ、やれピッチを合わせて繋いでとかさ。そういうのは俺に求められていないのはもう解ってるから。色々ね、ネタも最近変えなきゃって考えているから…、ていうかネタっていう風に思っている時点でDJじゃないよな(笑)」

-いやいやDJですよ。振り返ればフェスのDJブースにて、ポリシックスのハヤシヒロユキさんがカラオケのごとくのパフォーマンスDJをやってかなりの革命が起きたわけですよ(笑)。そしてそのハヤシヒロユキさんのDJもある程度万人に認知されてきて、同じようなことをやる人も増えてきたところで、増子さんのあのDJで。“新たな革命が来た!”と思いました。

Rock In Japan Fes.2007: Rockin'On Japan: 2007年 9月増刊
Rock In Japan Fes.2007:Rockin'On Japan: 2007年 9月増刊
増子「ひどいもんだよな。俺(笑)。だって、夏フェスのときなんか絵描き歌に挑戦しちゃったからね。完成系のわからない絵描き歌ね。やってみようかなって思っちゃったきっかけがさ、吉祥寺のブック・オフの50円コーナー見てたらさ、“さかなクン”のCDを見つけちゃったんだよね。ていうか、“さかなクン”に手を出してしまった時点で俺、終わってるでしょ?(笑)で、中身にさ、絵描き歌の完成系が入っていたんだけど、それを見ないで聴きながら自由に書いたら出来上がるかって思ってやったんだけど、もちろん出来なくて(笑)。ていうかさ、他の人も凄いじゃん? フラワーカンパニーズのグレートマエカワなんかラジオ体操とフォークダンスのネタ持ってるじゃん?(注:「ROCK IN JAPAN FES.2007」のDJブースにてDJを行ったマエカワさんが、ラジオ体操の曲とフォークダンスの代表曲「ジェンカ」をかけて大いに盛り上げた) あれさぁ。フォークダンスいいんだよ〜。最高だよ〜。俺も踊っちゃったもん、「ジェンカ」で(笑)。あれねぇ、上がる。特に飲んでいるときはね。面白いよねぇ、ああいうのは…。やっぱさ。かっこいいDJとかがさ、続いているとつまんないじゃん? 疲れちゃうからその息抜きみたいなもんだから俺らは(笑)。面白いからっていうね」

-DJをやっている時って記憶あるんですか?

増子「やや無いよね。だって夏のときなんか火傷までしたからね。ステージ上のスポットライトに肘くっつけちゃって。しかもさ、郷ひろみの「Goldfinger 2001」かけてるときだったんだよね。“ア・チ・チ!ア・チッ!”っていうサビの時だよ? 笑いの神がまさに降りた瞬間だったね(笑)。ほんとにアチチ! だったんだから。マジで(笑)」

-これまた凄すぎです…(笑)。あの、増子さんがDJをするときっていつも曲を途中で切って、喋り出して次の曲をかけるじゃないですか。あれは飽きちゃうんですか? それとも次にかける曲が決まってそれをはやくかけたいからなんですか?

増子「両方だね。ていうかさ、大概さ、2番はいらないから(笑)。特にアニソンとかだとテレビサイズで十分じゃん? アニソンはいい曲が多いんだよね。特にバラード系でね」

-「あしたのジョー」とかっすよね?

増子「そうそう。『あしたのジョー』ね。あれはぐっとくるよねぇ…。だってあの歌詞、寺山修司が作詞だからね。名作中の名作」

-「あしたのジョー」だけは、途中で切らずにフルサイズ全部かけていた記憶があるんですが。

増子「あれは止められないね(笑)。やっぱりストーリー性のある歌詞だとね。やっぱり俺も歌詞を書いているからさ。どうしても止められないんだよね。『キン肉マンのテーマ』とかなら止められるんだけど(笑)。あと、あれだよ、『ドラゴンボール』。あれかっこいいよなぁ…」

-DJをやるときは選曲をある程度決めて望む感じですか?

増子「いや。とにかく持っているCDとかをがっつり持って行って。その場の空気とか全然読まずに(笑)、“あ〜、これいいかもなぁ〜”って選んでかけてる。ま、俺の場合、勝手に俺が楽しんでいるだけだから。あれはほんとみんなの休憩時間だと思っているからさ(笑)」

-いやいや増子さんが好き勝手楽しんでいるのを見て、お客さんも盛り上がっているんですから、休憩時間じゃないっすよ!

増子「まあね。異常に楽しいからな、俺敵には。だってさ、あんなでかい音でさ、アラレちゃんの主題歌をかけられるんだよ?(笑) 気持ちいいよ。ほんと面白いよ。いつもはiPodで爆音で聴いているんだけどね。たまにアニメのB面集が入っている2枚組のCDとかを聴くとさ、涙出てくるときがあるんだよね。終わりの歌ばっかり入っているやつ。『ガンバの冒険』とかさ…」

-アニソンを聴いて感動するときって、リアルタイムでそのアニメを見ていたことを思い出して感動するんですか?それとも曲だけ聴いて感動するんですか?

ガンバの冒険
ガンバの冒険

増子「両方だね。曲だけでも最高なんだよな」

-今、いちばんぐっとくるおススメのアニソンってありますか?

増子「やっぱ昔みたアニメのアニソンが最強だからね。『ガンバの冒険』にさ、『冒険者のバラード』っていう終わりの歌があるんだけど、あれは素晴らしいね。あれかかるだけでぐっとくるね。まじ。この前さ、お客さんから『ガンバの冒険』のDVDボックスをもらっちゃってさ。うちのベースのシミ(清水泰而)も好きでさ。“先に貸してやろうか?”って言ったら、“大丈夫!俺は『ガンバ〜』のストーリー全部頭の中に入ってるからさ!”って言われてさ。“お前それなんの自慢だよ! 何を言ってんだよ”って(笑)」

-シミさん以外のメンバーはアニメ好きなんですか?

増子「いや、俺とシミだけだよ。他のメンバーはまったく興味ないんじゃないかな…。やっぱさ…、俺らの子供の頃のアニメは最高だったからなぁ。『エヴァンゲリオン』も面白いんだけど、あれって大人向けなところもあるじゃん? 子供も楽しめるようなリアルタイムのアニメって何があるんだろうね? あ。『おしりかじり虫』があるか。ああいうのもいいよな。子供らしくて。だって、“おしり”とか大好きじゃん? 子供って。“う●こ”とか“おしっこ”とかさ。大好きじゃん?(笑) そういうのがないと駄目だよね。やっぱね。ドリフの志村けんみたいな芸人が出てこないと駄目だね。子供が子供たる所以を忘れちゃっているからね。やっぱさ、ゴールデン番組とかもさ、最近は大人の番組が多くなっちゃっているからさ。もっとさ、下世話なものが欲しいよね。PTAが怒っちゃうようなものがね」

-では、そういうDJを目指して頂きたく思います(笑)。

増子「ははははは。小学生が喜ぶようなね。みんなの小学生心を煽るようなね。“う●こ” “おしっこ”DJでね(笑) 」

-これほどまでにアニソンに影響されている増子さんですが。やはり怒髪天の曲を創るに当たって影響されている部分というのはあるのでしょうか?

増子「あるね。アニソンの影響はあるね。勇ましさだったり男らしさだったりね。その裏にある哀愁であったりちょっとした馬鹿らしさだったりね。『ど根性ガエル』とか好きなんだよなぁ。あの意地っ張りな男な部分とかね。あと『ルパン三世』かな。ルパンなんて永遠の憧れだよね。男はああ在りたいよね。ルパンであり、次元であり、五右衛門であり、みたいな。ルパンの歌も男の美学が詰まっているところがかっこいいよな。今って身も蓋もないような感じなんだよ。今は若者が幼児化しているというか。大人に憧れなくなってしまっているというかね。俺なんか昔は早く大人になりたかったからね。バンド演ってからもそうだったしね。ARBに憧れたり、THE MODSに憧れたりさ。今の若者は逆に大人になりたくないって思っている奴のほうが多いんじゃないかな」



―続く―
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